season10-3 万能細胞
「信じられない」
言ったのはレイマーだった。ブラッドが言った過去の真実。その真相に驚いていていた。
「信じられないのは分かる。でもそれが真実なんだ。あの日ここで墜落したUFOは俺との戦闘ののちに墜落したUFOだったんだ。別に隠していたわけじゃないが、信じられない話だし、確信に触れるまで話したくなかった」
「でも、それでもおかしい。だってブラッドはどう見たって」
「それは、放射能による細胞の突然変異だ」
機関銃を持った黒人が言う。
「細胞の突然変異?」
「あの日のUFO接触でブラッド=クルーは身体に大量の放射能を浴びた。そのため身体の細胞に急激な変化が置き、万能細胞という本来ならば生前にしか確認できない細胞が身体に溢れた。簡単に言えば、年齢による弱体化がなくなったということだ。本来ならば八十歳を超えるその身体は現在も当時のまま二十代の若さを保っている」
「そんなことが?」
レイマーはいまだに信じられないというような顔をしている。
「だが、そんなお前の命もここで終わりだ。ここで二人を始末することそれが俺の任務だ。死んでもらおう」
黒人の男はブラッドに機関銃を向ける。
その時、突然この場の雰囲気に合わない携帯のコールが鳴り響いた。携帯の持ち主は軍服の黒人だった。黒人は機関銃を向けたまま電話に出る。
「なんだ?」
しばらく、沈黙が走る。なにやら重要な話をしているようだ。
「わかった」
そう言うと黒人は電話を切り、ポケットにしまう。そして、機関銃を降ろした。
「命拾いしたな」
「どういうことだ?」
「俺達の仲間の一人が捕まった。真実を吐かされたらしい。一人でも真実を知っていまえば俺がお前達を殺す理由もなくなる。誰にも知られずに始末することが前提だったのだ」
「殺さなくてもいいってことか?」
「別に好きで殺しをしているわけじゃない。命令とあれば誰でも殺すがな」
「……真実ってなんなんだ?」
ブラッドは睨みを聞かせながら聞く。
「仲間にでも教えてもらうんだな。ただこれだけは言っておく」
ブラッドとレイマーはその言葉に疑問符を浮かべる。
「お前達が知ったその真実は、我々が必死に隠し通してきたことだ。それを知るということがどういうことか考えるのだ。もし、全人類がこの事実を知ることになれば、この星、地球は終わりだ」
そう言うと、黒人の男は向き直り地平線に向かって歩いていく。すると、そこになにかあるような感覚がした。突然黒人の男の前の景色がうねりだした。そして、そこからは得体の知れない物体が姿を現した。
それは、少し宙に浮いている。バスほどの大きさで形は長方形のもの。全体が銀色にコーティングされ窓が均等に並んでいる。突然その物体は光を放ち始めた。その光は次第に強くなり、ブラッドとレイマーは目を開けていることが出来なくなった。
しばらくして、光が弱くなり再びブラッドが目を開けるとそこには、ジープも黒人も謎の物体も姿を消していた。
そして、辺りは再び元のなにもないただの牧場に戻った。