第278話 ”呪われし子”の解呪
ミカの作った石壁と防護壁を貫いた穴から、群衆がどんどん侵入していた。
ミカは巨大な石を作り、侵入してくる群衆を下敷きにする。
その上に更に石を重ね、石壁と高さを合わせた。
「ふぅ…………、これで何とか塞いだぞ。」
防護壁に穿たれた穴のすべてを塞ぎ、ミカは一息つく。
ミカが新たに作った石壁の上に兵が展開し、攻撃を再開した。
何とか態勢を立て直すことができた。
懸念したレーザーの再開はなかった。
”呪われし子”だと思われる男を殺したが、再憑依に時間がかかるのか、あえて隠れているのか。
隠れられると厄介と言えるが、元々どんな姿をしているのか分からないのだ。
今は倒せないのなら、せめて大人しくなってもらうしかない。
その時、フィーが突然激しく明滅を始める。
「どうした?」
ミカが声をかけると、フィーが一本の光を群衆に向けた。
その光を視線で追うと、光の先に何かが迫ってくるのが見えた。
「何だ、ありゃ!?」
それは、群衆の上を走っていた。
凄まじい勢いでこちらに向かってくる。
「……もしかして、呪いか?」
ミカがそう呟くと、フィーが一際強い光を放つ。
どうやら、こいつは”呪われし子”らしい。
まあ、見ただけで普通ではないのは確定だ。
群衆を踏みつけ、あり得ない速さでこちらに向かってくる。
こんなことができる奴が、普通の人間な訳がない。
「付いて来てくれるかな?」
石壁の上で戦っては、もしも壁にダメージがいけば再び壊れる可能性がある。
戦いながらの修復は難しいので、できれば離れた場所で戦いたい。
ミカは群衆の上に移動しながら、向かってくる誰かに”光砲”を放つ。
しかし、そいつはミカの”光砲”を躱してみせる。
不安定な足場の上で、レーザーを躱した。
「…………くそ、やっぱ化け物か。」
連続して”光砲”を放ちながら呟き、ミカは防護壁から離れるのだった。
■■■■■■
「あれー? 何してるのー?」
群衆に紛れ、ひたすら”意”を取り込んでいた”火”は、予定外に現れた”光”に尋ねる。
そうして「うんうん」と頷きながら、防護壁に視線を向けた。
「あー、いるんだー? どれどれー?」
目を凝らしてみるが、さすがに遠すぎてよく分からない。
「【解呪】使いはー、今のうちに殺っておく方が良くないー?」
そう”火”は呟くが、途端にぶるっと身体を震わせる。
口をへの字に曲げ、変な顔になった。
「フーちゃんがだめってー? ……まあ、ウーちゃんの仇っていうのも分からなくはないけどさー。」
意味分からない。
ただのごっこじゃん。
”火”は呆れたように息をついた。
”土”と”風”は、元々はただの他人だ。
たんに「兄弟が欲しい」というお互いの希望が合致したために始めた、お遊びである。
まあ、意気投合したという意味では仲が良いのだろうけど。
そこまでムキになるのも、”火”には意味が分からなかった。
「じゃあ、どうするー?」
このまま計画を継続するのか、変更するべきか。
とはいえ、変更せざるを得ないだろう。
”光”が防護壁に穴を空けて群衆を雪崩れ込ませる計画だったが、いきなり殺られてしまった。
【操りの糸】に侵された者では、再憑依するのには適さない。
別の者を探すにも、完全に乗っ取るには少々時間がかかる。
いい具合に心が弱っていれば、乗っ取りまでの時間を短縮することもできるが。
そして、”火”や”土”の”言”では、防護壁に穴を空けるのにはいまいちだった。
勿論やれなくはないのだが、少々効率が悪い。
”火”が不意に、口の端を上げた。
その目に狂暴な光を湛え、見る者をぞっとさせる笑みを浮かべる。
「…………いいね、それ。 じゃあ、先に行くのか? ああ……分かった。 こっちも、それで。 適当なとこでな。 …………山脈くらい、訳ないさ。」
そうして、虚空を行く何かを見送り、”火”は呟く。
「増々面白くなったな……。」
”火”は堪えきれず「くく……」と喉を鳴らし、肩を震わせた。
■■■■■■
ミカは降り注ぐ巨岩を躱しながら、”光砲”で反撃する。
ズドンッズドドンッズドンッズドンッ!!!
