season5-4 NSA
美奈はポケットから手帳を取り出すとレンに向かって放り投げた。
レンは銃を片手で持ち、もう片方の手でそれを見事にキャッチする。
そしてレンは手帳を開いた。その瞬間レンの表情は驚きに満ちた。
「NSA・・・国家安全保障局か・・・」
「そうよ、私はNSAの人間なの」
その手帳には美奈の顔写真と、NSAの文字があった。
「さ、銃を降ろしてくれる?田中君」
それを聞いたレンは銃を降ろした。
拓也は相変わらず訳が分からないようで、目を見開いて周囲の状況を把握しようとしている。そしてレンに聞いた。
「レンどういう・・・こと?」
「・・・つまり、美奈は国家安全保障局のエージェントだってことだ。恐らく誘拐事件は・・・」
「ああ、誘拐事件は彼が考えたのよ」
美奈は黒人の男を指差しながら言う。もうなんでもバラしていく。
バラされたことを知った黒人は笑顔を見せながら言う。
「ハハハ・・・なかなかユーモアがあっただろ?」
その瞬間黒人の顔のすぐ横をレンの持っていた拳銃の弾がかすっていった。
レンは銃を下に降ろし、怒っているような表情で横を見ながら言う。
「おかしいと思ったんだ。俺達が盗み出したICBMの発射コードを一目見て本物だって言った時にな。DoDに在ったファイルだ。普通の人間が一目見ただけで本物かどうか分かるわけがない。美奈はNSA・・・じゃあそこの2人もか?」
「残念だけど違うわ。紹介するわね。
この黒人の人はブラッド=クルー、FBI捜査官よ。かつては元海軍のパイロットだった男よ。そして白人の男はデイビット=ディートCIAよ」
美奈は2人の男の説明をした。
「NSAにFBI、CIA・・・これだけ面子が揃って誘拐事件の演技をしましたじゃないだろ?なにかの事件か?」
レンは真剣な表情で言う。
「さすがは田中君ね、その通りよ。あなた達はアブダクションって知っているかしら?」
美奈は拓也とレンに聞いた。
やっとすこし状況を飲み込めてきのにまた知らない言葉が出てきて拓也は戸惑っていた。
「アブダクション・・・異性人による誘拐事件だろ?」
戸惑っている拓也を横目にレンが、答えを示した。
その言葉を聴いて美奈は笑みを浮かべた。