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寝癖男と奇妙なスキンヘッド事件

すげぇしょうもないです。暇で暇でしょうがない方へぜひ。

桜の花も散り始める4月下旬頃、学生たちは浮かれ、なんとしてでもお花見デートをしたいカップルがいちゃつく中、この私、寝癖男は眩しい日光が窓から差し込む中、布団にこもっていた。ちなみに本名は寝具瀬男といい、読み方はねぐせおとこである。こんな馬鹿馬鹿しい名前をつけた当時の親の精神状態を知るまでには私は死ねないだろう。現在私は4畳半のアパートに住んでおり、10社以上に送った履歴書は全滅であった。会社からしても36歳独身の新入社員などが来たところで「無能なオジサンがやって来た」としか思わないであろうから、至極真っ当な判断だ。しかしバイトをする気も起きない。今のわたしにとって、外へ出るということは耐え難い苦痛である。最近の私は即席もののラーメンばかり食べており、そのせいでぬらりひょんのような青白い肌をしている。もし低級妖怪が夜道で私とばったり出逢えば、すぐさま頭を垂れるであろう。電気代と水道代は何ヶ月も滞納しており、止められる寸前だ。これから夏に突入するというのに、この状況は緊急事態と言っても過言ではない。このような生活をしている私は、おそらくこの世で一番エネルギー効率の良い生き方をしているだろう。しかし、どんなに燃費の良い生き方をしても食料が尽きることは避けられない。渋々私はなけなしの金を持ち、コンビニへ食料を買いに行ったのだが、何やら街の様子がおかしい。街に異様にスキンヘッドが多いのだ。いや、もはや全ての人間がスキンヘッドであると言っても過言ではないぐらいのスキンヘッド率だ。もはや流行りという言葉では済ませることができない。急いで家に帰り、3ヶ月放置していたテレビの電源をつけると、何とどこの局も同じニュースを放送している。日本中のほとんどの人間から髪の毛が消えたのだと言う。いかにも馬鹿馬鹿しい事件だが、このことは紛れもない事実であり、私が先程身を持って体験してきたことだ。しかし、私の髪の毛はいつものように平然と頭上に居座っており、大暴れしている寝癖も健在である。そのニュースを聞いた瞬間、私に入らなくてもいいスイッチが入ってしまった。私が髪の毛を取り戻す。必ずこの事件の原因を突き止め、解決するのだ。こうなってしまった私にはブレーキなんて部品はどこにも搭載されておらず、行くアテもないくせに先程まであんなに疎ましく思っていた外の世界へといとも簡単に踏み出し、子供の頃以来の冒険を、30年越しに始めるのであった…

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