二刀流
四日間の旅程がぼんやりと過ぎ去った。コペンの紹介を聞いた後、興味を引くものはあまりなかったけど、ここは確かに急速に繁栄した町だ。
大量の骸骨の上に築かれている。
「信じてくれ、君ならできる!
自分で老板になれ!
努力より選択が大事だ!
ここにはプレッシャーなんてない、みんなが助けてくれるよ!
君がまだ迷ってる間に、俺はもう稼いでるんだぜ!」
コペンは自分の話が全く俺を動かせていないことに気づいたみたいで、その後は賢く話題を避けた。
結局、俺たちに馬を?馬車を?渡してくれた。荷物を満載した馬車だけど、引っ張ってるのはぬいぐるみみたいな馬だ。
見た感じ、ぬいぐるみ馬はただの案内役で、車自体に動力があるみたい。こいつが何でできてるのか想像するとゾッとする。
馬車には竜の骨と鱗が積まれていて、今回の調査の贈り物らしい。
すぐに旅に出た。主任は不機嫌そうに黙り込んで、あまり喋らない。自分で運転しなくていい馬車に付きまとわれるのが気に入らないみたいだ。
ちょっと寂しい雰囲気だけど、俺も何を話せばいいか分からない。
突然、馬車がガクンと揺れた。
「敵襲だ!」主任が大声で警告して、馬車が加速した。
軽く匪賊を撃退できる主任をこんなに驚かせるものって何だ?
俺は首を突き出して見た。天辺から暗い影が徐々に近づいてきて、暗紅色の体が圧迫感を放ちながら迫る。腹部の鱗の隙間から赤い光が一瞬輝き、それが首を上げた部分に移った。
「ブレスだ!」主任が馬車に飛び込んで俺を抱きかかえ、一緒に転がり出た。
馬車を引く馬は悲鳴を上げる間もなく炭になり、馬車は燃え上がり、後ろに付いてたぬいぐるみ馬車も衝撃でひっくり返ってバラバラに。俺は慌てて自分の火を消したけど、服は焼けてボロボロだ。
赤い竜が何か俺の分からない言葉を喋った。主任が答えたけど、やっぱり分からない。
「何が起きてるんだ?」
「同類を探してるんだ。見つけられなくて八つ当たりしてる。」主任が俺の前に立ちはだかる。「逃げるチャンスを探せ。これは戦える相手じゃない。」
馬車は壊れてるし、どうやって逃げるんだよ。向こうは飛べるんだぞ。
「(竜語)!」
距離が近すぎて、主任が魔法を放つ前に赤竜が巨大な前足で振りかぶった。主任はギリギリで避けたけど、伸びた首が主任を追ってガブリと噛みつき、臭い息が俺の顔に吹きかかる。主任の腕に傷が走り、翼の打ちつけで血を吐きながら震え、最後に俺を突き飛ばして、竜の尾の一撃を一人で受けた。体が木の葉のようには空中から落ちた。
逃げるチャンスなんてない!
赤竜が俺の方を向いて首を上げ、深く息を吸う。腹部の赤い光が喉元に移動した。
「真言術:閉じろ!」賭けだ。
赤竜が勢いよく頭を下げたけど、口は開かず、炎が歯の隙間と鼻から漏れ出て、水に噎せたみたいに苦しそう。でもダメージはない。
次はもっと怒った攻撃が来た。良かった、動きが単調になって避けやすい。
飛べる相手だ。逃げ切れないし、主任を置いてくわけにもいかない。
真っ向から勝つしかない。
幸い、俺は強くなった。真言術が効くくらいに。
怒りで攻撃が単純になって、避けやすい。
俺のダメージは微々たるものだけど、すべての雄生物の共通弱点を知ってる。
全身が鱗で覆われた竜の弱点。
見えないなら、自分で出させればいい!
「真言術:Erection!」
…無効。
何?口を閉じるより勃起の方が難しいのか?
呆然としてる間に、赤竜が隙をついて新一波の攻撃を仕掛けてきた。質量で俺を糸の切れた凧みたいに吹っ飛ばす。スライム服が衝撃を吸収して、ダメージはなかった。
体積で勝てると思うな!行け!ドラゴンスライム!
スライムが俺から離れて、見事に竜を模倣した。でも鱗を作るのに質量を使いすぎて、体積が相手よりずっと小さく、簡単に叩き潰されて、俺も一緒に竜骨と鱗の散らばった馬車脇に吹っ飛ばされた。そしたら赤竜は俺に興味を失ったみたいで、主任が倒れた方へ歩き出した。
「人間よ、伴侶のない苦しみを味わわせてやる!」赤竜がわざわざ共通語で言った。
俺を見逃す気みたいだな。じゃなきゃ苦しみを感じられないだろ?
「そんでお前を食ってやる!」
頼むから一気に言ってくれ。
待て。お前、雌なのか?
じゃあOrgasm…でもそれじゃ弱点が出ない!こいつ無敵じゃん!
散らばった竜骨と鱗を見て、スライムにそれらを纏わせた。構成を省けば体積がかなり大きくなるかも。俺は頭の部分にいて、真言術で相手を牽制しながら、スライムが俺を守ってくれる。一蓮托生だ。
赤竜が一歩一歩主任に向かう。どうにか注意を引き付けないと。
「真言術:Orgasm!」
赤竜の体が少し震えて、俺の方を向いた。スライムの擬態はまだ完成してなくて、俺は頭の部分にいる。
「人間、面白いことしたな…」
竜の血肉でゴーレム作ると千里追われるって言うけど…
「満足させれば、見逃してやる!」赤竜がゆっくり近づいてきた。
良かった、これの話か。俺、自慢じゃないけど結構得意なんだ。戦わずに済むなんて最高だ。
まず、前戯。
鋭い歯と熱い息の口を見て。
お前らの文化にキスはないだろ、パス。
じゃあ、愛撫。
乳…乳はどこだ?この辺にあるはずだろ?
赤竜が苛立って鼻から炎を噴いた。
分かった分かった、本番だ。
俺は赤竜の背後に回って、想像力で勃起させた。
なんか変な感じがして、生殖器の部分を確認した。
二刀流。
な、なんでだよ?
どうやって操るんだこれ!
二本あるのが男の夢だって聞いたことあるけど、どこがだよ!どっち使うか分からねえよ!
一本で十分だろ!
余分なのを幻肢だと思って練習だ。左、右、左右左右、一緒に、一緒に一緒、うん、いけるか?結構楽しいな。
赤竜が首を半分振り返して、怖い目つきで睨んでくる。俺、縮みそうになった。
遊ばねえ、すぐやる!
弱点に狙いを定めて、ドラゴンスライムが作ったちんこの感触が完璧に伝わってくる。意外と気持ちいい。
これも生物共通の本能なのかも。赤竜の呼吸が重く長くなって、正しいって感じがした。
スライムが俺の出したものを模擬液体に混ぜて、赤竜の中に入れた。
しばらくして、赤竜がゆっくり倒れ込み、俺も続けられなくなった。
「……目覚める前に去れ。」
その言葉を待ってた。
ドラゴンスライムにひっくり返った馬車を直させ、主任を乗せて、戦場から速攻で離脱した。
俺、竜騎士だろ。