表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/18

16 蹂躪行

さて、本格的に戦闘開始しましたが、ヒロインちゃん達はどうなる事でしょうか(ヒント、タイトル

 さて、さっくりと約倍の兵数のゴブリンの騎兵たちを蹂躙した私達はそのまま歩を進め、敵陣後方に回り込む。え?早いって?まあ、もう少し丁寧に説明すると本職が騎兵のくせに徒歩でも通常種のトロール位はさっくりと瞬殺できる両親が突破口を開いて駆け抜けたのをほかの面々が押し広げながら蹂躪して通り、続く二隊が後始末する感じでさっくりとゴブリン騎兵たちは全滅した。突撃前にかけた加護系の神聖魔法以外は一発も使わずに。で、予想通り槍兵の後ろに散開して矢を放つゴブリンの弓兵隊を発見した。それを蹴散らし、突き刺し、踏みつぶしながら敵陣中央後方のオーガ部隊とトロール達を目指して我々は突き進んでいく。

 上位種のトロールが何事かを叫び、オーガ達とトロールが抜剣する。さすがにオーガとトロールの部隊である、いくら騎士団全力とは言え多少は苦戦するか…と思ったのだが、それは間違いだった。

「我が主、戦神グラディアよ、聖なる爆発をもって神罰を!セイント・エクスプロージョン

団長が祈りを捧げて行使した最上級神聖魔法(と、言う事になっている高司祭級のみが使える神聖魔法)により、オーガ達は瀕死となり、トロールも指揮官の上位種以外重症となる。そこに父がオーガとトロールを始末して指揮官迄の突破口を開き、団長のランスチャージが指揮官の上位種トロールの頭を粉砕して駆け抜ける…私も駆け抜けざまにオーガの残りを一匹始末したが…これ、主力はうちの両親で、私達は戦果拡張要員というか、後始末要員だな、完全に。などと考えながら先ほどと同様に敵左翼のゴブリンの弓兵たちを蹂躙しながら駆け抜ける。そして、丁度左翼のゴブリン騎兵を蹴散らし終わった右翼騎兵とこんにちは、する。

「さて、最後の仕上げに入るぞ!隊ごとに散開!横隊で敵槍兵を後方から攻撃し、殲滅せよ!」

という事で、騎兵が槍兵の戦列をあちこちで破壊しそれらを槍兵たちが後始末する形で前哨戦は辺境軍の完勝で終わった。

え?これ、うち(ライタウン神殿騎士団)だけで良かったんじゃないかって?それはさすがに厳しい。弓兵に集中射撃を受ければさすがに落伍者も出るし、ゴブリンとは言え四倍の兵数を相手にするとなれば疲労もたまるし、槍兵の密集陣を正面から攻撃する術は団長のセイント・エクスプロージョンくらいであるし、衝力が衰えた所でオーガ部隊とトロールと交戦すれば多少は被害が出ていたはずである。まあ、翌日の事とか考えずに母が魔力を大盤振る舞いすれば同じ事もできるが。なお、斬首が成功した時点で敵兵が逃げ散ると後が面倒くさいというのもある。

 と、いう訳で簡単な戦場清掃(死体を集めて、私達聖職者が理外種の死体の還元用神聖魔法を行使し、魔石を回収)の後に辺境軍はライタウンの庇護下にある農村の内東端にある村に設けられた宿営地兼簡易陣地に撤収した。それがその日の日没間近の事である。馬たちの世話をして配給の夕食(市民のパンと肉団子入りシチューに加増の干し肉)を取って戦場式の簡単な礼拝を捧げて休息に入った。その夜は特に何もなく、過ぎていった。(早朝、起床時間前に歩哨に立ったが)

 翌朝、同様に馬の世話と礼拝と朝食(夕食と同じメニュー)を済ませ、武装を整えて待機していると敵本隊が昨日の戦場付近まで進出しつつあるという報が飛び込んできて、少し後に出撃命令が下った…アレ?昨日の時点の予定では辺境軍はこのままライタウンに撤収・籠城、我々は北方の砦に移動、ではなかったか?と考えていると、敵の進出が想定より早い為、念のため、我々神殿騎士団と辺境伯配下の騎士団の半数を足止めに配置する、という事らしい。そういう訳で、母の指揮の下、騎兵約60騎が昨日の戦場付近まで進出した。

「フム…特に騎兵を先行させるなどはしていないようですね、そうであれば、敵機動戦力を漸減できて後が楽になるのですが」

「まあ、先鋒集団が文字通り全滅したのですから慎重にもなるでしょうな…定刻迄何事もなければ楽ができるのですが…確かに後を考えれば敵騎兵の漸減はしておきたいところですな」

