第49話 希少金属
土の1の月、2の週の火の日。
年が明けて1週間ほど経つ。
とは言うものの、休暇も何もないので普段と何も変わらない。
ミカは放課後、校舎にある図書室に籠り、本棚に寄りかかって本を読んでいた。
最近、授業ではいろいろな知識を教えられる。
騎士学院。
魔法学院と同じように、騎士学院というものがあり、そこでは子供たちが将来の騎士を目指して日夜努力しているらしい。
ミカもこれまで時々耳にすることはあったが、特に気にしていなかった。
魔法学院は領法で8歳から義務付けられているが、騎士学院は特に年齢での義務はないそうだ。
だが、貴族が家督を継ぐには魔法学院か騎士学院のどちらかを修了する必要があるらしく、貴族の子弟が10歳で騎士学院に通うのはほぼ義務のようなものらしい。
自ら戦えない者が領地を守れるか。
領地を守れない者に治める資格なし。
という思想の下、脳筋ばかりが領主になるようだ。
(……言いたいことは分からなくもないけど、『統治と防衛』と『自ら剣を振るう』は別物じゃないかい?)
まったく経験のない者が領主になるのも問題かもしれないが、そっちに振り切れるのはどうなのだろう。
(政治に特化した領主の下に、武に優れた者がいればそれでも良くない?)
とミカは思ってしまうが、さすが戦争を吹っ掛けまくって西の雄にのし上がった王国らしい思想だな、とも思う。
他にも、騎士になれば食いっぱぐれることがないため、平民の子供たちが多く集まってくる。
騎士学院は10歳からで、地方の魔法学院が置かれた領地には、大抵この騎士学院もあるらしい。
魔法学院のように魔力という才能によって篩にかけられることがないため、毎年相当な人数の入学者がいるらしい。
そして、その中から優秀な者が王都に集められ、王都にある騎士学院に通う者は将来の幹部候補生的なものだという。
(魔法士は王国中からかき集めるけど、騎士は選抜されたエリートが王都の学院に通うのか。)
まだ直接関わることはないが、王都の学院では合同で演習を行うこともあるらしい。
まあ、そんなのはまだまだ先の話だが。
しかし、驚くことに騎士の中にはミカたちと同じように魔力の才能が開花する者がいて、騎士でありながら【神の奇跡】を使う者がいるという。
(なにそれ、魔法騎士!? めっちゃ格好いいじゃん!)
俺もそっちがいいなあ、と思うがミカは魔法学院コースで決定してしまっているので、残念ながら騎士にはなれない。
ただ、【神の奇跡】を使えると言っても魔法士のように魔力が豊富ではないので、使用する【神の奇跡】は【身体強化】に特化させるらしい。
騎士として身体を鍛えまくった者が、割合で能力を引き上げる【身体強化】を使うのだ。
例えミカが3倍に強化しても、1.3倍に強化した騎士に力で敵わないという状況もありそうだ。
(……俺も運動頑張ろう。)
【身体強化】を最も有効に生かすには、ミカ自身の身体を鍛える必要がある。
何だか鶏が先か、卵が先かの気分だ。
(……この話は分子生物学的には卵が先で決着がついてるらしいけど。)
まあ、そんなことはどうでもいい。
要は最近そんないろいろな情報が、授業で解禁され始めたということだ。
入学から8か月も一切情報を開示してこなかったのに、急に様々な情報が与えられるようになった。
この変化はなぜか?
