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season9-3 ヘリ

 なんとか二体の車の追跡を振り切ったレンであったがレンの運転する車も相当のダメージを受けていた。車体はボコボコでエンジンにもダメージを受けているらしくうまくスピードがでない。周りはハイウェイで、高速で通過する車がたくさんいる。


「おい、怪我はないか?」


「なんとか……」


 レンの問いに美奈もレイラも同じ返事をする。二人ともどうやら怪我はないようだ。


「無茶するわね、レン」


「仕方ないだろ? あのままじゃやられてた」


「あれ?」


 その時、横を通過していく車を見ていたレイラが不思議なことに気がついた。通過する車の台数が減ってきているのだ。だんだんその数は減っていく。この時間ではありえないことだ。遂に、車が通らなくなった。この広いハイウェイにはレンの運転する車だけが存在している。


「どういうことだ?」


 レンが疑問符を浮かべる。なにもなくなったハイウェイはまるでゴーストタウンかと思わせるほどの静けさをかもし出していた。


 その時、レン達のいる場所の後ろのほうから、音が聞こえてきた。どこかで聞いたような音だった。レンは窓から顔を出し後ろを確認する。音はだんだん近づいてくる。そして、その音の持ち主が遂に正体を表した。


 それは、あの時レン達を襲撃した謎のブラックホークに似た黒いヘリだった。


「あ、あのヘリだ!」


 その声に、美奈もレイラも後ろを確認する。その時すでにレンは前を向きアクセルを踏んでいた。


 ヘリは、レン達の車を追い抜き前に出たところで向きなおした。そして、横についている機関銃を撃ってきた。地面を伝うように弾痕がレン達の車に迫る。ダメージを受けていてあまり動くことのできないレンの運転する車は、その弾をそのまま喰らってしまう。直撃という奴だ。レン達は車の中で伏せその間もアクセルを踏み続ける。なんとか運よくエンジンへの直撃だけは防いだレンの運転する車は、ヘリの真下をくぐりヘリより前に出る。


 ヘリは、再び向き直しレンの車の後ろからまるでターゲットを狙う猛獣のように静かにその場で停止している。レンの運転する車は、その間も前に進んでいる。


 ヘリは、狙いを決めたかのように突然、ヘリに装備されているミサイルを車目掛けて撃ち込んだ。ミサイルは軌跡を描きながら一直線に車へと飛んでいく。そして、それは車と完全に接触し、車ごと吹き飛ばした。


 大爆発を起こしたミサイルの衝撃で、車は回転しながら上空高く吹き飛ばされた。そして、回転したまま地面へとぶつかりそのまま転がって逆さまの状態で停止した。車はほとんど原型を留めていない。


 ヘリは、息を潜めるように静かに停止している。すると、もう一度車目掛けてミサイルを撃ち込んできた。ミサイルは再び車へと当たり、車は吹き飛びながら炎上した。爆発位置一面は黒煙と炎が支配する。そこは、まるで地獄の入り口のような光景だった。きっとこの場に人間がいれば生きてはいられないだろう。ましてや、車の中にいれば。


 ヘリは、今度はゆっくり上空へとあがっていく。すると突然ヘリ本体がうねるようにフォルムが変形しだした。それはどんどん形を変え、丸い球形の物体へと変化した。そしてそれは、眼にも映らぬほどの速さでさらに上空へと上がり、姿を消した。


 そしてそこには、爆発炎上し黒い煙を上げて燃え盛る車だけが残されていた。


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