season8-2 金属片
スライドジョーには事件の資料が映し出されている。美奈達はそれを見ていた。
「ロズウェル、確かUFOが墜落して異性人の遺体が4体出たのよね」
「そうね。政府は認めてはいないけどね。それでこのロズウェルで起きた殺人事件。殺されたのはワット=マック=ブライゼル。彼は結婚もしていなくて死後残された遺品はチャリティーオークションに出品されているんだけど一つだけ出品されても捨てられてもいないものがあるの。それがこれ」
そう言うとレイマーはスライドを動かし、ある銀色の金属片のようなものを映し出した。
「これは?」
「わからないわ。資料によると謎の金属片で発見されたときは金属の鍵のかけられた箱に入っていたそうよ。紙のように軽くてなにをしても傷がつかないそうよ。一説には、墜落したUFOの破片の一部だとも言われているわ」
「墜落したUFOの?」
全員がその言葉に驚いた。UFOの破片、もしこれが本物ならUFOに関してなにかしら手がかりがあるかも知れない。
「それはいまどこに?」
美奈がレイマーのほうを見て聞いた。レイマーはしばらく黙り込んでいたが口を開いて答えた。
「……、NASAよ」
レイマーの言葉に美奈もレンもレイラも驚いた。
「この破片は謎の物質とうことで科学的な調査が必要とされたの。それでFBIがNASAに調査を依頼したのよ。ただし、NASAから帰ってきた答えは『失くした』とだけ」
「失くした?」
「私もこれは不思議に思ったわ。調査を依頼したのに失くしたはないと思って、恐らくNASAにしてみれば喉から手が出るほど欲しい物質だったんじゃないかしら。だから失くしたと偽ってこの金属片を手に入れた」
「美奈……、NASAに行かないか?」
美奈はレンが言った言葉を聞いて驚いている。横にいたレイラも同じだ。
「なに言ってるの? NASAに行っても金属片を見せてくれるわけ……」
「確かにな、だけど……このままじゃあ何も動けない。拓也は突然いなくなり、なんの手がかりもない。生きているのかも分からない状態だ。拓也のことは心配だが、なにもせずにいても結果は変わらない。行って駄目なら仕方がない。けど行ってみる価値はあるだろ?」
美奈はしばらく考え込んでいた。拓也の突然の失踪。新たに出てきた手がかりの可能性。すべてを考慮してだした美奈の答えは、全員が心に決めていたことだった。
「うん、いこう!」
美奈の声にレンは立ち上がり、笑顔を見せる。レイラも美奈も立ち上がる。
「美奈」
声をかけたのは、ブラッドだった。
「俺は、このロズウェルに行く。なにかしら新たな手がかりがあるかも知れない。それに……」
「……分かったわ。気をつけてね。特にあなたは」
それを言い終わると美奈達は、FBIのビルから出て行った。
「ブラッド、私もいくわ」
「え? でもレイマーはUFO信じてないだろ?」
「ええ、だからこそ行くのよ。そんなものは存在しないことを証明するためにね」
ブラッドは、無表情だったが途端に笑顔を見せ大声で笑った。
「分かった。じゃあ行こうか」
こうして、ブラッドたちもFBIを出た。