season9-2 ハイウェイ
彼らの本当の目的と思われることに気が付いた美奈達は、危険が迫ってることをブラッドとデイビットに知らせるために連絡していた。
『わかった。知らせてくれてありがとう!』
電話の向こうからはブラッドの元気な声が聞こえてくる。
『美奈達も気を付けるんだぞ。じゃあな』
そう言ってブラッドの電話は切れた。しかしデイビットのほうは電話が繋がらないようだ。もうすでになにか遭ったのかそう思うと美奈達は不安に駆られていた。
しかし、そう言っているうちにレンが運転する車は、ハイウェイへと入って行く。そしてその後ろからもやはりつけている車は後を着いてきた。
「デイビットには繋がらないのか……。仕方ないな」
レンが運転する車は、徐々にスピードを上げていく。とその時、後ろからつけていた車がかなりのスピードでレンの運転する車に迫る。どうやら向こうもこのハイウェイで勝負をつけるつもりらしい。そして、レンの運転する車の横にぴったりとついた。車の窓には、ブラックフィルムが張られていて中の様子はまるで見えない。
美奈達がそれでも必死に見ようとしていると、突然車が車体ごと寄せてきて、レンの車へとぶつかった。横からぶつけられたレンが運転する車はハンドルを取られ、車体は斜線を越えて一番右の壁側まで追いやられる。
「くそっ! 奴ら本気だな」
「レン、大丈夫なの!?」
「さぁな! とにかくやるしかないさ!!」
そう言うとレンは、車のブレーキを踏み車体を一気に後ろに下げる。車はタイヤから地面との摩擦による煙と音を出しながら後ろへと下がる。すると、後ろにいた車へとぶつかった。
「ぐっ!」
後ろにいたのは大型のトレーラーだった。トレーラーはレンの車に後ろから体当たりしてくる。耐え切れないと判断したレンはアクセルを踏み、前へと車を走らせようとした。しかし、それはさっきまで後ろにいて横から当たってきた車によって阻まれた。そして後ろにはトレーラー、前には乗用車の挟み撃ちを喰らってしまった。
後ろからはトレーラーが押さえ込み、前からは乗用車が遮る。レンが運転する車は間に挟まれ、少しずつ潰されていく。
「くそ!」
レンはハンドルをきろうとするが、がっちり挟まっていてハンドルをきることも出来ないでいた。その間も車は亀裂音を立てて徐々に潰れていく。そして、ついにレイラの乗る後ろの席の右側の窓ガラスが割れる。
「レンどうするの!?」
「美奈、レイラしっかりシートベルトしとけよ!!」
その瞬間、レンはバッグにギアを入れ、アクセルを思いっきり踏む、車は後ろのトレーラーにピッタリくっついている、車が後ろに行く運動とトレーラーの前に行く運動の反発でレンの運転する車は前に思いっきり弾かれる。その瞬間レンはローギアに入れ、アクセルを再び思いっきり踏む。後ろに少し下がったことで前に出来た隙間を利用して前の車に突っ込む。
トレーラーとの力の反発で得たその力は何倍にもなり前の車を弾き飛ばした。前の車はそのことにハンドルを取られ横の斜線に変更した。その一瞬の隙にレンは、ハイトップに入れアクセルを踏み一気に加速し挟み撃ちから抜け出す。タイヤはその反動で煙を出しながら唸る。
しかし弾かれた後ろにいる車も再び斜線に戻り、レンの車の後ろから加速して迫ってくる。レンはそれを狙っていたかのようにブレーキを踏む、急加速からの急ブレーキにより、その車の力は後ろに大きくかかっていた。突然の急ブレーキに対応しきれない後ろから猛スピードで追いかけていた車は、レンの車にぶつかりそのままさらに後ろにいたトレーラーへとぶつかった。そのままトレーラーについたまま前にいたレンの車へと再びぶつかり車は激しく押しつぶされる。
そして、車は爆発炎上した。レンの車は爆発の反動で前へと急加速した。さすがにハンドルを取られたがなんとか立て直す。トレーナーは、前に燃え盛る車を引っ付けたまま走っているのだが、しばらくすると炎が燃え移ったのか激しい爆発を起して、しばらく走った挙句、ゆっくりと止まった。