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悪魔ノ海賊放送番外地【短編集】  作者: 悪魔の海賊出版


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サンタがこない大人のクリスマス

サンタがこない大人のクリスマス



 クリスマスに、サンタクロースがきてくれなくなってから、いったいどれくらいの時が過ぎただろう?

 クリスマスの朝、目が覚めたら枕元に、夢みたいなプレゼントが置いてある。そういう朝を、私はもう迎えることができない。

 大人になってしまったからだ。

 大人になってしまったら、クリスマスは奇跡の夜から、年末の大イベントに格下げされてしまう。

 これが厳しい現実なのだと、わかったようなことを言うのは簡単だ。

 私はそういう簡単なことが好きではないという、真正のあまのじゃくだから、わかったようなことを言いたくない。

 クリスマスってのは、奇跡みたいな日じゃないとつまらないだろう?

 だから、こんなことを言う。

 サンタさんがきてくれるような歳とかじゃねえんだ、自分がサンタクロースになっていい歳になったんだよ。

 もしかしたら、ちょっとどころではない重大なことを言ってしまったかもしれない。でも、大丈夫だ。この文章を読んでるのは、サンタがこない大人のクリスマスを生きている大人たちのはずだ。

 サンタがきてくれるような良い子が、クソ怪しい私の書いた文章など読んでいるわけがないのだから。

 そうだ。世の中にいるサンタクロースの正体を、大人は誰だって知っている。

 とは言え……

 インターネットの片隅であったとしても、これは明かしてはならない重大情報だ。ネットにサンタさんの正体をはっきり書くなどという、無粋極まる愚行をやらかすほど、私は馬鹿でも阿呆でもない。

 ネタバレってのは、人生をつまらなくするし。

 サンタクロースの正体という、へたをすると命を狙われかねない話題はやめて、サンタがもうきてくれないという問題について話を戻そう。

 大人ってのはもう、サンタクロースがきてくれるような歳ではない。とは言え、サンタさんがきてくれない大人ってのは、自分がサンタクロースになってもいいのだぞという、素晴らしい発見についてだ。

 しかし、誰もが必ずサンタクロースになれるほど、夢みたいな世の中じゃないってのも事実ではある。(サンタになれない理由の詳細については省略する)

 世の中はいつもいつもままならない。これが厳しい現実だなんて、わかったようなことは言いたくない。だからと言って、甘いだけの嘘を話すなんてのもガラじゃない。

 真正のあまのじゃくな私は、サンタさんになるには、かなり無理がある性格なのかもしれない。

 だけど、せっかくのクリスマスに、世界のヒーローであるサンタさんになれないなんて、ずいぶん悔しい話だとは思わないか?

 サンタさんは間違いなく世界のヒーローだ。サンタさんを悪く言う奴に、私は会ったことがない。

 とは言え、世界のヒーローであるサンタさんの人気に、ふと疑問が湧く時もある。

 サンタさんは世界のヒーローなのに、子供の頃まで記憶をさかのぼっても、サンタさんになりたいと言った奴は、私が知る限りではいなかった。

 私は、真正のあまのじゃくで、いわゆる普通なんてものはまっぴらごめんだと思って生きている。だったら、今年はサンタさんになりたいと思うのも、私らしくていいんじゃないかと思ったりしたりする。

 とは言え、夢みたいなことに対して協力的ではないのが、THE世間様というものなのだ……

 真夜中に誰かの家に忍び込み、プレゼントを置いて行くというのも、困難な時代に私は生きている。

 私がサンタになったとしても、世間様が許してくれるわけがないのである……

 どうしたものか?

 ありとあらゆる人に、プレゼントを配ってまわりたい気分に、私はなっているというのに……

 世界のヒーロー、サンタさんに私はなりたい。特に、いまこの文章を読んでいる君に、ささやかでいいから何かプレゼントしたい気分なんだ。

 しかし、君にプレゼントしようったって、これはかなり難しいことだよな。

「サンタになってもいい歳ならわかるだろ? これが厳しい現実ってもんだ。さっさとあきらめろよ」

 そんなことを頭の中で言ってくる奴には、てめえは大人だからとかじゃなく、いい子じゃないからサンタさんがこねえんだよと言って、一発くれて頭の中から追っ払う。

 そして、真正あまのじゃくな私が出した結論は……

 クリスマスの夜にちょっとした言葉を、君に贈ろうというものだった。

 まだ一度も会ったこともなく、これからも未来永劫、出会いすらしない君のために、私は今、この文章を書いている。

 信じられないだろう? こんなことができるのが、21世紀の名にふさわしい未来的なできごとだと、私はちょっと得意げに言ってみるのさ。

 ビタ一文使ってないし、買ってきたものでもないし、出来合いの品ってわけでもない。もちろん売り物でもないし、手作りで重すぎるわけでもなければ、贈り物ですらないのに特別なもの。

 これが、21世紀も四分の一まできてしまった2025年のクリスマス、もうサンタさんがこなくなってしまったであろう君に、サンタさんになりたい私が贈る、ささやかなプレゼントなのさ。

 仮に、サンタさんがくるのだとしても、この言葉を君に贈るぞ!

 どうだ? 私は気前がいいだろう?

 現実はいつだってめんどくさい。見ず知らずの誰かに贈り物をすることすら難しい。そして甘いことなんてのは、年に一度すらもないのが、普通の一年というものなのかもしれない。

 それでも……

 まだ会ったこともなく、これから未来永劫、絶対に出会わないであろう君のことを、ほんのちょっと思うことだってクリスマスにはできるのさ。

 そんな素敵なことを今夜は言ってもいい。そういうのが、THEクリスマスだとは思わないか?

 これが、もうサンタさんがきてくれなくなってしまった私の、特別なクリスマスの過ごし方さと言って、この話しを終えようと思う。

 この話が面白かったかどうかはおいといて……

 会ったことも話したこともないけれど、君が良いクリスマスを過ごせますように。

 バイバイ。良い夜を。

ひさしぶりにここに書いたら、またもクリスマスの話題でした。

なにかの縁を感じるクリスマス・イブだよね。

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