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人間なんてクズばっかりだと思ってたよ

もうバレちゃってるよ。食料集めてじっくり進むなんて無理だ。主任が通信術でこっちの状況を知らせた後、最短ルートで山洞に突っ込むことに決めたみたい。会長のほうは死にものぐるいで注意を引きつける気満々だろうね。


戦士と盗賊、やっぱベテラン冒険者だけあって連携がバッチリだ。戦士がガッチリ守って、盗賊が隙を作って敵を油断させる戦法で、道中の障害もいろんな戦術でサクサク解決。主任が入ってからは、障害を片付ける選択肢がさらに増えたよ。

でも変なんだよね。毎回トロールは一匹だけ出てくるのに、二度目の戦術だと効果がめっちゃ落ちる。主任が持ってきた巻物もガンガン減っちゃってさ。


またトロールが襲ってきた!攻防戦の末、戦士がトロールの頭半分をぶった斬って、死体が私の足元にドサッと倒れる。私、思わずオエッて何回か吐きそうになった。


「まただ。あの日と同じだよ。」戦士がまるで悪夢を思い出したみたいに呟く:「あの時もこうだった。戦術がどんどん効かなくなって、逃げ出したけど振り切れなくて……」


野生のスライムだよ!スライムが教えてくれる。

は?ここにあるの豆腐花だけじゃん……頼むから見たくないよ。


視界の隅で、豆腐花の横から野生のスライムがヌルッと這い出てきた。


野生のスライムが逃げた!


気持ち悪いの我慢して、ダッシュで野生のスライムをグチャグチャに潰して復活できないドロドロにしたら、「うわっ」って盛大に吐いちゃった。


「もう慣れてもいい頃だろ。今、状況ヤバいんだぞ……」戦士が心配そうに文句言う。

私が手を上げて止める:「君の悪夢の原因、分かったよ。」

***

「野生のスライムがトロールの脳に寄生してるんだ。トロールが倒されると、情報を次のトロールに持ってって、また寄生する。」

「そんなこと……ありえるのか?」

私、スライムが肺を模倣してるの見たことあるよ。

「頭を狙うのは正解だよ。火とか氷のダメージを一緒に与えて、スライムもまとめて殺してしまえばいい。」戦士が聞いて、冷気を帯びた魔法武器を取り出した。

「スライムってバカで弱いんじゃないの……?報酬、これで足りる?」盗賊の顔が青ざめてる。

バカはお前だよ。お前ん家全員バカだよ。

「まだこっちが気づいたって気づかれてないはずだ。この点を活かそう。」主任が作戦を立ててくれた。


この数日、確かに私たちの動きはバレてなくて、トロールも同じ技が二度効かない相手じゃなくなった。単独のトロールを片付けて、山洞の周りに潜伏。今、もう目視できる距離だよ。


トロールたちの動きも今までと違ってきて、兜をかぶったトロールが他のトロールを指揮して、散開して大規模に捜索してる。護衛は数匹しか残ってない。


トロール、やっぱり私たちの位置を間違えて判断したみたい。隠れてる場所からトロールの群れが通り過ぎるのを見てる。


チャンスだ。

***

山洞のキャンプまであと一歩。

ここは粗末だけどデカい木造建築がいくつかあって、普段は首領が安全な山洞に住んでて、地位の低いトロールは野宿。まあ、彼らには大差ないみたいだけど。動物の骨が家具や飾り物になってて、濃厚な原始っぽい雰囲気が漂ってる。


トロールって装備とかあんまり身につけない。下半身に何か隠してるくらいで、武器はそこら辺の木の棒が定番。でも素手でもめっちゃ脅威的なんだよね。


このトロール、異様に兜かぶってる。前情報と合わせると、こいつが首領の可能性十中八九だ。こいつを倒せば終わるよね、きっと。


兜トロールのそばにいる護衛は絶対離れないっぽい。これが最後の強行突破だ。


主任が火球で奇襲をかけて、連発魔法で護衛トロールを最速で片付けた。今、私たちと兜トロールが真正面で対峙してる。

兜トロールが頭を振ると、山洞からまた数匹のトロールが飛び出してきた。


待ち伏せされてた。


護衛トロールが一定の距離を保って私たちを囲んで、ネズミでも弄ぶみたいに一匹ずつ出てきて小競り合いしてくる。兜トロールはそれ見てて、まるで私たちから何か学びたいみたい。


戦士が一匹のトロールを受け止めて、盗賊が相手の攻撃を必死にかわしてる。主任はこんな囲まれた敵に手も足も出なくて、魔法だと敵の一部を逃すか味方を巻き込むかのどっちか。


ここで私のターンだよ!


