season9-1 追跡
「メシアか……驚きだな。それが当たっていたらとんでもない考えだな。それじゃあもう一つ聞いていいか?」
「え?」
「いいか、絶対後ろを見るなよ? 後ろから黒いBMがずっとつけている。もしかしたら俺達をヘリで襲撃した奴らの仲間かも知れない。レイラ……俺達がアメリカにしろ、チルドレンにしろ、異性人にしろ命を狙われる理由があるとすればなんだ?」
「……証拠の隠滅。知りすぎた私達を消せば秘密は守られるわ」
「……だな」
「どうするのレン?」
美奈がレンに心配そうに聞いてくる。
「このまま逃げるという手もありだが、この状況で俺達の後をつけているということは俺達がNASAに向かってることも知っているのかもしれない。ということはNASAに着くまでに勝負を仕掛けてくるかもしれないな。……こうなったらやるか」
「え?」
「逆に捕らえるんだよ。奴らを。そしてつけている理由を聞き出す」
「でも、それは危険だわ」
美奈はとても心配そうだ。
「確かに危険だが、このままだとどうせ殺されるんだ。一か八かやってみるしかないだろ? もう少しでハイウェイに入る。そこで勝負だ。うまく警察でも現れれば奴らが逃げるのを防いでくれるかもしれないだろ?」
そう言うとレンは車のスピードを少し上げて右斜線に入った。
「……わかったわ。レン。でもむちゃはしないでよ。私はまだ死にたくないんだから」
「俺だって死にたくなんかないさ。だからうまくやるよ。レイラもいいな?」
「……ええ、私も彼らの正体を知りたいしね」
レイラのその言葉の後、美奈がなにかに気が付いた素振りをした。
「あ、レン。ちょっと待って。もし、もしもたっくんが覚醒したことで彼らが連れ去ったのなら、証拠隠滅じゃないかも……」
「え? どういうことだ?」
レンは運転しながら美奈の言った言葉に疑問を抱いた。
「最初から、全ては仕組まれたことだったら? 私達は最初から誰かに見張られていた。その後、UFOのことを調べても、政府が隠してきた月のDVDを見ても、あたし達は消されなかった。いつでも殺すことは出来たはずなのに……殺さなかったのは、たっくんを覚醒させるため。そして覚醒してしまえば私達は用済み……」
「なるほど、確かに可能性で言えば、いや、むしろそっちのが理にかなってるな。……だとすれば、ブラッドやデイビットも危ないんじゃないか?」
「確かに、彼らの目的がアダムに関わった者を全て消すことだったら……」
そこまで言うと、美奈は携帯を使って、ブラッドとデイビットに連絡を取りはじめた。
いよいよ中編、season9です。よろしくお願いします