声変わりする前か
洞窟での別れ
「ふぁ、見てるとすっごい深い絆築いてるね。」
D、計画通りって感じのニヤニヤ笑い浮かべてきた。
やばい!何か言い訳ないかな!?
変異エルフのせい?でも僕、全裸だったし。
ここ、蒸し暑すぎた?じゃああのガスどうすんの。
禿尾、意識取り戻してさ。僕を「自分の居場所」みたいに見上げる目で見てきた。
はぁ、もういいや。約束したことはちゃんとやらなきゃね。
「いやいや、こういうの、僕らの界隈じゃよくあることだよ。」
D、僕の肩ポンポン叩いてきて、めっちゃ分かってる風な顔してた。
「変異エルフのせいだよ。」
「ハハハ、まさかこんなとこにいるわけないじゃん。」
D、禿尾が震え出したの見てさ:「じゃあ道中気をつけてね。僕、ちょっと用事思い出したから先帰るよ。この道、もう安全だし、この首輪、君たちに役立つかも。」
D、首輪渡してきて、薄緑色の顔して逃げるみたいに走ってった。大狼、物資と地図置いて、部下に先にパトロール行くよう指示して、自分も去った。
そしたら僕、思い出した。禿尾ってオスだったんだよね。じゃあ……。
なんであの時、スライム、禿尾襲わなかったんだ?メスなら食うもんないって分かるけど、残りの栄養まで僕にくれるなんて?
主従じゃない、餌やりでもない、ペットでもない……伴侶だからか。
伴侶、ね。
伴侶なら嫉妬覚えてほしいのかも。でも僕、まず信頼されることから始めなきゃね。
僕、指輪ギュッと握った。
***
帰路の準備
ちょっと休憩してさ。禿尾、荷物整理に忙しくしてる。僕、禿尾連れて帰る理由考えないと。
僕が責任取る?いや、それじゃ僕の評判もっと変になっちゃうよ。
護衛だって?強さ的に主任に全然及ばないし。
オスだって?元々オスだよ。
禿尾、荷物片付けて、静かに僕の足元に座ってきた。
ペット?いや、それでも変だよね。
僕、禿尾の頭撫でて褒めてあげた。禿尾、ちょっと震えてさ。この愛撫、すっごい久しぶりで欲しかったみたい。ツルツルの尻尾、揺れ始めたよ。
そういえば、僕の周りの人たちってみんな強キャラばっかだよ。こんな風に頼られるの初めてだな。
僕、禿尾の顔なぞって、アゴ下ガリガリ掻いてあげた。禿尾、かすかに「うぅ」って声出してた。
僕もずっとスライムに頼ってて、守られてる側だった。
僕、禿尾の頭を膝に乗せさせて、後ろ首から撫でてさ。尻尾の先あたりまで行ったら、禿尾のお尻ピクッて跳ねた。
昔は自分守るだけで精一杯だったけど、今なら誰かのために何かできる余裕あるかも?
僕、禿尾ひっくり返して、抱き寄せた。お腹下の方揉んで、柔らかくヘソ周りクルクルなぞった。禿尾、体ポカポカしてた。
こんな忠誠心あって従順な気持ち、ほんと新鮮だよ。
僕、指を禿尾の口に入れて、歯擦ってみた。禿尾、慣れてなくて顔そらしちゃった。
「これつけてあげるよ。僕が責任取るって約束だから、これから君、僕の家族ね。」
「うん。」
僕、首輪を禿尾の首に巻いた。
ペット飼う感じでいいよね!ペットなら――
僕、禿尾のちょっと膨らんだ股間見ちゃった。
禿尾、危機感じたみたいで、ブルッて震えて、立ち上がってキョロキョロした。
声変わりする前か……。
***
帰路とその後
無事に帰ってきたけど、なんか悪い予感するよ。何か忘れてないかな?
禿尾、村にいた時は強がってたけど、今じゃ年相応に戻ったみたい。僕にピッタリくっついて歩いてる。
「え?あれ、獣化人じゃない?」
「しかもオス?首輪までつけてる?」
「さすが人間だねぇ!」
他に言い方ないの!?
いつもの流れで、まずメリスに報告だよ。
ドア開けたら、メリス、僕見て救世主でも来たみたいにニカッて笑った。向かいに人影いるっぽい。
「あ、ちょうど帰ってきた!この人、賢者評議会の使者でさ。君に用があるって。」
賢者?評議会?新単語だね。説明なし?
「初めまして、スライム賢者さん。僕、石の賢者です。評議会の招待で来ました。大会議に出席してほしいなって。」
「いやいや、初めまして。出ないとどうなる?」
「ふぁふぁ、特に何もならねえよ。」
「ほぉほぉ、じゃあ行かない。」
「いや、剛帰ってきたばっかで疲れてるよね。休んでからまた話そう。」
メリス、僕を追い出すみたいに急かしてきた。
「じゃあ三日五日七日八日くらい休むね。」
勝手にOKってことにしとこ。やっと休める!清掃員時代よりキツかったよ。
次、禿尾の居場所決めないと。僕、禿尾を研究室に連れてった。
ドア開けたら、物がキレイに並んでて、めっちゃ清潔だよ。一回出て看板確認した。間違ってないよね?
適当に調べてみたけど、泥棒入った形跡ないよ。てか泥棒が掃除しないよね。逆に本棚、なんか本増えてる。
『エルフ宝鑽』
『ロードス島戦記』
『タイランドのバナナ』
……
うん。