「気をつけて!」

みんなくそ強いから、私の影響受けないよね、たぶん。

「真言術:」

硬くしてもあんまり優位にならないかも。手を使えなくしよう。

「Masturbation。」


この間の鍛錬のおかげか、効果がバッチリ出た。範囲内のトロール全員が我慢できずに手を伸ばしてシコシコし始める。戦士がその隙にトロールの頭をザクッと斬り落とした。


「て、てめえ!?何やったんだよ!?」盗賊と目の前のトロールが二人ともシコシコしてて、まるで競争してるみたい。


お前もそんな強くないじゃん、盗賊。


盗賊の前のトロールが勝負に勝って、盗賊の顔にドバっとぶっかけた。噴射の勢いで盗賊が吹っ飛ばされて何回転か転がって、戦士が慌てて駆けつけてトロールを斬り殺した。


主任が軽蔑の目で私を見る。


私、戦ってるんだよ!

***

盗賊の様子を見に行った。盗賊にかかった液体、ヒ素一斤と砂糖一袋を鍋にぶち込んだみたいな感じで、ゴマペーストよりドロッとしてる。目視で盗賊の状態を確認:気絶してるけど、まあ大丈夫だよね、きっと。


やっと兜トロールと一対一だ。戦士と主任が対峙してる。私、兜トロールがゆっくり武器を手に持つのを見た。棒状の何かだ。


打撃への対抗ならちょっと心得あるよ。


巨棒の先端はトゲトゲの鉄球。いわゆるモーニングスターだ。


やばい。


戦士と兜トロールが一騎打ち。主任が隙を狙って魔法撃つけど、トロール、自分の弱点がどこか分かってて、頭を晒すような動きには全然引っかからない。


このまま膠着してたら、捜索中のトロールが戻ってきてチャンスがなくなる。私、遠くからドンドン響く足音がだんだん大きくなってるの聞こえた。


主任が突破口見つけて、兜トロールの兜に灼熱金属の魔法をぶち込んだ。兜がめっちゃ熱くなるやつ。

兜トロールが一瞬慌てた。戦士がその瞬間を見逃さず、天辺からザクッと斬り下ろして、首まで到達して止まった。


戦士の顔、喜びじゃなくて困惑が浮かんでる。


兜トロールの兜がパカッと割れて落ちて、中から半分に割れたトロールの頭が見えた。でも血が一滴もない。戦士の武器、まるでゼリーの塊に突き刺さったみたい。


そのゼリー塊が兜の制限から解放されて、五倍くらい膨張して、トロールの頭の形を保てなくなった。この野生スライム、トロールの脳みそ全部乗っ取ってるよ。

スライムの頭が牙を剥いて、怪獣みたいに戦士を覆って飲み込んだ。


「寄生獣……」もうスライムじゃないよ、これ。


主任がトロールに魔法をぶつけるけど、トロールが素早く避けて、まるで熟練の戦士みたい。

トロールが戦士を吐き出して、ゼリーがデカい頭に固まって、私たちに叫んだ:「我が渇望となれ。」

意味分かんないけど、嘲笑ってるよね。こいつ、相当な知能持ってるっぽい。

主任が私の横に並ぶ:「チャンスがあったら逃げろ。」

トロール、私たちが喋ってるのに気づいて、喋り終わる暇もくれずに突っ込んできた。


知能持ってるよ、こいつ。


トロールの頭の細胞全部が、まるで一個一個のスライムでできてるみたいに想像した。大半が眠ってるだけで、一匹だけが命令してる。


起こしてやろう。


「真言術:」私が主任の前に立つ。


「Fear。」


トロールの突進が止まって、足取りがガタガタ。


「Fear。」


トロールの足がさらに遅くなって、ゼリーの頭が歪み始めて暴れてる。


「Fear。」


トロールがモーニングスター振り回して、私を攻撃。吹っ飛ばされて二、三回転がって止まった。体触ったら、デカい血の穴が空いてる。


主任が私を見る。私、主任に逃げろって警告しようとしたけど、空気が声帯を通らない。

スライム服が必死に傷を修復してくれてる。私死ななくても死んだふりするつもりだったよ。


トロールの頭がさらに歪んで、爆発。飛び散った酸液が主任にかかって、主任が叫び声を上げた。

トロールが倒れて、ゼリーが四散。無数の弱いスライムに分裂した。最初はバラバラに逃げてたけど、すぐまたトロールの体に集まりだした。

主任がそれに気づいて、私を一瞥した後、自分の足元に火球術を放った。


戻ってきたトロール集団の地響きがだんだん遠ざかる。

トロールの首領、私たちに消されたよ。


主任が爆発の煙の中からヨロヨロ出てきて、私の横に倒れ込む。瀕死で私の傷を見た:恐ろしい空洞が私の体に不自然に空いてる。

常識じゃ私も主任も助からない傷だけど、私にはスライムが治療してくれてる。


主任が再生術の巻物を取り出して、発動。


対象:私。


私の傷が少しずつ癒えていくの見て、主任の緊張が解けたみたい。微かな笑みを浮かべて放心状態に。


私が主任のぐったりした体を支える。これ何?死ンデレ?デレたら死ぬの?


「人間なんてクズばかりだと思ってた……」


あ、お前エルフか。


よし、助けるよ。

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