「「「キャアアアアアアーーーーーーッ!」」」
「「「ギャアーーーーーーーーーーッ!?」」」
直径で一メートルはあるような岩が次々と降り注ぎ、群衆の中に落ちていった。
圧し潰された人々が断末魔の声を上げ、悲鳴が響き渡る。
ミカも空を飛んでいては躱しきれないため、適度に群衆を足場にしてあちこちを飛び回る。
そうしたミカを狙って、更に岩が降っていた。
「ちょこまかとおおぉぉおおおっ! 虫けらの分際でええええっ!」
浅黒い肌をした女は目を血走らせ、執拗にミカを追い回して岩を降らせる。
ミカが放つ”光砲”を完全に見切り、躱しながら追いかけていた。
(こいつ、何で”光砲”を躱せるんだ!?)
光より速く動ける訳がない。
おそらくはミカの動きを読んで、先に回避行動を取っているのだ。
「があああああぁぁあぁあああああああああああああああああっっっ!!!」
浅黒い女が一気に距離を詰め、ミカに迫った。
ミカは一旦仕留めるのを諦めて、上空にジャンプした。
どうやって倒すか、考える間が欲しい。
そうしてぐんぐん上昇するミカに向かって、”石弾”に似た礫が大量に放たれる。
「こいつ!? 僕か!?」
まるで、自分と戦っているような感覚に襲われる。
ミカが方向転換して礫の群れから逃れるが、礫はひたすら同じ方向に放たれていた。
おそらく、ミカを見失っているのだろう。
ミカはホッと息をついた。
「何なんだ、あいつは。」
まるで野生の獣や魔獣を思わせる迫力。
黒豹にでも追いかけ回されているような気分だった。
ミカは”望遠鏡”を使い、浅黒い女を探す。
礫の発生源を辿ることで、すぐに見つけることができた。
浅黒い女は、今も変わらず狂気に取り憑かれた表情で、叫んでいるようだった。
「さて、どうすっかな。」
ここから”光砲”で撃ち下ろせば、殺るだけは殺れるだろう。
だが、おそらくこの女は”呪われし子”。
ただ殺るだけでは、本当に倒したことにはならない。
「この女が、さっきのふんぞり返ってた男と同じ中身か知らないが、解呪しないと倒せないよな。」
あれだけ敵意を剥き出しにして襲いかかってきたのだから、相当お怒りなのだろう。
多分、同じ中身と思ってもいいのではないだろうか。
防護壁の破壊より、自分を殺したミカを仕留めに来たと考えれば、この行動の説明もつく。
若しくは、合成魔獣を放っていた青年か?
あの時やられた借りを返す、といったところだろうか。
(まあ、動機はどうでもいいか。 問題はどうやって倒すかだな。)
乗り移っている身体を倒せば、厄介な石を使った攻撃は止まるだろう。
これは合成魔獣を放っていた奴が”呪われし子”だったと考えれば、同じ傾向があってもおかしくない。
まあ、もしも呪いの状態だけになっても”言”とやらを使えたら、また別の方法を考える必要があるが。
「ぶっ倒す。 と同時に解呪も行う。」
そうなると、方法は一つしか思い浮かばない。
「まあ、やってみるか。」
ミカは大きな石を作り出す。
直径と高さが五メートルの円錐だ。
ただし、底面には一メートルほど厚みを持たせているので、実際は円柱と円錐をくっつけたような形。
で、細くなっている方を下にして、突撃を敢行する。
ミカは石の底面に隠れながら、一緒に落下した。
落下しながらフィーに作戦を伝えると、微かに光を強める。
フィーが移動するのに合わせ、フィーの方にミカも移動する。
ガシガシガシガガガガガガガシィンッ……!!!
