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埼玉の大宮。レプリカの街並みがベッドタウンとしての道を選んだことを示している。私はこの街で失業保険による執行猶予期間を過ごしていた。
通勤という日常が真っ白な心をオセロのようにひっくり返した。人々を運ぶ箱は真っ黒な心しかなくて私の色は変えられてしまった。
【くたばれ
もちろん、私を含んだ全人類
幸福という感情のタネ
それを欲しがる全人類
きっと意味などない
生きてる意味などどこにもない】
私はひたすらにシを書いていた。書いていたという表現よりも鋭く、野球ボールで割れた二階の窓ガラスよりも尖った感情でそれをこの世界に残していた。
感情の発露はくだらなくて重たい。誰に見せるわけでもなくそれをするだけ。この部屋には私しかいない。その孤独はシを書いていた。
まるで回避行動のようにそれをしている。古色蒼然とした鳩時計がどれだけの時間が過ぎたのかを教えてくれる。
【ある人たちの人生
ある人は日々をこなすように生きる
ある人は日常に苦痛を溶かす
ある人は日付を忘れる
またある人は日陰を好む
とある人は日暮れを好む
どんな人にも日があった
日がない人はシを求めた人】
溺れてしまった私は藁だけを掴む。それによって生き延びることはできない。
私はこのままくたばるだけだ。全員くたばれ。
気が向いたら更新します