寝癖男、ちょっとやり過ぎ
頭空っぽで書けるからこのシリーズ好きだわ
「!!……コレシキノコトデ、ズニノルナ……!」
サラはまるで人間を恨むバーサーカーのような口調で話しながら、私に寝癖を飛ばしてくる。さらに形相は鬼ときたものだ。ここに通行人が来たら、通報先は警察と、ついでに保健所だろう。
ほぼ未確認生物と化したサラの攻撃はますます勢いを増し、小梅の補助があるとはいえ、被弾することが多くなってきた。しかし、幸いなことに威力は大したことはない。そう思って距離を詰めようと飛んだ、その時。
「寝癖男ーッ!!」
私の脇腹には、サラの寝癖が刺さっていた。髪の先端を硬化させ、杭のように打ちつけたのだ。
「シュコー……コノウラミ、ハラサデオクベキカ!!」
キングボンビーにあらゆる物件を潰されたのがそんなに悔しかったのか、怨霊からしか聞かないようなセリフと共にサラは接近してきた。文字に起こせば起こすほど人外のように見えてくるなコイツ……
私にとどめを刺そうと、サラは全ての髪の毛を束ねて硬化させ、ヘドバンの形で振り下ろす。しかし、忘れてはいないだろう。私の寝癖能力……超巨大な寝癖の刃を生成し、相手に叩き込む。完全パワータイプである!
「小梅!サラを拘束しろ!」
小梅はサラの周囲を囲うように寝癖の壁を出し、サラを一点に固定する。しかし、小梅の能力にも弱点はあった。
「クソッ……もうすぐ破壊される!」
一見万能に見える小梅の能力だが、耐久力の低さが欠点として挙げられる。サラのように威力の低い能力でも、打ち込み続ければ割れてしまう。しかし、彼はその弱点も既に織り込み済みだった。
「寝癖男、破壊と同時にお前を俺の能力で飛ばす。上空から、お前の能力を叩き込め」
「オイ、飛ばすって一体……」
「いいから飛ばす!備えろ!包囲壁が割れるぞ!」
サラを囲う壁が割れた瞬間、私の体は凄まじい速度で押し出された。私の足元に寝癖の壁を生成し、その勢いを利用したのだ。
狙うは当然、サラの脳天直下。寝癖を硬く、硬く練り、タイミングを見計らって……渾身のヘドバンを、打ち付ける!!
土煙が晴れ、小梅が駆け寄ってきた。
「よくやった、寝癖男。これでコイツも大人しくなったはずだ」
平然と言う小梅に、私はかなり戦慄していた。
「いや、小梅……どう考えてもコレ、やりすぎじゃね……?」
視線を下せば、サラの頭から結構な量の血が出ているのだ。十五禁レベルの。
「まぁ……大丈夫だ。うん、死んでない死んでない」
小梅は何度も頷いた。不安になるぐらいの速度で頷いていた。
妖怪ウォッチと名作くんにハマりました。この化石人間め……