落下を開始してしばらくすると、あらぬ方向に撃ち出されていた礫が、ミカの作った石に次々と命中するようになった。
飛来する物体に気づき、狙いを修正してきたのだろう。
凄まじい速度でぶつかり合う、石と石。
ただしミカの作った石には傾斜がつけてあるので、礫の衝撃を受け止めずに逸らすだけ。
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガンッ!!!
絶え間なく聞こえる衝突音。
「痛ててててててててててててててててててててててててっ!?」
衝突で飛び散った破片が回り込み、隠れていたミカにビシビシ当たった。
ミカは身を低くしながらフードを目深に被る。
そうして【身体強化】を数百倍か数千倍にまで上げて、フィーのいる方向にいつでも飛び出せるように準備した。
当然ながら隠れているミカには、浅黒い女の位置は見えない。
そこで、ミカの代わりにフィーに確認してもらい、どこにいるかを教えてもらうのだ。
ミカは周りに見える光景から、十分高度が下がったことを把握する。
「いつでもいいぞ、フィー。」
ミカがそう言っても、フィーに動きはない。
だが、すぐにフィーがピカッと光り、その瞬間にミカは迷わず石から飛び出した。
腕で顔面を守りながら、礫の雨に飛び出す。
その瞬間に五発の礫がミカにぶつかった。
顔面を守っていた腕に一発。
胸に一発、腹に二発、足に一発だ。
ボキッボキ……!
”銅系希少金属”のローブでも吸収しきれない衝撃に、腕と胸の骨が折れた。
ミカはゆっくりと【癒し】の呪文を詠唱しながら、目標を探す。
浅黒い女は落下してくる巨大な石との衝突を避け、大きく回避行動を取っていた。
まさにドンピシャの方向とタイミング。
ミカは急速に落下しながら女を追う。
そうして体当たりするように女にぶつかり、その身体に力いっぱい抱きつきながらごろごろと転がった。
「ぎっ、ぎざまぁぁああっ!?」
転がりながら、浅黒い女が抵抗する。
だが、ミカは歯を喰いしばって、必死に押さえつけた。
ミカと女が数百メートルを転がる間に、そこにいた群衆も漏れなく巻き込む。
「「「ぐわぁああああああああああっ!?」」」
「「「ぎゃあああああーーーーーーっ!?」」」
ミカはごろんごろん転がりながら、勢いが弱まったところで【癒し】を発現して一気に全快させる。
浅黒い女は全身の骨が折れているのか、あちこちが変な具合に曲がっていた。
ミカは、対”呪われし子”に備えて、考えていた作戦を開始する。
「”吸収翼・二重”!」
ピカッ!
