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season9-4 始まりの場所

「遅かったか……、すでになにも残ってはいない」


 デイビットは日本に来ていた。それは、拓也がアブダクションされた時の話を聞くためと、現場に残された証拠を発見するためだった。デイビットはCIAの仕事で異性人関係の事件の証拠隠滅に関わっていた。その分、証拠を隠滅するときのクセのようなものを知っていて、それでいて十分な知識を備えていたので自ら進んでこの事件のことを調べに来ていたのだ。


 ――全てが始まったこの場所で。


 あの事件から何年も経っていて、証拠はなにも残ってはいない。拓也と一緒にいた当時のUFO目撃のバスケのメンバーにも全員当たったが、たいした情報を得ることも出来ずにいた。残されていた唯一の証拠となるものと言えば、この場に残されたミステリーサークルの後に出来た異常なスピードで成長し、綺麗な緑の色を保っている草だけだ。しかし、これは放射能によるDNA配列の突然変異が原因だと言う事はデイビットには分かっていたので、結果証拠となるものはなにも残されてはいなかった。


 しかし、その事が逆にデイビットに疑問を抱かせていた。ここでUFOが着陸し、大勢の人間に目撃されていることは紛れも無い事実であり、そして、そういう事件にも関わらず一切証拠を隠滅した気配がないこと、そして、自分はこの事件を自ら調べるまで知らなかったこと、にも関わらず政府の上層部はこの事件を知っていたこと。


 デイビットは他の事件にはない、この特例とも言うべき事件にはなにかあると踏んでいたのだ。しかし、本当になにもないこの事件にデイビットは困り果てていた。


「一体どういうことだ? こんな例は過去に一件も存在しない。なにかが変わろうとしているのか? とにかくここにいても仕方がない。日本に帰るか」


「おっと、そういうわけにはいかない」


 突然デイビットの後ろで、声がした。デイビットはその声に驚き、後ろを向く。そこには白人の短髪の男がオートマチックの拳銃をデイビットに向けて立っていた。


「お前は?」


「これから死ぬお前には名乗る必要はない」


 短髪の白人の男は、笑みを浮かべながらデイビットを見ている。相手が拳銃を向けているこの状況にデイビットは動けずにいた。


「俺を殺すために後をつけていたのか?」


「そうだ。アメリカからずっとな。しばらく観察させてもらったよ、なにも出なくて残念だったな」


「お前の命運は、この事件に関わったこと時から決まっていた。お前はこの事件からは手を引くべきだった。お前の証拠を隠滅する腕は確かだから、まだ失うわけにはいかずこの事件とは関わらせずにいたのに、自ら関わってくるとは」


「どういうことだ?」


「お前はここで死ぬ。お前の仲間達も全員な。いまごろ他の奴らがお前の仲間の抹殺しにいってるはずだ」


 そう言うと、白人の男はトリガーにかけている指をゆっくり引き、銃口から弾が発射された。


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