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独身の呪い

「何かおかしい?」

「サイズくらい気にしてくれてもいいよね……」サイズが合わないんだよ。

Dがアゴを撫でて考え込んでる。僕、その手につられて見たら、牙が生えてるのに気づいた。こいつ、獣人だ!

「デュルイドって動物と話せたり、動物に変身できるんじゃないの?その方が安全じゃない?」

「僕らの理想って伝統的なデュルイドとちょっとズレててさ。神力の一部しか使えないし、変身も自分の魂とめっちゃ繋がりの強い動物にしかなれないんだ……」


D、結論出した:「僕の愛がまだ足りてないんだよ。」

獣好きの獣人か。まあ、大した問題じゃないか。

「なんでウサギ好きなの?」何気なく聞いてみた。

「それは昔、呪われた獣人たちが戦った大戦まで遡るんだ。」

実は何気なく聞いただけで、別に興味ないんだけど。

「邪悪な魔法使いが僕らの種族に『独身の呪い』をかけたせいで、それ以来メスの赤ちゃんが生まれなくなっちゃってさ。」

悲惨だけど、女獣人って……。

「種族を存続させるために、他の種族の腹を借りるしかなかったんだ。僕らだって嫌だったよ。異種に発情なんてできるわけないじゃん?」

お前の行動、ちょっとおかしくない?

「その後、一行がその魔法使いを倒してくれて、呪いは解けたんだ。」

効果バッチリだったね。

「でも長い間そんな生活してたから、僕らの美的感覚がもうグチャグチャでさ。女獣人がいても発情できる相手かどうか分かんないんだよ。」

獣好きと関係ない話じゃないこれ?

「その時、エルフにも悪いことしちゃってさ。でもそのエルフが突然変異して、終わらない復讐を始めたんだ。」

眠くなってきた。

「なんか分かんないけど、君って特別親しみやすい感じがしてさ。普段言えないことも話しちゃうよ。」

「え?あはは!何だよそれ~」

「僕がまだ小さかった時、その変異エルフが僕の村を襲ってきて……」

ここから本番っぽいね。エルフの戦闘力、僕、昔見てるから知ってるよ。

「そいつ、村の雄を全部搾り取っちゃってさ。」D、顔を覆って嗚咽。

……そういう襲撃かよ。

「それ以来、雄はみんなメス恐怖症になっちゃって、当時子供だった僕も…僕も…」

D、気持ちを落ち着けて:「その後、被害者協会が動物療法で心の傷を癒せるって気づいてさ。僕らの多くは自然に近い仕事に就いたけど、デュルイドの目には異端者扱いだよ。」

「うん、ほんと大変だったね。」


「ここにいる?」主任がドアを開けて顔覗かせてきた。

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃーーー!」D、窓ぶち破って逃げ出した。


どうやら本当のこと言ってたみたいだね。

***

「さっき失態見せてごめんね。こういう理由でさ、輸送は僕ら主導でやりたいんだ。君に僕らの村に来て、品物の品質チェックしてほしい。あと、その人、先にどっか行ってもらえる?」

D、主任をチラ見。まるでビックリした鳥みたいだ。


主任、腕組みして動く気配なし。

「ねえ主任、彼、この件でマジでトラウマあるんだよ。」

主任、口尖らせて出てった。


D、大きく息吐いて、少しリラックスしたみたい。

「僕の症状、もうほとんど治ってるはずなんだけどさ。この話して似たようなエルフ見たら、一瞬でその記憶が蘇っちゃって。」

「獣人から見たらエルフってみんな同じ顔に見えるんじゃない?」

「確かに。君とメリスさんの違いもあんまり分かんないよ。」

「じゃあ、君の希望通り僕だけで村に行く感じだね。準備したら出発できるよ。」

「うん、僕の動物的な勘が君なら信頼できるって言ってる。でも絶対内緒にしてね。」

D、去る時、ドアに立ってた主任にビックリして、情けない悲鳴上げながら転がるように逃げてった。


主任、入ってきて僕の横に座った。

「出張?今度どこ行くの?」

「えっと、まあ、言いにくいんだけど……」

「護衛必要だよね?」

「相手が一人で行けって言ってるし、今回は道中危険ないよ……」多分お前より危険なものもないし。

「心配だよ!」主任、僕の手首ギュッと掴んで、強い目で見つめてきた。


「獣人の匂いがするね。」赤龍が入ってきて、手にケーキ持ってる。「ちょうど味変したかったんだ。」

「えっと、これから数日出張で出かけるから……」もっとヤバいのが来た。

「報告してくれるのは偉いね。許可してあげる。」

赤龍、褒めるみたいにニッコリして、体から鱗を一枚剥がして僕にポイッと投げてきた。


「魔力込めたら、普通の獣は近づいてこないよ。大事にしてね。」

「これで安心できるわけ!?」主任が反論。

「疑うなんて侮辱っぽいね。」赤龍、牙見せながらニヤリ。

「ねえねえ、おままごとだからそんな気にしないよね。」

「彼と遊んでるだけ。」赤龍、ケラケラ笑って出てった。


「頼むよ、彼のことちゃんと見ててくれ。すぐ戻るから。」僕、主任にお願いした。

「むっ、無事に帰ってきてね。」主任、ネックレス外して僕の首にかけ直してくれた。


よし、これで僕とスライムの二人旅だ!



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