表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
頭上輪廻戦士アーサー  作者: 川口大介
第五章 邪神召喚、女神降臨
31/41

「いくぞっ! ビリビリボ……」

「おっと、遅い!」

 ア―サ―が電撃を放つより早く、暴風リンが片手でボ―ルを転がすような動きを見せた。が、別に何も飛んで来ない。

 電撃も炎も氷もこない。だが魔力を帯びた何かが……

「そこかっ!」

 ア―サ―は即座に見抜き、立ち止まって構え、ドロドロッドを下から上へと振る。電撃が、見えない何かにぶつかってスパ―クし、重い手応えがきた。

 が、ア―サ―は構わずそのまま、ドロドロッドを空に向かって振り切り、振り上げた。

 ビュゥ! と風の唸りがして、「それ」は遥か上空へと押し上げられ吹っ飛ばされていく。

 その正体は魔力を帯びた風の塊。

「ほう……?」

 暴風リンが、感心した声を出した。

 今のは腕力ではなく魔力。杖に宿した電撃の魔術を使って、風の魔術を弾き飛ばしたのだ。

「そんな芸当ができるとはな。鏡メバンシ―を魔術で倒したのは、やはりお前か?」

「ああそうだよ。恐れをなしたかっ?」

 むん、とア―サ―はドロドロッドを構えてみせる。

 その姿は、暴風リンの目にはやはり【黒い白の女神】と見える。今のは明らかに武術家ではなく黒魔術師の技で、だが顔かたちは白の女神と同一人物、しかし装束は黒く……何が何だかわからない。

「ふん。何をどうやってそんな力を得たのかは知らんが、まあいい。こちらも面白いものを見せてやる!」

 暴風リンが、見えない何かを地面に叩きつけた。おそらくさっきと同じ、風の塊だろう。

 その威力で校庭の砂が舞い上がり、辺り一面を覆った。砂煙を使った煙幕だ。

《油断するな来々世、来るぞ!》

《……いえ、違うわ。あいつ動いてる》

 エミアロ―ネの言葉通り、暴風リンはア―サ―から離れて走っていた。

 油断なくア―サ―が身構えている内に、少しずつ砂煙が晴れていく。攻撃は来ない。

 やがて砂煙の向こうに見えてきたのは、

「えっ⁉」

 ア―サ―の目の前に巨人がいた。ゴ―レムというやつだろうか、それにしても大きい。

 まるで、校舎がそのまま人間型になったかのようだ。そういえばこのゴ―レム、茶色くて煉瓦造りで……

「ま、まさか!」

 きょろきょろとア―サ―は前と後ろを見る。 

 小学校と中学校の校舎がなくなっていた。そして目の前にいる巨人には、よく見ると窓やらドアやらがついている。

 ということは?

「フハハハハ! 気付いたか? これぞ名づけて校舎ゴ―レム!」

 ア―サ―が遥か上方を見上げてみると、その校舎ゴ―レムの額の部分に、ホクロのように暴風リンの顔があった。

 一体化して操っている、らしい。

「ム、ムチャクチャだこんなのっ!」

《その通りよ。まずいわ、ア―サ―君》

 エミアロ―ネの緊迫した声がする。

《これほどの亜空間を維持するには、かなりの魔力を要するはず。その上であんなゴ―レムを創るなんて、普通じゃ考えられない》

「考えられないって、じゃあどういうことなんです?」

《さっき、カユカちゃんが言ってたことよ》

《そうじゃ。空を見よ、来々世。あの門からこの空間に、邪神の力が流れてきておる。あの者は、まだ完全ではないにせよ、神の力を身に受けておるのじゃ》

「門?」

 ア―サ―は空を見上げた。

 勢いは弱まりつつあるものの、まだ体育館全体から暗い霧が立ち上り、空の赤黒い渦へと吸い込まれていく。

 そしてその渦の回転が、徐々に徐々に速くなっている。

「あ、あそこから邪神の力が?」

「よくわかったな、その通りだっ!」

 ふっ、とア―サ―の体全体に影が落ちた。

 反射的にア―サ―が跳び退る、と、


 グボォォン!


 一瞬前までア―サ―がいた場所に、巨大な拳が突き刺さった。

「ふん、かわしたか。だが、」

 校舎ゴ―レムの拳が引き抜かれる。

 額にいる暴風リンが笑う。

「次はどうかな? お前の察した通り、今の俺は刻々と神に近づいている」

 と言った暴風リンの右腕、肩口から拳の先までが突然、風に包まれた。大蛇のように巻きついて回転する強い風。竜巻だ。

 暴風リンはその腕をア―サ―に向け、拳を握ってゆっくりと肘を引いた。

「白の女神よ。お前は陛下の魂を消滅させ、二度と転生させまいと考えているのだろうが……知っているな? 魂への攻撃は、強い魔力さえあれば誰にでも可能だ」

《! ら、来々世、逃げよ!》

 珍しく、恐怖したカユカの叫びが響いた。

 その声が次の言葉を紡ぐ前に、その恐怖の対象はア―サ―に襲いかかった!

「喰らって喰らわれるがいい、白の女神!」

 暴風リンの拳がア―サ―に向かって突き出され、その巨大な腕から拳に巻きついていた大蛇が解き放たれた。大蛇のように見えていたその竜巻は、解き放たれると同時に、正に大蛇そのものの姿へと変化していく。

 暴風によって創られた大蛇が疾風の速さで飛来、ア―サ―を餌食にせんと牙を剥く。

「くっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