season1-3 遭遇
―三年前―
「あー! 疲れた!」
拓也の声が響き渡る。
「まだ一日目なのにもうバテバテだよ。まだ六日もあるなんて信じられないよなー」
部活仲間が言った。バスケ部の強化合宿のため、拓也達バスケ部はとある山に来ていた。ここは星がきれいで有名な場所で、バスケ部達は毎年部活が終わり夜になると、星をみんなで見に行くことになっていた。先輩達はすごくはりきっている。もうバテバテで早く寝たい拓也にとって、嫌で仕方がない行事だった。
「さぁて着いたぞ!」
先輩の大きな声が響き渡る。そこは広い草原で、見渡しのきく星空満天の綺麗で空気の澄んだ場所だった。時折吹く静かで涼しい風が疲れを癒してくれるようだった。先輩達は天体望遠鏡の準備をしている。拓也はそれを手伝いに行った。しばらくして、望遠鏡の準備が整い、天体観測が始まった。
そこから見える星空は、都会とは比べ物にならないほどの数の星が輝き、星を見ていると吸い込まれそうになるくらい綺麗だった。拓也も疲れてはいるものの、星は昔から好きだったので、積極的に天体観測に参加していた。
突然先輩の一人が大きな声でお決まりとも言える一言を放った。
「UFOだ!!」
一瞬場の空気がドヨッとしたが、ある種お決まりのような言葉とその場の空気により、だれもそれを信じなかった。だが先輩は続ける。
「ホラ、見ろよ! あそこだ!」
先輩の指さすほうにみんなの視線がいく。その瞬間、その場にいたすべての人間が息をのむことになる。
そこには、星空全体を覆い隠すほどの巨大さをした物体が空中に浮き静止していた。物体は物音一つ立てずに空中で完全に静止している。しかし、それはテレビで見るように光を放ってはいなかった。物体の表面は薄黒くところどころ電球がついたように光り、六つほど窓のようなものが並んでいた。形は葉巻型とでも言うべきか。
それは紛れもなくその場にいた全員が目撃したUFOだった。しかし、それだけでは終わらなかった。真ん中あたりの窓のようなところに、人間のような影がたくさん並んでいた。すると望遠鏡で見ていた一人の先輩が突然叫んだ。
「宇宙人だ! グレイだよ!」
全員がその先輩を見た。
「テレビとかでやってるような奴らだ! 灰色の肌に大きな頭、黒い大きな目、小さい口! まさにグレイだよ!」
その先輩の顔は恐怖と興奮で訳が分からなくなっていた。
突然、さっきまで光りを放ってなかった物体が金属同士を擦るような金属音と共に光りを放ち始めた。それは七色に光り、その場にいた全員を飲み込むようだった。拓也は、その光りに目を開けておられず目を自らの手で覆い隠す。やがて金属音は鳴り止み、光りが薄れていき拓也は覆い隠していた手を下に下ろした。そして、拓也の目は驚くべきものを見ることになる。拓也の前には、灰色の肌に大きな黒い目をした生き物が立っていた。