友達だね
最近のおやつは、毎日ぶどうを選んでるんだよね。
お金だけもらって何もしないのは嫌だけど、何を研究すればいいのかも正直わかんないんだよ。
そうだ、大便の保存方法でも研究してみようかな?コーティング剤で包む?でも材料がない。冷凍する?お金もないし。もし卵みたいに外側に殻があったら、結構長持ちするんじゃないかなぁ。
卵の仕組みって何だろ。スライムに鶏でも食べさせてみようか?でも、スライムって鶏食べるのかな?
まあ、スライムなら僕の言いたいこと、わかってくれるよね、きっと。
はぁ~仕事ってほんと大変だよ。今日はもうこれくらいにして、ちょっとご褒美タイムにしよう――いやいや、僕が得意な分野の研究でも始めるか!
「従業員、君には――」
突然、ドアが勢いよく開いて、主任が入ってきた。そして、スライムを研究してる僕の姿をバッチリ見られちゃった。
主任の顔には、めっちゃ軽蔑した表情が浮かんでる。
「君をここに呼んだのは何のためだと思う?いい大人なんだから、ちょっとくらい夢を持ったらどう?税金の無駄遣いはやめてよね。」
僕、ここに来たのはお金のためだよ。僕の夢は働かないことなんだけどさ、君たちのボスが無理やり連れてきたんじゃないか。
「本当に、なんで君が推薦されたのか理解不能だよ。」
主任はため息をつくと、僕の机にあったぶどうゼリーを手に取って、パクッと食べちゃった。
「これ、結構おいしいね。会議のときにこれ用意しといてよ。せめてそのくらいの貢献はできるよね?」
そう言って、主任はドアを閉めた。
お前、何しに来たんだよ。僕の方がよっぽど理解不能だわ。
ぺっぺっ、抗議の意味で唾を吐いたら、スライムも真似してぺっぺって唾吐いてきた。
主任はね、女性エルフの魔法使いなんだ。昔、人間の冒険者と結婚したんだけど、最近その旦那さんが殺されちゃってさ。心が体に影響して、体がまた心に影響して、あっという間に太っちゃって、エルフらしい美貌からは程遠くなっちゃった。でも、輪郭からは昔の美しさがうっすら見える感じ。
主任、スライムが大嫌いなんだよね。旦那さんを殺した元凶だって思ってるみたい。
もし主任の髪の毛一本でも手に入ったら……ふふっ。
クンクン、酒の匂いがするぞ。
匂いをたどったら、スライムが吐いた唾からだった。
スライムに目配せして口の中を見ると、スライムはコクンと頷いた。これは彼にとって不要なゴミだってさ。
発酵してるんだ!
カップをスライムに渡して、スライムがしゃが――
「待って待って、それって……」不衛生っぽいし、吐くって感じもあんまり衛生的じゃないよね。
「ここに集中させてくれる?」って、スライムの胸をツンツンしたら、ゼリーみたいにぷるぷるしてた。
スライムの胸がだんだん膨らんできて、熟した果実みたいにちょっと垂れ下がってきたんだ。
最高じゃん!膝枕されながら飲むなんて、めっちゃ気持ちいいよ!
主任、ありがとうね。会議にスライムゼリーいっぱい持ってくよ。主任がスライムのデカい“アレ”を美味しそうに食べてるところ、しっかり見ててあげるからね!
さあ、早速楽しもう!
「そういえば、明日会議だからね。」
主任がまたドアを開けてきて、また見られちゃった。
「異種族との行為はタブーだよ。」主任、白目むいてドアをバタンと閉めた。
お前だって人間と結婚したじゃん。
***
会議グループは10人。スライムは卵の作り方をちゃんと学んで、保存が長持ちするデカい……ゼリーを作ってくれたよ。しかも大事なのは、お尻からじゃなくて作ってくれたんだ!
みんなで果物を食べながら研究して、スライムがゼリー作るのを見てるうちに、彼らがこの美味しいおやつを食べる瞬間がますます楽しみになってきたよ!