NEED TO KNOWという言葉がある。
直訳すれば『知る必要がある』といったところか。
その情報を知っておくべき者に、必要な情報を開示する。
情報管理の原則の一つ。
情報漏洩を防ぐための、危機管理だ。
そこそこ教室の子供たちの魔力が増えてきて、実際に【神の奇跡】を使う訓練を始めた。
”人外の力”を扱う練習を始めたのだ。
そのために必要な情報を与えるとともに、子供たちに覚悟を植え付けようとしているのではないか、と思う。
(この”力”を、『国の防衛のために使え』というのは分かるけどね。 ……自分のことでなければ。)
着々と外堀が埋められている気がする。
ミカの予想通り、”暴力装置”として国の仕組みに組み込まれつつある。
ミカとしては『平和のために戦いの準備をしろ』という考えは理解できる。
こちらが戦いの準備をすれば相手も戦いの準備をするから、結局は平和から遠ざかる、矛盾している、という意見も分かる。
だが、結局のところ人とは争うものなのだ。
それぞれに事情があり、それぞれに考えがある。
食べる物がなく、手に入れる手段が他になければ、『奪う』という選択をする者は必ず存在する。
奪われたくなければ、奪われないように備えなければならない。
戦争とは、結局それが個人レベルではなく国家レベルで行われているだけの話だ。
もっとも、現実はもっとロクでもない理由で起こる戦争がほとんどではあるが。
ミカは、ふぅー……と思わず溜息をつく。
願わくば、教室の子供たちが、そんな戦場に立つことのなきことを。
自分の知っている子供が、そんな血塗られた地に立たずに済むことを願わずにはいられない。
少なくとも、険悪な隣国であるグローノワ帝国とも50年ほどは戦争がなく過ぎている。
このまま何事もなく平和でいられたらいいな、と思わずにはいられなかった。
ミカは手にした本に視線を落とす。
時々、午後の運動の後に図書室に来て、何か面白い物はないか漁っていた。
森の魔獣のことを調べられたのも、この図書室があったおかげだ。
一応、教師が帰るまでは図書室の利用が可能で、1~2時間ほどだが本を読むことが許されている。
ただし、寮に持ち帰ることは許されていない。ここで読むだけだ。
「錬金術……。」
ミカの手にしている本には、魔法関係全般について記されている。
魔法学概論とでもいうような本だ。概論というよりはむしろ図鑑だろうか。
インデックスを見てみると、【神の奇跡】についての項目が並び、他にも魔力を利用した道具、”魔法具”について記された章などがあった。
【神の奇跡】についてと言ってもそれほど詳しいことは書かれていない。
魔法具の方もそうだが、こんなのがあるよ、という紹介程度の内容だ。
しかし、ミカの目を引いたのはその中に並ぶある”錬金術”の文字。
本を開き、錬金術について書かれたページまでめくる。
本には、錬金術は一時期隆盛を誇った分野だが、現在は廃れていると書かれていた。
なぜか?
勿論、成功しないからだ。
金を作るだの不老不死だの、世界は変わっても人の欲望の行き着く先はどうやら同じらしい。
だが、結局は上手くいかずに、そのまま廃れていってしまった。
ミカ自身も錬金術にチャレンジしたことがあるため、とても人のことを笑えないが、みんな考えることは同じなんだなあと思わず苦笑いしてしまう。
そんな錬金術の説明の中に、気になるものを見つけた。
「希少金属……。」
ミカは所謂”希少金属”や”希土類”を想像したが、そこに書かれていたのはまったく別の物だった。
「”銀系希少金属”……?」
ミスリル。
言わずと知れたファンタジーの定番アイテム。
武器や防具の素材にされ、優れた性能を持つ。
ただし、最近のゲームでは様々な武器や防具の性能がインフレを起こしており、相対的に価値が駄々下がりではあるが。
「”銅系希少金属”に、”金系希少金属”だって……!」
思わず顔を上げ、目をごしごし擦る。
もう一度本に視線を向けると、そこには確かに”銀系希少金属”や”銅系希少金属”、”金系希少金属”の記述がある。
これらの希少金属は自然界に実在し、銀や金の産出時にごく少量だが採れるらしい。
非常に優れた特性を持ち、武器や防具のみならず、魔法具などにも利用される。
この本には、錬金術によりこれらの希少金属を人為的に作り出せないか、という研究がされていたことが書かれている。
「”銀系希少金属”は銀よりも白く、光沢が青いのが特徴……。 ”銅系希少金属”は銅よりも黒くて光沢が白く、”金系希少金属”は金よりも赤く、光沢が黒い……?」
この特徴。どこかで聞いた憶えがある……?
