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いきたがり  作者: 秋臣
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帰れない男と帰りたい男

どこに?


八雲は立ち止まる。


そうだった。

死ぬためにアパート解約したんだった。

まずい、行くところがない。

三途の川を渡るには六文銭(300円くらい)が必要なので、一文銭を6枚用意した。それしか持っていない。

俺はそういうところはしっかりやるんだ。

今日死ぬつもりだったから、その後があるなんて考えてなかった。

うーん、どうするか。

どこか適当なところで夜までやり過ごせばいいか。


そんなことに頭を巡らせ再び歩き出すと、先ほどの男はなぜか俺の後をついてくる。


いい加減うんざりしている。

一度立ち止まり、

「なにか用でしょうか、私はあなたに用はありません」

と言い、また歩き出す。

「そもそもお前は逆方向から来たじゃないか。なんでこっちに来るんだよ」

素朴な疑問だ。

男は答える。

「それはですね、最初はあなたと同じ方向、つまりこっちにいたんですよ。で、死ぬ場所どこにしようかな~って歩いてるうちに向こう側まで行っちゃって戻ってくる途中であなたに出くわしたというわけです」

「なるほど。さよなら」


「行くところないんでしょ」

なにお前心読めんの? 空気読めないのに?

「あなたには関係ないので失礼します」

「一夜を共に過ごした仲じゃないですか」

誤解されるような言い方やめてもらえますかね?

「寒いし眠いし死に損ねたし、どこかで休みませんか?」

お前さ、言ってることおかしいって気づいてるか? 全部お前のせいだぞ。

「そうですか、ご勝手にどうぞ」

「この先の駐車場に車停めてあるんで」

お前、帰る気満々じゃねえかよっ!

死ぬ気どこいった?

「いつもの感覚で普通に車で来ちゃいまして。あはは」

わかった、こいつは病気だ。病気のせいでおかしいんだ。かわいそうに。


「あの車です」


キャンピングカー!?

生きる気力が漲ってる……お前本気でなにしにきた?

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