season9-5 安全装置
引き金が引かれた拳銃から弾がまっすぐに飛び出す。デイビットは避ける間もなく、肩に弾を喰らいその場に倒れこむ。しかし、白人の男も同じく肩にダメージを受けていた。ただしかすり傷だが。男は片手で肩を押さえた。
「一体これは?」
倒れこんだデイビットの手には硝煙を出す拳銃が握られていた。あの一瞬のうちに拳銃を抜き、撃っていたのだ。デイビットは、ゆっくりと立ち上がる。
「なるほど、さすが大統領も認めた世界一の銃の腕を持つ男だ」
デイビットの肩は赤く滲んでいる。
「しかし、その怪我を負った肩では狙いが定まるまい。次の一撃でお前は死ぬ」
デイビットは片手で肩を押さえながら、ゆっくり前へと歩む。銃を構えている男に向かってまっすぐ歩いていく。そして、相手の拳銃が自分の懐まで入ったところで止まる。デイビットの持つ拳銃は腰の位置にある。
「どういうつもりだ? わざわざ殺されやすくするためか?」
「いや、この位置なら怪我をしていても絶対にはずさないだろ?」
「意味が分からんね。私の銃口はお前の胸に密着している。この状態で撃てば死ぬのはお前だ」
「やってみろ」
短髪の男は、笑みを浮かべると再び、引き金を引いた。
が、それはできなかった。引き金を引こうとしてもまったく動かないのだ。
「な、なんだ? 銃が」
「よ〜く、覚えとけ……」
そういいながら、デイビットはゆっくりと銃を上げる。そして、男の顔の前まで銃をあげ終わるとスライドを引き、引き金に指をかけた。
「銃を使う時は、まず安全装置を解除しなければならない」
その言葉とほぼ同時にデイビットは再び銃を下げ、白人の男の両足に一発ずつ弾を撃ち込んだ。弾を撃ち込まれた白人の男は、その場に叫びながら倒れる。
「な、馬鹿な。安全装置は解除していた。だから、一発はお前に撃ち込んだはずだ」
確かに白人の男はデイビットに弾を撃ち込み、デイビットは肩に傷を負っている。安全装置を解除していたからこそ弾を撃つことが出来たはずである。しかし、白人の男の持つ拳銃を今見ると確かに安全装置は解除されていない。
「俺の力を甘く見すぎたな。一発目に俺が撃った弾はお前を狙ったんではない。俺は初めから、安全装置を狙っていた」
「馬鹿な? 安全装置を狙っていただと? そんなことできるはずが」
「だから、俺の力を甘く見すぎなんだよ。俺は安全装置をはずすために弾を撃ち込み、その弾はお前の銃の横についている安全装置をオンの状態からオフへと切り替えた。弾を安全装置に少し当てることによってな」
デイビットは安全装置を狙っていた。そのために白人の男の肩にかすり傷をつけることが出来たのだ。安全装置がかけられれば銃は無力となる。再び安全装置をはずさなければ。
だが、男はそれに気がつくことはなかった。それは、普通は出来ないことをデイビットがやってのけたからである。
「さぁ、吐いてもらうぞ」
そう言うと、デイビットは倒れている男の頭に拳銃を突きつけた。
「お前はこの事件のことを知っている。そして、俺が証拠隠滅に関わっていたことも。お前はこの事件の……いや、この全てのUFO騒動の全てを知っているな?」
「……、ククク」
男は拳銃に頭を突きつけられている状況にも関わらず笑い出した。
「そんなに知りたければ教えてやろう。お前達のやっていることがこの星、地球を危機に直面させている行動だと言う事をな」
デイビットはその言葉に驚いている。そして、男は真実の言葉を話はじめた。
読んでいただきありがとうございます。season9はこれにて終了です。次回からはいよいよseason10です。よろしくお願いします。