ミカはハッとして本をバンと閉じると、慌てて本を棚に戻す。
傍らの雑嚢をひっ掴むと寮に向かって走り出した。
「この特徴って、確か……!」
息を切らして階段を駆け上がる。
後ろからトリレンスのミカを叱る声が聞こえるが無視する。
勢い良く自室に飛び込むと、机に向かっていたメサーライトがびっくりした顔をして振り向く。
どうやら手紙を書いていたらしい。
逸る気持ちを抑え、なかなか入らない机の鍵に思わず舌打ちする。
メサーライトが後ろで「ああ!? 書き間違えた!」などと言っているが無視だ、無視。
ミカは机からお金の入った袋を手に取ると、中から銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨を取り出して机に並べる。
「やっぱり……!」
比べてみれば一目瞭然。
銅貨よりも大銅貨は黒くて光沢が白く、銀貨よりも大銀貨は白くて光沢が青い。
残念ながら金貨や大金貨はまだ見たことがないが、大銅貨や大銀貨は特徴が一致している。
「大銅貨や大銀貨には”銅系希少金属”や”銀系希少金属”が使われている……?」
使われていると言っても、純度はかなり低いと思う。
そうでなければ、希少金属を含有する大銅貨が百ラーツの価値しかないのはおかしい。
だが、銅貨や銀貨の3倍程度の体積しかない大銅貨、大銀貨に10倍の価値がある理由がこれだ。
ごく僅かだが、希少金属を含有しているからなのだ。
そこで違和感を覚える。
錬金術に頼ってまで創り出そうとした希少な金属を、こんな通貨に使ってしまっていいのだろうか?
一つひとつの含有量は僅かかもしれないが、集まれば相当な量になるはずだ。
「……精錬する技術が、ない?」
どのように産出して、銅と”銅系希少金属”を分けているのか知らないが、上手く分離させられない分というのが一定量あるのかもしれない。
もしも精錬方法をミカが見つければ、大銅貨から”銅系希少金属”を取り出し放題だ。
百ラーツの価値しかない大銅貨から、莫大な富を生み出すことができるかもしれない。
(錬金術で”銅系希少金属”を作るのと、大銅貨から”銅系希少金属”を分離するの。 どっちが可能性高い?)
壮大な夢に、思わずにやけてしまう。
口元を押さえ、肩を震わせるミカを、メサーライトがいよいよ不気味な物を見るように顔を引き攣らせる。
(…………そういえば、通貨の偽造は計画だけでも労役十年だったよな。 通貨の損壊は労役何年だ……?)
そんなことが頭に浮かび、少しだけ冷静になるのだった。
■■■■■■
「こんにちはー!」
ミカは明るく元気に挨拶をする。
(やっぱり、人付き合いは気持ちのいい挨拶から。 基本だよね!)
そんなミカとは対照的に、鑑定屋の老婆は明らかに不機嫌そうな顔になり、「はぁー……」と溜息をつく。
「……やっぱり来たのかい。 まったく、飽きもせずよくもまあ……。」
どうやらミカは『招かれざる客』のようだ。
確かに鑑定を頼むでもなく、老婆に無理を言ってばかりのミカは来てほしくない客ナンバーワンだろう。
「……さすがに僕でも傷つくんですが、それは。」
ミカがしょんぼりしてみせる。
「あんたがそんなタマかい。 どうせ懲りもせず、来週も来るんだろう?」
まあ、確かにそれはその通りなんですが。
歓迎はしなくても、せめてもう少し普通の対応がして欲しい。
高望みだろうか?
