season4-4 FBI捜査官
機内は騒動が終わり、再び静寂を取り戻したかのように見えたが、乗客の中には、祈っているもの、泣き崩れているもの、怯えて震えているもの、ただ前を見て座っているもの、少し前の状況とは多少変化が出てきた。
すべて、先ほど撃たれた男が原因だろう。撃たれた男は先ほどまで痙攣を起こしていたが、床に倒れたまま動かなくなっていた。床は男の血で赤く染まったままだ。
そのころコックピットでは、進展が起きていた。
「おい!今の銃声はなんだ?」
機長が閉じられているドアのほうを向いていった。
「さぁな、誰かが殺されたんじゃないか?」
犯人は冷静に答えた。
「なんだと!そんな・・・」
機長は悔しそうに歯を食いしばる。
その時、コックピットに機械音が流れた。
『こちらロサンゼルス国際空港。FBIが到着した。犯人と直接話がしたいそうだが、可能か?』
それを聞いた。機長は犯人の顔を見る。それを見た犯人はうなずいた。
「こちら機長だ。犯人の1人が話しをすると言っている。話してくれ」
『こんにちわ、こちらFBI捜査官タァルワ=サートンというものだ。君達の目的はアール=ハミルトンの釈放だね?』
それを聞いた犯人は答える。
「そうだ。開放場所は、ロサンゼルスの町中だ。タクシーに乗せろ。後はボスが自分で向かう。当然追跡は許されない。ボスの安全が確保できるまでこの飛行機には飛び続けてもらう」『だが、釈放には様々な手続きを行わなければならない。それまでに、その飛行機の燃料は尽きてしまうぞ?』
「なら、尽きる前に釈放しろ!」
犯人はマイクに向かって大声で言った。
『分かった。出来る限り早く釈放できるよう努力しよう。ほかにいるものはあるか?』
FBI捜査官は、犯人を出来るだけ刺激しないように話を進める。
「いるものはない。だが今から一時間以内にボスの釈放がなければ、副機長は殺す」
『待て!すぐに開放するから、殺すんじゃないぞ』
FBI捜査官は犯人の突然の申し出に少し焦りながら言った。
機内では、犯人の1人がトイレで用を足していた。先ほど男を撃った後ろと前を行き来している男だ。
犯人の男はトイレから出てくると、女性を人質にとっている男と何かを話しだした。
それを見て1人の男が両手を挙げた。
犯人達はそれに気が付き、その男に視線が行く。
その男の名前はホープ=レクシン=田中。
通称レンと呼ばれる男だった。