表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/93

season1-5 始まり

「とまぁそんなことがあったんです。だから僕はなんとしても答えを知りたいんです」


 長話を終えた拓也は、一息ついて手に持っていたペットボトルのお茶を飲んだ。それを見ていた美奈が突然拓也の頭を叩く。その衝撃で拓也は口に含んだお茶をこぼしてしまった。


「たっくんすごいじゃない! それよ!私が求めていたものは! この宇宙の謎研究サークルはね! あなたのような人を探していたのよ!」


 先ほどまでとは違い目を輝かせながら話す美奈を見ていて拓也は


「はぁ……」


 というしかなかった。


「アダムかー! いいじゃない! そういう発想は大事よ!」


「え?」


「作り話にしちゃあ上出来よ! あなたぐらいの想像力があれば宇宙の謎も解きやすくなるかもね」


「え……、いや、作り話じゃ……」


「いいこと! 宇宙の謎を探るのには常識に捕らえられてちゃだめよ。宇宙にはまだまだ私達のしらない謎がたくさんある。天文学者じゃない私達アマチュアは常識に捕らわれない自由な発想で謎を追求していくのよ。そしたら、絶対に真実に近づくことができるわ! ありがとね。たっくんの話のおかげでやる気が出てきたわ!」


 人の話を聞かない美奈に拓也は呆然とし、また


「はぁ……」


 というしかなかった。


「それじゃあ、よろしくね! たっくん! これから一緒に宇宙の謎を解き明かしていきましょう」


「あ、はい、そうですね」


 そう拓也が答えた瞬間、美奈の顔が不機嫌になった。


「『あ、はい、そうですね』ー?」


「おまえ、それでも男か! 男ならいくわよって言ったら『お〜!!』くらいいいなさいよ! 肝っ玉小さいの?」


 この時、拓也は口が悪い上に下品な女だと、本気で思っただろう。


「よ〜し! それじゃあ宇宙の謎を解き明かすぞー!!」


「お、おー!!」


「……あ、盛り上がってるとこ悪いんだけど、実はこのサークル人数不足で閉鎖されるかもしんないんだよね」


「えっ!?」


 あまりの驚きに拓也は美奈のほうを見た。美奈は片手を頭の後ろに当て「えへへ」と笑っている。それをみた拓也は寒気がした。そして


「たっくん……」


 美奈は可愛い笑顔とやさしい声で呼ぶ。


「部員集めて来い」


 美奈の表情と声が悪魔に変わった。拓也はこのとき本気で思っただろう。この口が悪くて、下品な女は、きっと二重人格なんだろうと……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