その光景、しっかり目に焼き付けるからね。
僕、会議室に先に着いて、みんなの席にゼリーを何個か置いといた。自分の席以外ね。
「これ何?卵?」
「おやつだよ。開けて食べてみて。」
「生卵食べる趣味はないんだけど。」
「保存方法がこうなってるだけで、中はフルーツ味のゼリーだよ。美容にも効果抜群なんだから。」
「まあいいか……うわ!めっちゃ美味しい!」研究員たち、絶賛の嵐。
「だから僕が彼を推薦したのは正解だって言ったよね!」
遅れてきた派手な服の小柄な研究員がそう言った。そう、僕を推薦したのはこいつだ。
この研究員は、僕が掃除してる大豪邸の主人の息子なんだ。原因不明の病気で何年も寝たきりだったんだけど、豪邸の主人が大金使って治療しようとした。でも、生まれつきの欠陥は再生術じゃ治らないから、最終的に彼は女神の寺院に預けられて、毎日奇跡を祈ってたんだって。
そしたらある日、転んで女神像のスカートに頭ぶつけて、奇跡的に意識がはっきりしたんだ。みんな「女神の恩寵だ!」って喜んでたけど、スライムに狂った愛情さえ湧かなければ完璧だったのにね。
仲間だ!
退屈な会議タイム――
他の研究員たちは何日もかけて任務失敗のデータを集めてきて、戦況を細かく説明してた:
1.魔物の異常な集まりを偵察してた冒険者が行方不明に。
2.辺境警備局の衛兵が死に、死因は“精根尽きて”だって。
3.魔物の規模が部隊から軍団に増えて、しかも単一種族じゃない(ゴブリン、獣人、トロルとか)。
4.討伐隊を組んで、最初は小規模戦闘で勝ってたけど、後半は負けが多くなった。
5.最後は本拠地が奇襲されて、失敗に終わった。
僕の担当って多分2くらいだよね。そりゃこの部署、僕一人しかいないわけだ。
「従業員、次は君の報告だよ。」
主任が、ちょっと居眠りしてた僕をキッと睨んだ。
「え?あ……」何話すんだっけ?スライムのぷるぷる度?スライムが内壁運動を模倣する報告?スライムの主食が精液だってこと?今みんなが食べてるのはスライムのウンチだって?
「僕……学びたい気持ちはあります。」
主任、眉をひそめて次の人にパス。まあ、この分野の専門家は僕だけだしね。
会議の最後、僕、めっちゃ怒られたよ。
会議終わって研究室に戻ったら、スライムに抱きついて今日の仕事の愚痴こぼした。スライムはわかってくれるみたいに、僕を抱きしめて頭を優しく撫でてくれた。
どっちが主人かわかんなくなってきたけど、僕、めっちゃ楽しんでるよ。
「ハロー~~」
ドアが開いた。ここってノックって概念ないの?
「うわっ、ごめんね、邪魔しちゃった?」
うん、帰って。
来たのは僕を推薦した小柄な研究員。でもちょうどいい、僕も聞きたいことあったんだ。
「なんで僕を推薦したの?」
「え、君が先に質問するの?僕、ただ一緒にランチ食べようと思っただけなのに。」
黙って答えるの待ってる。会議でボコボコにされたの、忘れられないんだから。
「まあまあ、そんな気にしないでよ!」
黙ってる。
「君が最初に研究してるとき、ちゃんと見てたよ。君の家、僕の屋敷から近いしさ。」
馬車で20分かかるけどね。
「君って専門家じゃん!」
エッチな方面でね。
「僕ら、スライム好きって共通点あるよね!」
彼、スライム見てるけど、スライムの僕の影響受けてか、あんまり彼のこと好きじゃないみたい。
こんな理由、理由になってないよ。でも、集団の中で異端児って確かに孤独だよね。
「これがスライムの排泄物だってことも知ってるよ。」
小柄なやつ、ゼリー取ってパクッと食べちゃった。
友達だね。