ミカが翼を一対増やし、四枚の翼にするのと同時に、フィーが光った。
その瞬間、浅黒い女を包んでいた巨大な呪いが姿を現す。
フィーの呪いの視覚化は便利だが、一つ厄介な点がある。
それは、呪いが強大過ぎると、呪いを宿した物が黒い靄で見えなくなってしまうことだ。
そのため闇雲に視覚化するのではなく、”呪われし子”が居た場合には、まずミカに知らせる。
ミカが取り押さえてから視覚化させ、万が一逃がしても追えるようにするというルールを作った。
ミカは【身体強化】を四十倍まで落とし、”自動解呪”を開始した。
合成魔獣を放っていた青年は、相当な時間をかけても解呪しきれなかった。
そこで、まずは単純な方法として”自動解呪”に割り振る魔力を増やすことにした。
”自動解呪”は魔力量に応じて処理速度が上がるからだ。
かき集める魔力量が単純に倍になるか分からないが、吸収するための面積が増えれば、その分増えるだろうと言う脳筋的発想。
”吸収翼”をもう一対作り、吸収する魔力量を増量するのだ。
そして、当然ながら”自動解呪”にも手を加える。
主に探索タスクにだが。
探索タスクの問題点としては、これはもう単純に探索すべき対象が大き過ぎること。
”呪われし子”は、これまでの探索タスクの方法では時間がかかってしまうのだ。
呪いが巨大過ぎて、細々と探索していては中々干渉できる場所が見つからない。
そのため、増えた魔力を活かしてタスクを複数起動することにした。
これまで一つしか動かしていなかった探索のタスクを、同時に四つ起動している。
ごく簡単に言えば、探索する範囲の両端から中心に向かって探索を進める。
また、中心からも両端に向かって探索を進めるのだ。
一個で時間がかかるなら、数を増やせばいいじゃない、という力技である。
極端な話をすれば、もっとタスクを増やせばもっと早くなるかもしれない。
しかし、一つひとつのタスクもかなり魔力を使うので、四つのタスクに魔力を注ぎ込むだけでいっぱいいっぱいだった。
これ以上タスクを増やすと、一つあたりに割り振れる魔力量が少なくなり、反って遅くなりそうだ。
速やかに干渉すべき箇所が見つかれば、呪いの力が大きくても小さくても解錠タスクでやることは同じだ。
呪いが強いと干渉箇所が固いこともあるが、魔力を注ぎ込んで出力を上げてやれば問題ない。
そのため、もっともボトルネックとなっていた探索を強化したのだ。
ミカは四枚の翼で黒い靄を掴み、一気に解呪していく。
浅黒い女は虫の息のようだが、念のために首を掴んでへし折った。
そうして女の上で蹲り、あとはダンゴムシのように丸まって、じっと解呪に集中する。
合成魔獣を放っていた青年を解呪していた時、ミカが大きく動いてしまったために、捕まえていた呪いに逃げられてしまった。
解呪している間は、なるべく動くべきではないのだ。
以前は仕方なかったとは言え、今のミカには”銅系希少金属”のローブがある。
今のミカならば、合成魔獣が体当たりしてきても耐えられるだろう。
火炎息を吐かれても耐えることができる。…………と思う。
周りに群衆がいるが、余程の達人でもない限り、たとえ剣で斬りかかられても耐えることができるだろう。
まあ、痛いかもしれないけど。
そうして案の定、群衆がミカに寄ってたかって暴行を始めた。
主に蹴りを入れてるだけだが。
しかし、この程度の攻撃ならば、何と言う事はなかった。
(…………しっかし、よく向かってくるな。)
今のミカは、巨大な真っ黒い靄の中にいる。
普通の判断力があれば、こんな靄の中に入って来ないだろう。
それなのに、この人たちはまるで靄など見えないかのように、ミカに暴行を加えていた。
(あとで憶えてろよ、てめえら……。)
特に、今頭蹴っ飛ばした奴な!
そんなことを思っていると、はっきりとした手応えを感じた。
その瞬間、黒い靄が霧散する。
(やったっ!!!)
ついに、”呪われし子”を解呪した!
以前にえらい時間がかかって、捕り逃がしたことが信じられないくらい、あっさりと成功した。
ズキンッ。
ドクッドクッドクッ……!
