season4-7 絶望
レンと拓也は犯人達を全員縛ったあと、犯人達の銃をもちコックピットへ向かった。
乗客の多くはまだ震えている。キャビンアテンダントは震えた乗客に声をかけて回っている。
レンと拓也は、コックピットの扉を開けた。
そこには、犯人が機長の頭に銃を突きつけて立っていた。
横では副機長が頭を撃たれ、血を流し動かなくなっていた。機長も怪我を負っている。
「もうやめろ!ほかのやつは捕まった!後はお前だけだ、大人しく銃を降ろして捕まれ!」
レンは犯人に向かっていった。犯人は無表情で機長に向けた銃の引き金に手をかけていた。
「残念だが、もう終わりだ。管制塔との通信も切れた。ボスが開放されたんだ。もう俺達の役割は終わりだ・・・」
「ど、どういうことだ?」
レンは驚いた表情で聞いた。
「ほかのみんなは知らなかったから責めないでやってくれな。最初からこの飛行機は墜落する予定だったんだ。ボスを刑務所に送った警察への復讐ってわけだ。だからわざわざ、警察を空港に集めたんだ。機長を殺して、俺達も死ぬ」
それを言い終わった瞬間、犯人は機長に突きつけられていた銃の引き金を引いた。銃声と共に、機長の頭から血が噴出し、機長はその場に倒れた。機長の血を吸って床が赤く染まる。
次に犯人は、自分の頭に銃を向けて、引き金を引こうとした。
「やめろ!!」
レンと拓也の声がコックピットに響く。だが犯人は、それを聞かずに引き金を引き、自らの命を絶った。犯人も床に倒れ、血が床全体を侵食していく。
「くそ!!」
拓也がそのあまりの光景に目を逸らした。
レンは銃を降ろし、頭を撃った犯人に近づく。
「くそっ」
それはものすごく小さい声でいった。レンの悔しさだった。
レンはほかの犯人の足は撃ったが誰も殺してはいない。犯人の犠牲者はこの男だけだった。だがレンはすぐに冷静さを取り戻した。
このままでは、全員の命が危ないのだ。
このHP−608便は今、機長と副機長を失い、さらに通信機器は壊された状態で高度3万フィートの上空を飛んでいたのだ。