母と辺境伯騎士団の副団長が会話をしているのを聞きながら眼前の敵部隊の本隊を観察する。とはいえ、敵騎兵…相変わらずゴブリンが主体ではあるが、ケンタウロスの隊や指揮官らしい馬の様な魔物に乗ったオーガやトロールが混じっている…が前面で活動しており、敵本隊にはあまり近づけないのでよくわからないが。

「…このまま正午が近づけばいっそ敵の騎兵スクリーンを襲撃するのも悪くないかもしれませんね」

「オータムムーン殿!?正気ですか!?」

辺境騎士団副団長殿の声が響き、遠くの面々も何事かとこちらを向く。

「ええ、正気ですとも…本隊を介入させない程度に交戦時間を抑えてすぐに後退すれば…騎兵がおって来てくれるなら適当な所で反転して撃滅、追って来なければ戦果は僅かですが一方的に削れてそれでよし、と言った所ですね…まあ、それをするならば重装ではなく軽装で行いたい所でしたが」

「ふむ…一理ありますね…しかし、収容部隊無しでそれをするのはやはり危険ではないでしょうか」

「さすがにそうですね…まあ、本当にやるのであれば、神殿騎士団の騎士だけで攻撃を行い、うちの従士と辺境伯騎士団の方々には収容にあたってもらう事にしましょうか。」

「…まあ、やれる、とおっしゃるのでしたら…この部隊の指揮権はオータムムーン殿に預けられておりますし…」

そして、交代で小休止を取りながら時間が過ぎるのを待っていると動きが無いまま(騎兵スクリーンの向こうで何が起きているかはよくわからないが)定刻…正午が近づいてきた。

「では、一当てしてまいります」

「…お気をつけて。撤退支援は行いますが、無理はできませんので、その点はご承知を」

「ええ、無理どころか無茶もしませんよ。では神殿騎士団、騎士は私に続け、従士はこの場で待機、万一の時は辺境伯騎士団の指揮下に入れ」

と、述べて団長は僅か15騎で総兵力4,000と目される魔物軍Aの本隊に向かっていった。当然、魔物軍Aからその対応に騎兵の一部…オーガに率いられたゴブリン騎兵が3隊、合計60騎程が迎撃に出て団長たちを半包囲した時、敵の左右正面すべての隊がセイント・アローの雨に襲われて半壊した…おそらく団長含めた隊長格が行使したセイント・アロー・レインである。さらにそのまま正面の隊を殲滅すると隊が三つに分かれて内2隊は半壊した隊を蹂躙した…って残りの1隊はそのまま敵の騎兵スクリーンめがけて突撃していく!?

「どこが無茶もしない、ですか!?」

恐らく、その辺境伯騎士団副団長殿のその叫びが我々待機組の心を的確に表していた。そしてその5騎はそのまま、あまりの状況に混乱している(そりゃそうだ、普通は混乱する)敵の騎兵スクリーン、それもよりにもよって指揮官と思しき最上位種のトロールめがけて馬上から投げ槍を投擲すると旋回してこちらに帰ってくる。その投げ槍は、というと最上位種のトロールに盾で防がれたが、突き刺さった槍によって盾は放棄せざるを得ない様子であった。

それに対する魔物軍の反応は、ケンタウロス隊が2つ真っ先に突撃していった隊に追撃を仕掛け、それから少し遅れて上位種トロールの咆哮が響き渡り、指揮官のトロールが単騎で駆け出し、それに続いて騎兵スクリーンを構成していた全騎兵が反応の速さに多少の違いは有れども、全騎向かってくる。

「くっ…概算400騎…コレは撤退しか…」

等と辺境伯騎士団副団長殿が言っている所、悪いがそうはさせない。これは団長が作った好機である。

「神殿騎士団従士諸君!敵騎兵の過半が敵軍本隊から引き離されたぞ!連携が分断された今こそ、最大の好機!我らの団長が作った最大の好機を逃す手はない!覚悟を決めろ!敵騎兵の側面を攻撃できる位置を取る。各員、続け!」

「「「「応!!!!」」」」

等と同輩たちを扇動し、配置位置を変更する。

「まったく!あの母にして、この娘有りって所ですか!ええい、仕方ない!危険な賭けですが、好機なのは事実です!各員、我に続け!神殿騎士団の従士隊とは逆側面を攻撃できる位置を取りますよ!」

と、いう訳で60騎対400騎の戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