「それで、いつものなんですけど。 入ってます?」
ミカは気を取り直して老婆に尋ねる。
老婆は一瞬だけ目を逸らし、バツの悪そうな顔をする。
「……今日も入ってないよ。」
そう言うと、ふいっと横を向く。
(おや?)
老婆の態度がいつもとちょっと違う。
いつもの老婆なら、
「入ってないよ。 分かったらさっさとお行き。」
と、まるで犬猫でも払うようにするか、
「入りはしたけどね。 本当に見るのかい?」
と呆れたような顔をするのだ。
(本当にひどいな、俺の扱い。)
思い出してちょっと悲しくなった。
しかし、今日の老婆はそのどちらでもない。
ミカはカウンターの近くまで寄り、老婆の顔をじっと見上げる。
老婆は顔をしかめながら、意識してミカを見ないようにしているようだ。
「なんか、いつもと違いますね。」
「……別に、そんなことはないさね。 もういいだろ、さっさとお行き。」
そう言って、しっしっと手で払う。
でも、相変わらず老婆は横を向いたままだ。
「じぃーー……。」
ミカはそんな老婆をじっと見る。
勿論、声にも出して老婆をじぃー……と見上げる。
「じぃーーーー……。」
老婆は意地でもミカを見ないつもりらしい。
「じぃーーーーーーーー……。」
「ああーーっ、もう煩いねっ! 無いったら無いんだよっ!」
我慢できず、老婆は声を上げる。
老婆は腕を組んで、「ふんっ!」と横を向いてふんぞり返る。
「………………………………。」
それでもミカがじっと見上げていると、ついに根負けした老婆が盛大に溜息をつく。
「まったく……。 言っておくけど、これだけはいくら言われても絶対に譲ってやらないからね。 ……こんなことなら、さっさと教会に持って行けば良かったよ。」
ぶつぶつ言いながら、老婆はカウンターの中をごそごそ漁る。
やはり何か隠し持っていたらしい。
やっぱりあるんじゃないですかぁ、なんて余計なことは言わない。
ミカは老婆の人の好さにつけ込んで”呪われた物”を譲ってもらっているのだ。
老婆の言う通り、本当なら陽の日まで取っておかずに教会に持って行くことだってできたのだ。
それを律儀に取っておいてくれただけでも感謝しなくてはいけない。
老婆は再び大きな溜息をついてから、カウンターの上にコトンとそれを置く。
それは、宝石のついた指輪だった。
虹色に輝く綺麗な宝石。
ミカもいくつかの宝石で、そうした光の反射の仕方をする物があることは知っている。
だが、その宝石の表面はまるでシャボン玉の表面のように動いているのだ。
こんな物は聞いたこともない。
「これ、装飾品としての価値も高いんじゃないですか?」
「そうさね。 呪われてさえいなければ、いい値がついたろうね。 ……例え呪われていたって、これなら引き取りたいって物好きもそれなりにいたかもしれないさね。」
「……それでも、引き取ってもらった?」
どうしてだ?
この鑑定屋での引き取り料は銀貨五枚。
教会では銀貨四枚で封印を引き受けてくれるらしいが、なぜみんな自分で教会に持ち込まず、ここで銀貨一枚も余計に払って引き取ってもらっているんだ?
