地球は一つしかないけど、おっぱいは二つ
Dと大狼の会話の要約を聞いて
近くに狼の群れがいるみたいで、この辺りを捜索してるらしい。集まってる数は脅威ってほどじゃないけど、定期的にパトロールしてる獣の手を増やさないとね。若い個体じゃ経験不足で外敵に対応しきれないよ。
Dが僕に村の構成を説明してくれた。全部が一箇所に集まってるわけじゃなくて、地域内に散らばってるんだって。例えば牛人や羊人は自分たちで群落作ってるけど、犬狼族は守備担当だから、彼らと混ざって暮らしてる。普段は群落の間を巡回したり狩りしたりしてるよ。明確な境界線がないせいか、巡回の範囲がめっちゃ広いんだ。
僕らが向かうのは牛人メインの群落だよ。
大狼のパトロール隊に別れを告げて、無事に牛人の村に到着した。
牛人の村は、守備の犬狼族以外は牛と牛人がメインでさ。見た目は普通の村とあんまり変わらないよ。耕してる牛と獣人、野菜干してる牛と獣人、織物作ってる牛と獣人って感じで、完全に自給自足できそうな雰囲気だね。
「ここって一頭の牛に獣人一人って感じ?」
「この群落だとそうだね。普段は牛の世話も必要だし。」
「他の場合は?」
「犬狼族だと強さが魅力の基準でさ、弱い個体は交尾の権利ないんだ。強い個体は子孫いっぱい残すために頑張らないとね。」
じゃあお前、強いのか弱いのかどっちだよ?
「強さって幼い時からハッキリしてるよ。あの子見てみて。」
Dが小さい獣の群れの中の一人の子を指さした。
その子、同年代の子と比べるとすっごいガリガリで、服もボロボロ。枝みたいな細い手でバケツ必死に握ってるけど、フラフラして水こぼしまくってる。尻尾もツルツルで毛がないよ。
「なんで誰も助けてあげないの?」
「その子の群落、もう自分しか残ってなくてさ。このままじゃ次の冬越せないかもね。」
「いや、なんで助けないのか聞いてるんだけど。」
「その子の群落、もうバラバラになっちゃっててさ。僕ら、自然の摂理に従って自分の群落の個体しか世話しないんだ。他の仲間は別の群落に散っちゃった。つまり……誰も欲しがらない子なんだよ。」
「お前ら、マジで野獣だな。」
「ありがとう。でも僕ら、まだ人間の部分も持ってるよ。数日後の巡回実習に合格すれば、新しい群落作ったり、どこかに加わるチャンスあるかもね。」
D、少し間を置いて、懇願する目で僕を見てきた:「天択に淘汰されなければね。」
何か言おうと思ったけど、僕に助けられるわけないし、正義ぶったカッコイイ言葉言うのもただの冷やかしだよね。
ていうか、僕、いつからこんな正義漢になったんだ?
「中へどうぞ。僕らの製品、この酒場に保存してるよ。乳飲料、いくつか等級あるから、検品よろしくね。」
Dがパチンって指鳴らしたら、バーテンが次々乳飲料を僕の前のテーブルに並べてきた。
「これが一番量の多い普通の乳だよ。」
一口飲んでみた。濃厚で香ばしくてさ、牛への愛がないとこんな品質のミルク作れないよね。
「これ、メインがイチゴのイチゴ乳。」
ミルクの上にほのかなイチゴの香りが漂ってて、新世界開けた感じ。
「こんな感じで、パイナップル、バナナ、リンゴ、麦芽とかもあるよ。」
全部一口ずつ飲んでみた。フルーツとミルクがこんなに合うなんて初めて知ったよ。
「これが一番量少なくて最高級の乳ね。」
濃厚で香ばしいだけじゃなくて、甘くて繊細。香りも口当たりも余韻も、さっき飲んだどれとも比べ物にならない。
「こ、これ!?どうやって作ったの!?」
僕、口押さえて、飲んだものが信じられなかった。
「愛だよ!牛を幸せにすれば、その幸せが製品に反映されるんだ。牛が幸せな時に搾った乳が一番美味しいんだよ!」
D、興奮して拳握った:「搾乳現場、体験しに行く?」
「いいね!……いや、やっぱダメ。」
どうやって幸せにするか、だいたい想像つくよ。
「僕が言うのも変だけど、製造現場見てもらった方がいいよ。そうすれば協力も安心できるよね。」
巨乳は見たいけど、獣人が牛と交尾しながら搾乳してる場面はちょっと見たくないな。
「あ、言い忘れてた。最高級乳は牛人が出してるやつで、普通の牛とはちょっと違うんだ。」
「じゃあ早く連れてってよ!」
***
牛人の小屋へ
Dが僕を小屋に案内してくれたけど、中から音全然聞こえてこない。人がいる感じしないね。
「声結構でかいから、ここ、常時沈黙術かかってるんだ。」
ちょっと期待しちゃうね。
ドア開けた瞬間、いろんな喘ぎ声や嗚咽が耳に飛び込んできた。でも暗すぎて目が慣れなくてさ。微かな光の反射で、牛の角持った女の子のキレイな体がテカテカ光ってるのがチラッと見えた。あと、デカいおっぱいが激しく揺れてるのも。
へへ、このおっぱいの揺れ、残像出るレベルだよ。僕の目、早く慣れてくれ!
さっきの子どもの群れで確認したけど、この辺の牛人って爪、耳、尻尾だけで、動物要素20%くらいだよ。興奮しすぎて牛の頭にやられるみたいな恥ずかしいことにはならないよね!
目がだんだん暗さに慣れてきた。
予想通り、おっぱいがハッキリ見えてきた。
へへ、地球は一つしかないけど、おっぱいは二つ…
三つ…
四つ……
残像じゃないよ




