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諸君、私はスライムが好きだ!

諸君、私はスライムが好きだよ!

諸君、私はスライムが大好きなんだよ!

諸君、私はスライムが超超超好きなんだから!

ホイミスライムもいいよね!

メタルスライムだって最高だよ!

バブルスライムも可愛いし、斑点スライムもたまらない!

……と、まぁ以下略って感じでさ、私にはスライムがいっぱいの池があるんだ。興奮が止まらないよ!

――ただし、欧米系のやつはちょっとね。


目の前にスライムで溢れる池があるのに、使えないなんて辛いよね。

ぼーっと池を眺めてる。

私の使える魔法は「言霊術」。一語の命令を聞かせられるすごい技なんだけど、言葉の壁はないんだ――でもさ、知能のない生き物には効果ゼロなんだよ。

池をじーっと見つめる。

「ま、いっか。触り心地は似たようなもんでしょ!」

ズボンを脱いで、鉄バケツを手に持つ。スライムを半分くらい入れて、蠢く姿を眺める。

いざ、アレをバケツに突っ込もうとした瞬間、ちょっと待てよってなる。

「穴でも開けたほうがいいかな?」って、木の枝でバケツをツンツンしてみた。

枝が溶けた。

「うわっ、ダメだよ!下半身に支配されちゃダメだ!」

慌ててバケツを池に戻して、スライムが混ざり合っていく。


訓練と研究を続ければ、夢が叶うはずだよね。

近隣の村に向かった。この村、人口は200人くらいで、魔物関連の商品が経済の中心。住民の7割が冒険者でさ、冒険者の力が国家を超えてるから、ずっと自治を続けてるんだ。


村の図書館に到着。ギルドに併設されてて、魔物の情報が山ほどある。長寿のエルフが管理してるんだけど、本に載ってる知識なんてエルフの頭の中の10分の1にも満たないらしい。でもそのエルフが教えてくれるかどうかは別問題だよ。

魔物図鑑を買ったけど、スライムのページはほんの少しだけだった。


キッチンでいつものバイトを始める。仕事は食品の防腐だよ。

誰とも話さない。防腐術しかできない冒険者なんて、みんな眼中になくてさ。カウンターの事務員でさえこっちをまともに見ない。だから身分確認とか面倒な要求もなく、簡単に雇われたんだ。


でもさ、防腐術だけで生活できるなら悪くないよね。命懸けで金稼いで、その金で命を買う冒険者生活なんて、ただ命をすり減らすだけじゃん。英雄だって最後は朽ちる像しか残らないし。精神が残るなら、悪人なんていないはずだよ。


図鑑を読み込む。まずはこいつの食性をどうにかしないとね:

有機物なら何でも食べるけど、骨はたまに残す。

石や金属みたいな無機物は食べないけど、たまに金属を溶かしちゃうみたい。


スライムって種類が多いし、変種もよく出る。繁殖させれば突然変異が起きる可能性もあるよね?

ずっと食べさせ続けないと……。仕事終わりに市場へ向かった。

***

この市場、この村にしてはデカすぎるくらいだよ。加工された魔物製品がズラリと並んでて、龍の鱗でできた鎧とか、干からびたゴブリンの頭とか、獣人の頭蓋骨や手の装飾品とか。でも私が欲しいのは生きてるやつ。


人混みをかき分けて、奴隷市場に着いた。

広場のオークションほど賑わってなくて、売れ残りばっかり。奴隷たちの顔はどんよりしてて、子どもの頃に売れなくて処分待ちのペットみたいだ。


噂じゃ、鋭い目利きでここからすごい奴隷を見つけ出した奴がいるらしいけど、そんなの神に選ばれたやつじゃないと無理でしょ。


店主は紙に目を落としたまま、こっちに気付く様子もない。

「ちょっと買いたいんだけど……」

「棚にないものは無いよ。」

「3匹見つけた。値段は……」

「そこに書いてある。」

「運送は……」

「カート貸すよ。日割り料金で、身分証か保証金ね。」


人を泥棒扱いする店主よりは、こういうやり取りのほうが楽だよ。

この3匹のゴブリンは騒がず慌てずで、運ぶのも楽だった。見た目がバラバラすぎて、諦めてるのか絶望してるのか分からないけど。

でも生き残れるなら良い結果だよね。しばらくはその心配しなくて済むよ。


「ねえ、あいつゴブリン買ってるよ。」

「3匹もだぜ。全部オスっぽいな。」

「趣味が濃いね。さすが人間だ。」


布で隠しておけばよかったな。

***

パブロフの犬みたいにさ、同じものを食べさせ続ければ条件反射になるよね。

ゴブリン3匹の檻をスライムの池の上に吊るす。ゴブリンが罵ってくるけど、分かるけど相手にしたくない。

ゴブリンのアレをスライムの主食にしたいんだけど、「シコれ」って言っても聞かないだろうし、私が手伝うなんて絶対無理だよ……魔法って便利だね!

「言霊術:射。」ゴブリンが唾を吐き始めた。

違うよ、もっとピンポイントじゃないと。

「言霊術:淫。」ゴブリンの顔が赤くなる。

違うって!

「言霊術:瀆。」ゴブリンが汚い言葉を叫び出す。

くそっ、一語じゃ難しいんだから!

「言霊術……Ejaculation。」

ゴブリンがうめきながら、大量のアレを出しちゃった。長く閉じ込められてたせいか、顔がスッキリしてるよ。


でもこれっぽっちじゃ足りないよね。

「言霊術……Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation、Ejaculation…」

ゴブリンのうめき声が悲鳴に変わった。

「やめてくれ!頼むよ!」

「宝の場所教えるから!お願いだからやめて!」

「殺してくれぇ!」

足がガクガクで立てなくなって、呪文を止めるとホッとした顔してた。やりすぎは良くないね。


次に池のスライムに:「言霊術:Mutation。」

あとは待つだけだよ。

***

しばらくして、ゴブリンを2、3回入れ替えたら、彼らの限界が分かってきた。みんな宝の場所を教えてくれたけど、生き残るためなら嘘でもなんでも言うよね。それに宝探しってことは冒険に出なきゃいけないし、私、そういうの興味ないから。


私の興味はこれだよ……やっとスライムがアレしか食べなくなった!

他の有機物はポイって吐き出すから、溶かされる心配もないね!

ただ……この臭いさ。

前の泥臭さより、この濃縮イカ臭のほうがキツいよ。

でも閉じ込めれば臭わないよね?

手袋つけて、小腸を胃袋に詰めて空間を作って、スライムをそこに押し込んで縫った。

完成したけど、やっぱり腥臭い。内臓の血の臭いと混ざってさらにヤバいよ。胃袋の中でスライムがモゾモゾ動いてるけど、この臭いはマジでキツい……

「失敗だね。」この偽物のTenOaを適当に捨てた。どうせ池にはまだいっぱいあるし。


次の日のニュース:

『国際ナマケモノ団がまたやった!?深夜に男性数人が突然死!外傷はないけど、タマタマが空っぽ!専門家「これぞ精尽人亡だ!」』

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