「前からちょっと不思議だったんですけど、何でみんな鑑定屋で引き取ってもらうんですか? 銀貨一枚を余計に払ってまで。」
「別に余計になんか払っちゃいないよ。 普通は教会で引き取ってもらうのに銀貨五枚を寄付するんさ。 うちみたいな鑑定屋がやってるのは、教会への持ち込みの代行みたいなもんでね。 教会に届け出てれば、銀貨四枚で引き取ってくれる。 それだけさね。」
なるほど。
ここで引き取ってもらうのも、教会に持ち込むのも負担は同じなのか。
それなら、”呪われた物”などさっさと手放したいと、ここで引き取ってもらうのも納得である。
しかし……。
「でも、この指輪なら、呪われてても買い取ってくれるところがある?」
「まあ、探せばあるかもしれないさね。 もっとも、まともに看板掲げた店にゃ、こんなの買い取るような所はないだろうけどね。」
裏の業者みたいなのがあるらしい。
本当に、こういうのはどこの世界にでもあるもんだね。
思わず苦笑してしまう。
「さあ、さっさと見ておくれ。 本当は出しておくのも嫌なんだよ、こんなのは。」
老婆がさっさと用事を済ませろと急かしてくる。
確かに、”呪われた物”をいつまでも出しておきたくないというのは分からなくもない。
「……それでは、失礼します。」
ミカはカウンターの上の指輪に左手を伸ばして、掴み取る。
ビクンッ!
掴んだ瞬間、ミカの全身が電流でも走ったように強張る。
「ぅがっ!?」
カツンッカツンッと指輪がカウンターの上を跳ねる。
突然のことで指輪を手離してしまった。
「何、だ。 これ……?」
思わず左手を見る。
掴んだ左手の肘から先がまだ痺れていた。
「……やっぱり分かるんだね、あんたには。」
老婆がミカを見て、そんなことを言う。
「何で”呪われた物”なんか欲しがるのか不思議だったんだよ。 これまでも”呪い”の強い弱いを何となく分かってるような気はしたけど……。」
そう言えば、老婆にも話していなかった。
たんに「呪いに興味がある」としか言っていなかったことを思い出す。
「指輪にかけられた呪いはこれまでの物とは訳が違う。 人を殺せるだけの…………いや、実際に何人も呪い殺してきた指輪だろうね。 悪いことは言わない、"呪い"に興味を持つのはもうおよし。」
そう言って老婆は転がった指輪を片付けようとする。
「ちょ、ちょっと待ってください。 もう一回だけ見せてください。」
ミカが真剣な顔で頼むと、老婆が諦めたようにカウンターに指輪を戻す。
ミカはブレスレットを扱っていた時のように左手に魔力を集める。
慎重に指輪に手を近づけて、そっと摘まむ。
それでも手が震え、強い電流のような感覚が左腕全体に伝わる。
(これでもまだだめかよ!? どんだけ強い呪いなんだ!)
ミカは更に魔力を集め、指輪から伝わる波動を無理矢理に押さえ込む。
歯を喰いしばり、全神経を集中するように魔力を集めて、ようやく波動を押さえ込むことができた。
「ぷはぁーーーーーーーっ!」
ミカは指輪をカウンターに置いて、大きく息を吐き出す。
今度は力み過ぎた反動で手が微かに震えた。
「ハァ……ハァ……ハァ……ッ!」
「もう気が済んだかい?」
老婆はそう言うと、さっさと指輪を片付けてしまう。
またミカが止めることを懸念して、急いで仕舞いたかったのだろう。
老婆が溜息をつく。
「……もう、あんたが”呪い”に興味を持つのを止めやしないよ。 でも、指輪だけはおよし。 こういうのは、触れないこと、近づかないことが一番さね。」
「…………はい。」
今のミカでは波動を押さえ込むことが精一杯で、とてもパズルを楽しむどころではない。
これは命に関わる、と老婆が忠告してくれているのを、素直に聞くことにした。
「……すみません。 ありがとうございました。 取っておいてくれて。」
「ん。 いいさね。 また来週も来るんだろう?」
「はい。」
ミカは丁寧に頭を下げて、鑑定屋をあとにした。
まだ左手が痺れているような気がして、手をグーパーグーパーと動かす。
「世の中には、とんでもない物があるんだなあ。」
いい経験になった。
ミカは左手をじっと見つめ、強く握り締める。
「…………でも、いつか……!」
独りごちて、ミカは大通りを寮に向かって歩き出した。




