賢者モードで一瞬空白になる
密道と仲間たち
メリスについていくと、秘密通路の下に着いた。道の果てに赤龍、主任、獣の賢者、ハゲ尾たちがいたよ。
まさかこいつらも操られてねえよな?
スライムとメリス、なんの警戒もなく近づいてった。
「君と深い関係持った奴は、君の集団の一部と見なされて保護されるんだ……」
メリス、そう説明してきた。でもさ、僕、ハゲ尾や獣の賢者とその、なんつーか、アレしてねえぞ?
僕、疑いの目で獣の賢者チラ見した。主任、俯いて答えた:
「だって君、この数日ずっとそんな感じでさ……」
「僕がちょいと技教えてやっただけだよ~」
獣の賢者、めっちゃ困った顔してた。
まあいいか。じゃあ、ハゲ尾は……
僕の視線に気づいて、ハゲ尾、恥ずかしそうに俯いた。
「弟可愛がりだよ……」
赤龍、顔かきながら遠く見てた。
もういいや、そんな大事じゃねえ。
「お前、解決できるって言ったよな?」
メリス、コクンってうなずいて、指さした先にガラス槽2つ。【斬首刀】の戦士と盗賊が入ってた。
「僕ら、集団意識とリンクしてる。この群れに侵入して、主導権握れば全種族支配できるよ……」
メリス、スライム見つめた。
「賢者たちが僕に情報ガッツリ補充してくれたけど、勝てる保証はねえ。勝っても、良くなるとは限らねえよ。」
「悪くなるって?」
「情報統合されたら、人格変わっちまうかも。猿から人に進化するみたいにさ。約束とか意志とか思考、全然別もんになる。」
メリス、一瞬止まって:「人間が神になるみたいにさ。」
何!?それ解決方法って呼べるのかよ?
「もう一つの方法、僕知ってる。でも考えちゃダメだし、言えねえ。」
なんか哲学的すぎんだろ。
「今僕が知ったら、統合の途中で僕消えたら、その方法もバレちまう。」
じゃあ僕、どうやって知るんだよ?
「君なら知れるよ。知る時が来る。」
信じるしかねえのかよ。
***
意識の侵入と戦いの予感
「昔、僕もスライムの情報喰おうとしたけど、失敗したんだ……キス、つまり体液交換が侵入の鍵だよ。先にイっちゃった方が脳、賢者モードで一瞬空白になる。その時、主導権争えるんだ……」
メリス、慣れた手つきで盗賊の服剥ぎ始めた。抵抗してもムダっぽい。
「もう一人、君に残しとく……君に?予、予備?」
メリス、動き封じられた戦士見てたけど、なんか思考止めようとしてた。
ちょっと待て!何見せようとしてんだよ。
獣の賢者、めっちゃ興味津々だった。
「お前みたいな軟弱野郎に興味ねえよ!」
盗賊、口の拘束解かれたら、罵詈雑言連発。
お前、言い方変じゃね?
「近づくな!噛みちぎってやる!」
盗賊、威嚇してきた。
メリス、体液交換の方法一つじゃねえよって煽るみたいに、盗賊ひっくり返した。
「試してみなよ。」
「クソ野郎!何!?やめろ!」
盗賊、ジタバタ暴れたけど、悲しい抵抗、メリスの行動変えられねえ。
「僕、意識をこいつに移すよ。この体、元の持ち主に返す。」
(メリス、意識転移中)
「意識の攻防、一瞬だよ……すぐ結果分かる……」
しばらくして、メリス、気絶して繭に包まれた。盗賊も白目むいて倒れた。
「これから大戦だろ……」
「さっきのこと?」
獣の賢者、会話拾ってきた。
「これからだよ。」
僕、みんなに戦準備しろって合図した。メリス勝っても、僕らの思う通りになるとは限らねえ。
盗賊の体、ピクピクって2回動いて、ゆっくり目覚めた。
盗賊、目開けて、ボソボソ呟いて、拘束解いた。
僕ら、緊張マックス。先手取るべきか?間違えたら謝ればいいよな。
「久しぶりだね。」
盗賊、ニコニコ笑ってきた。
「お前、勝ったのか?」
「意識の中で何世紀も戦争してさ、最後、合意して融合したよ。」
勝ってねえ?
「人間と共存することにした。メリス系の行動パターンに近い感じでさ。」
勝ったのか?
「ただ、細かいとこ変わるよ。僕らが人間管理する。」
聞く価値ねえな。僕、突撃準備した。
「待てよ。コミュニケーションって、人と魔物分ける違いじゃねえの?僕の理論、まず聞けよ。異議あったら、話し合って説得するべきじゃね?」
「うぐっ……」
「統合情報から観察したけどさ、人間みたいな種族、子作りめっちゃ大事にしてる。族群デカくなると資源ニーズも増える。でも資源開拓より、奪う方が早いだろ。だから種族違っても、同じ種族同士でも、利益のために殺し合うよ。」
僕、町が危機の時、見て見ぬふりした他の勢力思い出した。
「だから根本解決するには、族群の数を制御するしかない。資源需要と自然がバランス取れれば、族群も生態も永続できる。僕らが管理して、生殖行為、効率的に避孕させるよ。」
悪くねえけど、争いってそんな単純じゃねえだろ。
「争いのもう一つの原因、貪欲だよ。生活豊かでも、欲望がバカな行動させる。でも僕らなら、そういうの完全シャットアウトできる。」
んなわけねえだろ。
「脳の構造、僕らバッチリ分かってる。何のエリアが何の反応で行動起こすか知ってるから、そこ制御すりゃいい。」
「それ、寄生とか洗脳じゃね?」
「寄生や洗脳って一方的な利益搾取だろ。僕らがこれやっても、僕らに何の得が?彼らに何の損が?事が起きてから殺一儆百するより、予防の方が賢くね?」
「自由意志無視してんじゃねえか!」
「欲望で動くのも、道徳で動くのも、本能で動くのも、どれが自由意志だよ?自分が自由って思えば自由だ。操られてても気づかねえよ。」
なんか概念すり替えてねえ?
盗賊、僕が納得いかねえ顔見て、人間っぽくため息ついた。
「お前ら、感情に支配されてる生き物だよ。反論できねえ、道理ねえって分かってても、自分でも納得できねえ理由で、愚かさや間違い認めんの嫌がる。」
まあ、賢者いっぱいの情報吸った奴だ。口喧嘩じゃ勝てねえよ。
「簡単で原始的な解決法やるよ。弱肉強食だ。弱者は強者に従え。お前らが家畜管理するみたいにさ。」
「お前、僕ら家畜扱いかよ?」
「僕らはお前らを人扱いしてるよ。お前ら管理するのは神だ。この言葉嫌なら、ごめんな。」
「神名乗った代償払えよ!」
戦う理由、見つけたぜ。
「神が神って呼ばれるの、常人超えた力と永遠持ってるからじゃね?僕ら、集団意識で、お前らと次元ちゃうよ。永遠だよ。力――今すぐ見せてやる。」
言葉終わる前に、仲間が先手取るかと思った。僕のことリスペクトしてんのかな。てか、こっち、戦力バケモノの赤龍いるじゃん。こいつでぶっ潰せば余裕だろ。
動かねえ。
振り返ったら、主任、赤龍、ハゲ尾、獣の賢者、縛られたみたいにボーッて立ってた。
「集団意識とリンク切れてても、自我最強のお前以外は、そう上手くいかねえよ。」
盗賊、憐れむみたいに肩すくめてた。飼い主がペット弄ぶ感じだよ。
戦闘開始だ。




