私は服を着てると映えるタイプなんだよね
小柄な子はメリス(Merisu)って名前で、「スライム(Suraimu)」の音をちょっとズラして作ったみたいな感じ。
彼が目覚めてからまるでこれまでの時間を取り戻すかのように、勉強のスピードがバカみたいに速くて、しかもめっちゃ優秀。そりゃあ、大邸宅の主人だって彼がスライム研究にハマってることに文句なんて言わなくなるよね。実際、スライム研究に関しては天才的で、彼のおかげで会議も前ほど嫌な感じじゃなくなったんだから助かるよ。
たださ、うちのスライムは相変わらず彼のこと嫌いなんだよね。勉強ができるからって恋愛が上手くいくわけじゃないってね。
「そいつ、名前はなんて言うの?」ある日、メリスが私の研究室に遊びに来て、一緒にゼリーを食べながら聞いてきた。
「スライムはスライムじゃん?」って、変な質問すぎてどう返していいか分からないよ。
「君に名前があるみたいに、そいつにも名前があるんじゃない?じゃないと、誰を呼んでるのか分からないじゃん。」
「私はすべてのスライムを愛してるよ。野生のも、放し飼いの、飼ってるやつも、パートナーだろうがペットだろうが獲物だろうが敵だろうが、差なんてないさ。」それに私とスライムは心が通じ合ってるしね!
「まいったなあ!」メリスが笑い出した。
君の愛、まだまだ足りないね!
「面白い研究結果を教えてあげるよ。スライムが長く離れてると、二つの性格がどんどん違ってくるんだ。まるで二匹に増えたみたいな繁殖行動って感じ。」メリスが研究をシェアしてくれて、会議で私がこれを出して切り抜ける準備をしてくれるらしい。
ふふっ、新しい遊び方を思いついちゃって、思わずニヤリとしちゃった。まるで彼に感謝してるみたいな笑顔だね。
「おっと、そんな目で見られると照れるよ。」
気持ち悪い。
「でさ、二匹が一つになる場合は交尾なんだよ。お互いの情報を交換して、片方が眠りにつく。まあ、ほぼ目覚めないから消滅したって感じかな……聞いてる?」メリスがボーッとしてる私を見て呆れた顔。
「え?うん、交尾ね。」
***
退屈な会議タイム。
「今後の会議は一旦中止だ。」主任が最初に宣言してきた。
やったぜ!
「実戦部隊のサポートを開始する。」
うわっ、やだ。
「二人一組で、実力のバランスを考えてすでに割り当て済み。異議は認めん。」主任が分组表を貼り出して、私、主任とペアだって。
「すみません、質問が!」慌てて手を挙げた。
「異議は認めん。」
「実力バランスじゃないんですか?なんでメリスとじゃないの?」
主任が白目をむいた——彼、白目むくの超上手いね:「私が最強、お前が最弱、メリスが普通。」
そんなハッキリ言わなくても!メリスが無垢な笑顔でこっちを見てくる。
辞めようかな。
「これを準備しろ。私は菜食主義だ、覚えておけ。」主任が書類をポイっと私の前に投げてきた。
いや、もう肉食ってる気がするよ。私はゼリーを一口放り込んだ。
不幸中の幸いっていうか、戦場に行くって言っても、後方支援みたいなポジションだから危険は少ないはず。もし何かあっても逃げやすいし、最悪のくじじゃないよね。
物資倉庫に行って、書類に書いてあるものを準備開始。赤薬草、緑薬草、青薬草、食べれそうな薬草、食べちゃダメそうな薬草。前の研究結果を元に、状態異常を解除できる薬草や、酸液や火傷に効く薬草を大量に持ってくことにした。本当は薬水にすればもっと効果的だったけど、今は急いでるから仕方ない。
でも食料の準備は3日分だけ。すぐ戻れるよね、きっと。
最後に書類の任務目標を見た:
「無期限で小隊と共に魔物集団の首領を捜索し、斬首せよ。」
逃げよう。
***
出発当日、支援小隊と一緒に任務開始。
とりあえず隊と一緒に行くことにした。今すぐ逃げても絶対捕まるし、ここで縁切るのも勿体ない。ここって他の場所に比べると寛容でさ、研究室もちょっと愛着あるんだよね。
フードを被って、マントの下に薬草の小袋をいっぱい仕込んで、主任にチェックしてもらった。
「こういうことはちゃんとできるんだな。」主任が私の肩をポンと叩く:「見た目より結構ガッチリしてるじゃないか。」珍しく私の筋肉を褒めてきた。
「服着てると映えるタイプなんです。」私は主任にニコッと笑ってみせた。
スライムに服に変身してもらったんだ。逃げる時はスライムと一緒に逃げるよ。
ただ、服に変身するには集中が必要みたいで、スライムの反応がちょっと鈍い。小さな分身だけになって、私のフードの中に隠れちゃった。
「あ、髪の毛ついてますよ。」主任の肩に落ちてた髪を取ってあげた。
主任は無言。
プレゼント、ありがとね。