season1-2 目的
コンビニから帰った拓也は美奈に食べ物を渡す。すると美奈の口から拓也の予想していた言葉が返ってきた。
「ありがとう、おごってくれて」
美奈は満面の笑みで拓也に言った。ほんとに恐ろしい女だと拓也は思った。美奈は部屋に置いてある机の上に腰掛けて話しだした。
「しかし、アンタも珍しい子ね。このサークルに入りたいなんて、部屋間違ってるんじゃないの?」
「いえ、この『宇宙の謎研究サークル』に入りたかったんです。そのためにこの大学を受けたようなものですから」
拓也はすかさず答える。
「このサークルに入るために? ……たっくんって馬鹿?」
「確かにそう思われても仕方ないです。でも僕にはどうしてもこういう活動してるところが必要なんです」
「なに? わけあり?」
美奈は興味がありそうな顔付きで言った。
「ええ、でも今は話したくは……」
「ハッ?」
美奈のハッという顔に拓也はすかさず、
「じゃなくて、どうしても聞いてほしいんです」
「いいわよ、話しなさい」
「その前に聞いてもいいですか?」
「あん? なによ?」
美奈は不機嫌そうな顔になった。
「さっき何してたんですか?」
「あー、えっとね、寝てたのよ」
「え……、寝てた? なんでですか?」
「なんでって、別にすることもないし、眠たかったし」
拓也は唖然としていた……がすぐに切り返し
「どうして! 宇宙の謎を探らなきゃ!!」
「うっさい!! 声大きい!!」
美奈の突っ込みが驚異的な速さで入った。
「仕方ないでしょう。謎を探ろうとしても人手不足だし、なんの情報もないし、探りようがないのよ……それに」
拓也が冷静な顔付きで聞いた。
「美奈さん、このサークルの目的は何なんですか?」
「え? だから宇宙の謎を研究するのよ。宇宙の誕生とか、宇宙人はいるのかとか」
「……美奈さんは宇宙人の存在は信じるんですか?」
「そりゃあまぁ、信じてるわよ」
拓也の真剣な顔つきに美奈は少し勢いを奪われていた。
「だったら、この話を聞けばやる気が出るはずです」
「だから、なんなのよ。早く話しなさい」
拓也は後ろにあった椅子に座り、話を始めた。
「あれは今から三年前……僕が十五歳の時の話です。当時僕は、バスケ部に入っていてあの出来事は夏の強化合宿中に起こったんです」
「僕はあの時まで、そんなことに少しも興味がなかった。でもあの出来事は僕のすべてを変えた。そう、彼らが……」
そういい終わると拓也は美奈のほうを見た。