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あ…ア~~ス~~

地面に乾いた暗紅色の痕跡が広がり、あちこちから聞こえる悲鳴、汚れた包帯を見て、ようやく危機感がリアルになった。

魔法なんてとっくに足りなくなってる。もっと危険な状態の人とか、重要な誰かに使わないといけないからね。私は無意識に身につけてる小袋をチェック。数が足りてることを祈るしかない。

私ならとっくに逃げてたかもね。定住手当以外に何が彼らのモチベーションなんだろ?名誉心とか?

それとも危機がドアを叩いてきたら、もう戦うしかないってだけか。


耳に入ってきた戦況の噂:

何故か魔物集団のターゲットは私たちの村。ほかの場所は戦争で手一杯だったり、村が普段から自治してるせいで、誰も助けに来られないらしい。


戦後に復興ついでに村を乗っ取るつもりなんだろうね。


主任と私、会長とで顔を合わせて、今の状況を軽く話す:

膠着状態を保って死傷者を減らすしかない。もう少しでも犠牲が増えたら、冒険者たちの士気が崩壊しちゃうよ。


いくつか指示を出した後、今回の重要任務を担う冒険者チームと合流。

この任務を引き受けたチームは【首斬り刀】って呼ばれてて、メンバーは戦士、盗賊、魔法使い。強行偵察が超得意で、チームの切り札を絶対に明かさないから、任務成功率がめっちゃ高いんだ。


でも今回の任務で大打撃を受けたらしい。こんな規模の魔物集団なら、首領さえ倒せば自然とバラバラになるはずなのに、首領を見つけられず、逆に居場所がバレて魔法使いを失っちゃった。外からの助っ人を嫌う彼らだけど、私たちの加入を受け入れるしかなかったみたい。


主任が彼らと引き継ぎしてる時、突然戦士が「うおおっ!」って叫んで、私、ビックリして二歩下がっちゃった。主任は平然としてるけど。

「こいつ、こんなビビりで、筋肉だけは健康的に鍛えてる感じ?戦えるの?」盗賊が口を開く。

「気にしないでくれ。俺の相棒、欠点ないけど真っ直ぐすぎるだけさ。ちょっとしたテストだよ。」戦士がフォローしてきた。


「こちらはスライムの専門家だ。前にやらかした教訓を生かしてくれよ。」主任が私の前に立ちはだかる。

主任お得意の睨みが炸裂!両腕を胸の前で組んで、三七歩立ち。普段私を叱る時より百倍威圧感マシマシだ。

「隠れてる時にこいつが虫にでもビックリしたらどうなるか、分かってるよな?」

「彼は専門家だ。」主任が会話を遮る。

「分かった、分かったよ。俺らだって専門家だし、報酬分だけ働くプロフェッショナルさ。」戦士が降参するみたいに話を切り上げ、盗賊をなだめて離れた。


これってツンデレ?


主任が振り返って私を見る。


「えっと、その、私のためにありがとう……」


主任はしばらくじっと見てから、深くため息をついた:「頑張れよ。」


やっぱりツンデレじゃないか。

***

盗賊の報告を聞くと、彼らは最初順調に敵の首領を探り当てたらしい。首領はトロールが中心の集団だったけど、距離を詰めた時にバレちゃって、それからずっと追跡を振り切れなかった。魔法使いは疲れ果てた時にスライムに襲われて精根尽きて死に、残ったメンバーは強行突破でなんとか逃げ出したんだって。


彼らの考えじゃ、このスライムが絶対おかしい。鈍臭いトロールにあんなしつこく追われるなんてありえないって。


敵の首領は山洞に住んでるらしい。私たちが目指す場所には森を抜ける必要があって、そこは沼地と入り組んだ木々が広がってる。スライムが隠れるにはうってつけの場所だ。


盗賊が判断した一番近い安全距離にすぐ着いた。ここでキャンプを張る準備をするよ。


「スライムの専門家として、俺と一緒にこうしてほしい。」私は戦士と盗賊を呼び止めた。

「冒険の専門家として、君とバカなことやりたくないね。」

「好きにすれば。悪いスライムに襲われて精根尽き果てたいならね。」私は草むらを指さす。盗賊が何か動いてるのに気づいて調べに行ったら、スライム一匹を仕留めてた。


スライムがいるなら、他のスライムを見つけるのは難しくないよ。


「分かった。どうするんだ?で、主任はどうしてこない?」

「ここで銃を撃つんだ。」私は見本を見せてあげた:「タマタマをちょっと空っぽにして、この穴に集中させるの。」

「お、お前、頭おかしいのか?」

「頭おかしいかどうかは、明日死ぬか生きるかで分かるよ。」

「付け合わせもないぞ……」戦士が文句言ってる:「太ったエルフしかいないし。」

「俺、いつもこれ持ってるよ。」私はスライムの写真を取り出した。メリスが描いたやつ。

「お前、マジで頭おかしいな。」


ちっ、素人は分からないんだから。


スライムにオスっているのかな。何食べてるんだろ。

***

ここ数日、野生のスライムを掃除しながら進んできた。


この手順が増えたおかげで、驚くほど安全に山洞に最大限近づけたよ。


こんな風にスライムの仲間を消しちゃって、彼が気分悪くしないか心配だった。

スライムは首を振って、母体じゃないならそんなに気にしてないみたい。


この野生スライムにはボスがいるみたい。スライム愛ゆえに仲間にしたいけど、

もし仲間にしようとして逆に取り込まれたら……

リスクが高すぎるよ!


盗賊が前方で手を振って、止まるように合図してきた。


トロールがドスドス歩いてきて、湿った地面が揺れてる。


こんなやつに追跡を振り切れないなんて、信じられないね。


野生スライムが近づいてきて、戦士の革鎧の隙間にスルッと入り込んだ。

戦士は気づいたけど、スライムを剥がせない。


銃掃除のおかげで、戦士はしばらく精神攻撃に耐えたよ。

「あ…ア~~ス~~」

戦士系は精神系の攻撃に弱いけど、声がトロールの足音より小さいから大丈夫だよね、きっと。

トロールが鼻をクンクンさせて、ドドドッと戦士の方へ走ってきた。


おおっ。


戦士は動けなくなって、盗賊じゃ支えきれないし、私なんて論外。

主任が一気に魔法でトロールを吹っ飛ばした。


おおっ。


「集まってくる前にケリつけよう。」

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