season6-1 盗聴器
かなりの期間が開いてしまい、読んでくださっている方には大変ご迷惑をおかけしました。これからも頑張って執筆してまいりますのでどうか応援よろしくお願いします。
またこの話から一話の文章量が多少多くなります。
無事に美奈と再会した拓也は、アブダクションという『異性人による誘拐事件』のことを知った。そして拓也達五人はそのアブダクション事件の経験者でもあるレイラ=バードニックという女性に会うために車でロサンゼルス郊外のある場所へと来ていた。
「さ! 着いたわよ。ここがレイラの家よ」
美奈の声で拓也とレンが車の窓の外にあるある家を見た、そこはアパートだった。どうやらレイラはアパートの一室に住んでいるようだ。拓也達は車から降り、先を歩く美奈の後をついていく。
金属音が鳴り響く階段を登り、着いたのはアパートの三階の角部屋だった。美奈はドアの前、その後ろに拓也とレンがさらに後ろには、ブラッドとデイビットがいる。
美奈はインターホンを鳴らし、レイラを呼ぶ。……しかし、なんの反応もない。
不思議に思った美奈は、ドアノブへと手をかけた。――鍵は、開いていた。
美奈はブラッドとデイビットのほうを向き、アイコンタクトを送る。アイコンタクトを送られたブラットとデイビットは懐から銃を出し構える。そして、デイビットは後ろへの警戒を始めた。ブラッドは前へとやってきて、ドアの前で銃を構える。
そして、ゆっくりドアを開けるとブラッドは腕を前に出し、いつでも撃てる状態に構えた。そこにはなにもなく物静かだった。拓也が覗き込もうとすると、突然顔を押さえつけられた。美奈によって。
「あんた達、素人はそこで大人しくしてなさい。中を見てくるから」
そういい残して、美奈はブラッドと共に中へと入っていく。
部屋の奥へと進むと、机が置いてあった。綺麗に片付けられていて、パッと見、誰かに荒らされた形跡はない。レイラの部屋はとてもすっきりしていた。生活に必要なもの以外は置いてないといった感じで、特別なものはなに一つなかった。
ブラッドと美奈は、緊張状態を保ちながらも辺りを見回した。すると美奈があるものを発見した。
それは机の上に置かれていた紙だった。美奈はその紙を手に取り、書かれていることを見て、部屋の中を歩き回りながらさらに周囲をよく観察した。まるで何かを探しているかのようだ。机の下、電話機、電気類やらタンスの中まで……。そして美奈がある一点を見つめた後、ブラッドにアイコンタクトをしてその一点を指指した。
ブラッドはその場所へと行き、ポケットに忍ばせていたバタフライナイフを使って、そこをこじ開けた。そこは、コンセントの差込口だった。ブラッドはコンセントの差込口を無理やり開けると、中にあったあるものを取り出した。それは普通コンセントの差込口にはあってはならないものだった。
ブラッドはそれを取り出すと、床へと放り投げ足でそれを潰して壊してしまった。
それを確認すると、美奈はブラッドに拓也達を連れてくるように指示を出した。ブラッドはその指示に従い、拓也達を部屋の中へと入れた。
「美奈さん? どうしたの?」
拓也は不思議そうに美奈に聞いた。
美奈は、先ほどブラッドが踏み潰して壊した物を拾い上げ、拓也達に見せた。
「それは?」
拓也が聞いた。
「それは……、盗聴器か?」
答えを言ったのはレンだった。
「ご名答、盗聴器よ。レイラの家にこれが仕掛けられていた。恐らくまだほかにも盗聴器があるはずよ」
「それって……」
拓也は疑問符を浮かべている。
「レイラはなにかあって、もうすでにこの場所から逃げ出した後のようね。机にこんなものが置いてあったから」
それは、先ほど美奈が見つけた紙だった。美奈は紙の内容は言わずに、拓也達を部屋の外に出るように促すと、レイラの部屋から出て行った。
部屋から出た拓也達は階段を降り、再び車へと乗り込んだ。美奈は、運転席に着いているブラッドに指示を出している。ブラッドはそれを聞くと、静かに車を出した。