ミカが跳ね起きようとした時、急にひどい頭痛と動悸、そして胸を締め付けるような何かを感じた。
「うぐ……くっ……!」
ミカはその痛みを丸まったまま、じっと耐える。
これは、おそらく呪いの影響ではない。
”吸収翼・二重”を使った時に起きる反動だ。
以前、冒険者ギルドで”自動解呪”の改良をしている時にも起きていた。
多分だが、大量の魔力を扱った時に起きるものだろう。
ここまでひどくはなかったが、初めての戦場で七万の兵を壊滅させるために、大量の魔力を使った時にも動悸を感じた。
あれがより強くなったものだと思われる。
ギルドで練習した時は、呪い自体が大したことないので、反動もここまで大きくはなかったのだが。
群衆にぼこぼこに暴行されながら、それでもミカは動悸が治まるのじっと待った。
そうしてしばらく堪えていると、少し身体が楽になる。
ゆっくりとミカは立ち上がり、”風千刃”を発現した。
「「「うぐっ!?」」」
「「「ぶふっ!」」」
「「「ごふっ!?」」」
ミカの半径十メートル以内の人が、血を吐いてばたばたと倒れる。
ミカは”吸収翼・二重”から”吸収翼”に切り替えて、防護壁に向かって飛び上がった。
離れるなと言われていたのだが、つい離れてしまった。
(まあ、あんな岩を降らせる奴と防護壁で戦ってたら、確実に破られてたけどな。)
いい判断だと褒めてもらいたいくらいだ。
「とりあえず、防護壁の無事を確認しないと。」
そう呟き、ミカは急いで防護壁に戻った。
■■■■■■
「すみません、状況を教えてください!」
『……御使い様!? 無事でしたか!』
ミカは石壁の上に戻ると、通信指令室に呼びかける。
通信担当が驚いたように返事を返した。
どうやら、急にミカと連絡が取れなくなり、戦闘中行方不明と思われたようだ。
「穴を空けられた場所はありますか?」
『はい! 二の三、二ノ六、三の二で数回爆発が起こり、防護壁が破られました!』
「分かりました、すぐに向かいます!」
爆発ということは、魔法士による【爆炎】だろうか?
『御使い様、すみませんが急いでください! すでに十数万の群衆が侵入しています!』
「そりゃ大変だ!? すぐ向かいます! 一番の近いのは二の六です! そこから直します。」
『了解しました!』
ミカは爆発で崩された石壁に到着すると、すぐに塞ぐための石を作った。
前のレーザーの時は幅五メートル程度の穴だったが、今度は二十メートルを越えていた。
かなりの威力の【爆炎】だったのだろう。
「これでは、一カ所あたりの修復に数分かかります! ここも十分近くかかると思ってください。」
『了解しました! 作戦部に伝えます!』
ミカは巨大な石を作り、それを横に並べていく。
まずは流入を止めるために、下段を先に作る。
そうしてから、上段に取り掛かった。
ミカが修復を終え、次に移動しようとした時に、遠くで爆発が起きた。
立て続けで三回、四回、五回と爆発する。
「くそっ、好き勝手しやがってっ! ――――通信指令室! 【爆炎】を使ってる魔法士を先に叩いた方が良くないか!?」
『二の三の修復を急いでください! 流入を押し留めてる王国軍が持ちません!』
それを聞き、ミカは思わず舌打ちしてしまう。
穴を空けられたばかりの場所なら、防護壁の後ろに控えた兵士たちが受け止めてくれる。
しかし、それにも限界がある。
すでに大量の群衆が流入し続けている場所は、限界が近いようだ。
ミカは防護壁に開けられた穴を塞ぐために、飛び回った。
ミカが穴を塞いでいる間に、別の場所で爆発が起こる。
そんなことが数回続いたが、やがて爆発が止まった。
この日は、合計で五十万を超える群衆が防護壁を越えた。
だが、防護壁の後ろで流入に備えていた王国軍によって、その先への侵入は何とか阻止することができた。
王国軍、領主軍の死傷者は三万人ほどだ。
死者のほとんどが、レーザーと爆発によるもの。
壁に穴を空けるのに巻き込まれた騎士や兵士だった。
昼過ぎには防護壁はすべて修復され、以後は爆発が起こらなかったこともあり、壁を越えられることは無くなった。
後はひたすら弓を射て、ひたすら【爆炎】を使う。
そうして、たった一日で推計三百万を超えるであろう帝国の民が死に、この日の戦いは終わった。




