元の姿に戻るよ
終幕とスライムの選択
赤龍、産んだよ。卵の殻、ヒビ入っててさ、赤龍、産まれた卵嗅いで数回で興味なくした。種族の性格ってこれか?てか、おめでとうって言うべき?
盗賊、支配抜けたけど、念のため縛っとく。スライム、盗賊への支配解除した。
「え?ここどこ?俺、服着てねえ!尻メッチャ痛え!」
お前、知らねえ方がいいよ。
本題に戻るけどさ、今、この件、どう解決するか話し合わねえと。
メリスが言ってた解決法、まさかスライムを戦士の体に潜り込ませて、同じように挑戦させる気じゃねえよな。
メリス吸収した統合、もっと強くなってるかも。スライム戻ってこなかったらどうすんだよ。リスクデカすぎ、ダメだダメだ。
「全部ぶっ殺しゃいいじゃねえか?」
赤龍、体軽くなったっぽくて、破壊欲ムラムラしてた。
「隠れるの得意なんだよ。根源潰さねえとキリねえよ。」
ついでに言うと、お前、さっき勝ててねえし。
「彼らが言う光景、平和っぽくねえ?」
ハゲ尾、安定に憧れてた。
「光景だよ。社会じゃねえ。」
「じゃあ根源見つけ出せ!」
主任、戦士の方チラ見した。
「そんな魔法開発すんの、どんだけ時間かかるか分かんねえよ。」
獣の賢者、疑問投げてきた:「真言術使えよ?支配とかさ?」
「生命体にしか効かねえだろ。統合がどこにいるか知らねえし……」
「でも魔像にも効いてたじゃん?」
「んなわけねえだろ。」
「楽園の兵士、あれ全部魔像だよ。」
「何!?どういう……こと?」
そういや最初、スライムに真言術使った時、スライムに知性あるって思ったんだよ。低いけどさ。
その時使った真言術は……
いや。
僕、このまま撤退して、どっかで隠居して一生過ごすのもアリじゃね?
考えちゃダメだ。
てか僕、欲少ないし、大志なんかもってねえよ。
もう考えんな。
「お前、解決法分かった……のか?」
主任、心配そうな目で僕見た。
「いや、知らねえよ。」
僕、首振った。嘘じゃねえよ。
スライム、うなずいた。
「いや……」
みんな、僕とスライム、怪訝な顔で見てた。僕、嘘つかねえから。スライム、嘘つかなくていいから
。
スライム、キョトンってポーズした。
「僕、僕、真言術で戦士に命令できるよ……」
戦士に寄生してるの、盗賊のと同じ。ただの末端だよ。
「やっぱどっか隠居しようぜ……」
統合の宣言じゃ、隠れる場所ねえよ。
「僕ら……」
もう考えんな。
スライム、僕が長い間止まってると、擬態で発声器官作った:「もし――」
「ダメだ!」
スライム、わけ分かんねえって顔で僕見た。
獣の賢者と主任、なんか気づいたっぽい。表情、柔らかくなって、理解示すみたいだった。
赤龍、僕の態度にムカついてたけど、動かなかった。
ハゲ尾、状況つかめてねえ。
「方法分かったよ。ちょっと時間くれ。」
僕、深く息吸った。
最初、真言術:Mutationで進化させちまったから、真言術:Regressionで元に戻せばいいんだよ。
統合、情報集合体だろ。統合に入り込めば、持ってる真言術の効果、全体に送り込める。
戦士と盗賊、末端だから持てる量限られてるし、メリスの挑戦で統合、警戒強めてる。
でもスライム、トロイの木馬にすれば、統合の欲望がスライム喰おうと急いで、全体に感染して、最後には……
スライム、ゆっくりガラス槽の横に移動して、待ってた。
元の姿に戻るよ。
***
最後の選択
結局さ、彼らのためにこんなことする必要あんのかよ?僕、スライムに答え求めた。
スライム、ハゲ尾、赤龍、主任、獣の賢者見回して、僕にニコってうなずいた。
分かんねえよ。お前らに良くしてくれたか?
スライム、僕指さした。
意味わかんねえよ。
スライム、僕をそばに引っ張って、別れみたい、急かすみたい。手、冷てえ感触だった。
世界救うの、僕の仕事じゃねえよ。
スライム、首振った。
僕らが良けりゃいいだろ。
スライム、首振った。
僕の言うこと聞かねえのかよ。
スライム、一瞬止まって、首振った。
「真言術……」
スライム、握ってた手、ゆっくり開いた。
「……Regression。」
スライム、知性ある顔、だんだん溶けて、一滩のスライムになって、ガラス槽、じわじわ埋めた。
思いついた!
僕、ガラス槽に飛び込もうとした。
主任たち4人、僕引っ張って止めた。スライム、4人に分かってるっぽい笑顔見せた。
最後の笑顔。
僕、口開けたけど、声、出ねえよ。
ガラス槽、スライムで埋まった。原始的で、知性ねえ、本能だけのスライム。
事件、あっさり速攻解決した。
周り、なんか僕に言ったり叫んだりしてた。
お前らの声、聞き取れねえよ。
脳みそ、一緒に溶けたみたい。なんも見えねえ。
暗い。
周り、うるせえ。雑音だらけ。僕のために言ってくれてるっぽい声。
ちょっと時間くれ。僕、ちゃんとやるよ。
……
……
…
赤龍の卵殻、パリンって割れた。中からスライム生まれた。僕の手、這って登ってきた。
温順で、最初みたい。




