二章 嫌いな奴は殺すんだ。 12 監禁
何もない部屋、そんな表現が一番しっくりくる。
私が和輝に連れてこられた部屋は、まさにそんな部屋だった。
床と壁と出入り口しかない部屋。
そんな部屋に入れられた。
「お前には、しばらくこの部屋で何も食わずに生活してもらう。」
・・・要するに、和輝は私をこの部屋に監禁するつもりという事だ。
「・・・・簡単に言うと、魔力が芽生えたお前なら、そうすれば空間、空気に触れるようになる。」
私は監禁の意図がわからなくて、怪訝な表情にでもなっていたのだろう、和輝が言った。
簡単に言い過ぎで、私の疑問の答えになっていなかったが。
「・・・・よくわからないから、詳しく説明して。」
正直に和輝に尋ねた。
「お前は鋭いからな、説明しない、自力で気付いてなんとかしろ。無期限の監禁で食事もなし。まあ、結局は自力で出て来れるはずだ。その方がいい特訓になる。ククク、まあ、あとは時間がどれくらいかかるかだろうな。」
・・・和輝は説明してくれそうにない。
どうやら私は今まで物わかりが良すぎたらしい。
まあ自分でも魔法を信じるなんて、心底驚きだ。
どうしろというのだろう。
何もない部屋、食事もなし、和輝は監禁だと言ったから当然、鍵も閉めるつもりだろう。
「じゃあ、まあ、頑張れよ。」
和輝はそそくさと部屋の外に出て鍵を閉めてしまった。
・・・・何もない部屋、ひとり。
死ぬだろ、普通。
とりあえず改めて状況を確認しよう、私の置かれている状況を。
私は和輝に監禁された。
この何もない、窓すらもない部屋に。
いや、窓が無いのは監禁だから当然だろうけど。
私はこの部屋から脱出しなければならない。
この部屋からの脱出が出来たら、私はめでたく魔法使い、また人を殺せるらしい。
魔法を使って、この前よりもたくさん。
思わずにやけてしまった。
・・・・ふと、思いつく。
私は唯一の出入り口である扉を破壊したらどうだろうか。
・・・バキッ。
痛い。
・・・・殴った手の指が変な方に曲がってしまった、痛い。
どうやらこのまま続けても、扉が壊れる前に私が壊れてしまうんだろうな。冷静に考えてみたら私の力で壊せる部屋に監禁なんてしないか。
「・・・どうやったら出られるかな。」