第264話 一撃離脱戦法
風の1の月、5の週の風の日。
ダブランドル平原の上空、八千メートル付近。
「…………いや、何メートルかなんて分からんけどな。」
高度を測る手段などない。
それでも、ダブランドル平原の南にある山脈、通商連合との境界の山脈すら見下ろす高さにミカは待機していた。
風がかなり強い。
一定の場所に留まるのにも、少し苦労していた。
ミカは”突風”で作り出した大気を自分の周りに纏うことで、何とか体温を維持している。
それがなければ、あっという間に体温を奪われてしまうだろう。
また、酸素も地上の三分の一程度のはずだ。
”突風”が無ければ、酸欠で気を失っていてもおかしくない。
というか、普通に死ねる。
気圧の低下も人体には影響を与える。
そのため、この高度に到達するまでに数回様子を見ながら上がってきた。
まあ、ぶっちゃけここまでの高度は必要ないのだけど。
ミカは地上を見下ろし”望遠鏡”で様子を見る。
すでに王国軍、帝国軍の展開がほぼ済んでいた。
王国軍は、領主軍と合わせて四十万弱。
帝国軍は偵察からの報告では三十万強。
単純な兵数では、王国軍が上回っている。
だが、それでも王国軍は負けるだろう。
なぜなら、【神の怒り】を使えないから。
この期に及んでまだ【神の怒り】の使用を認めない国王に、戦場が苦労させられている。
この状況を打破するために、ミカはわざわざ数日前からレーヴタイン侯爵領に入り、作戦の概要を王国軍と領主軍に説明してきた。
ミカとしては、ミカ一人で帝国軍を蹴散らしてくるのは、正直ムカつく。
初めからアテにされると「王侯貴族は何にもしないんかい!」と。
【神の怒り】さえなければ国王の考える通り、数の力が物を言う戦いになる。
そこで、お望み通り数の力で勝敗を決してもらおう、という訳だ。
…………まあ、国王を後でどうするかは、おいおい考えるとして。
ミカは帝国軍の編成を確認する。
目標を探すと、すぐに見つけることができた。
ただし、目標が一つとは限らない。
見落とさないように、帝国軍をよく観察する。
「…………他にはいなそうだな。 まあ、前回も作戦自体は成功してた訳だし。」
教会の癒し手を使い、初手で【神の怒り】を喰らわせる。
その作戦は成功し、瞬く間に王国軍は押し込まれることになった。
その後の敗北は別の要因による訳だから、上手くいった部分はそのまま使おうということか。
「とは言え、『見落としてました』じゃ済まないからな。 よく探しておこう。」
見逃せば、数万~数十万の犠牲者が出ることになる。
先の戦いでは、両国の軍がともに方陣を組み、三軍でぶつかり合う形だった。
まあ、速攻で左翼を潰され、王国の二軍と帝国の三軍という構図になったが。
だが、今回は兵数が多いので、三軍に綺麗に分かれるという形ではない。
大した丘などもないので、単純に両軍が横長に広く展開している。
王国軍は中央が厚く、帝国軍は右翼が厚い。
兵数の多い王国軍は、正面からぶつかるのは望む展開だろう。
一方の帝国軍は、右翼の突破力で王国軍を横から崩していく考えだと思われる。
そして、ミカの目標である教会の癒し手は、中央と右翼の間といった位置か。
おそらく、王国軍の中央に【神の怒り】をぶつけ、さっさと総崩れにするつもりだろう。
最大火力を、王国のもっとも戦力の厚い箇所にぶつける。
当たれば確実に潰せるのだから、これは理に適った作戦といえる。
魔法士の部隊も見えるが、広くあちこちに展開していた。
こちらは【神の怒り】ではなく、適宜大砲として使うつもりの部隊だと思われる。
「……兵数を抜きにすれば、戦略、戦術ともに帝国が上か。」
武器を取り上げておいて「戦え」と命じてくる国王がいない分、王国よりは幾分マシか?
まあ、長年虎視眈々と機会を窺っていたのだろうから、きっとのびのび戦わせてくれるのだろう。
そんなことを考えていると、王国軍の本陣辺りから合図が来た。
磨き上げた大きな鉄板で、日の光を反射させて上空に合図を送らせたのだ。
それでも肉眼では見えないだろうが、”望遠鏡”があるのでバッチリ伝わる。
「それじゃあ、行きますかね。」
ミカはぺろりと唇を舐め、帝国軍を睨んだ。
そうして、高度を維持する”突風”と"低重力"を切り、自由落下に移る。
高度八千メートル以上の上空から、自由落下。
速度はぐんぐんと上がり、高度はみるみる下がる。
ミカは丸まってくるんくるんと回転した後、四肢を伸ばした。
急激に空気抵抗が増し、姿勢を整える。
それからゆっくりと頭を下げ、気をつけの姿勢で身体を伸ばす。
空気抵抗が一気に減り、ミカは加速しながら真っ直ぐに目標に向かって落ちていった。
高高度降下低高度開傘。
所謂、ヘイロー降下と云われる降下方式がある。
地上六百メートル程度の高さまで自由落下で一気に落ちる。
高度八千メートル以上の高さから六百メートルまでを、ほんの二分程度で落下するらしい。
パラシュートを開くタイミングが僅かでも遅れれば、減速しきれず地上に叩きつけられる。
そんな危険な降下方式を、ミカはパラシュート無しでやる訳だ。
言ってみれば、それはただの投身自殺である。
パラシュートを使っても、開くタイミングが遅ければ命を落とすこともある。
それをパラシュートではなく”突風”でやるのだから、ただの馬鹿と言って差し支えないだろう。
ミカは真っ逆さまに落ちながら、地上を睨み目標を確認する。
「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばっっっ!?」
速度が上がるにつれ、空気抵抗が上昇する。
ミカが保温のために纏っていた”突風”が空気抵抗に負け、散り散りになってしまうようだ。
氷点下何十度という空気が顔面に直撃してくる。
いや、辛うじて直撃まではいっていない。
盛り盛りの腕輪の効果で、ミカの身体の周辺では、急激な大気の動きは制限される。
絶えず作り続ける”突風”のおかげで、何とか氷点下の大気を吸い込むような事態だけは避けられた。
それでも、押し寄せる大気に顔の皮は波打ち、引き結んだ口をこじ開けて勝手に口内に大気が侵入してしまうが。
「うぐぐぐぐぐ……っ!」
”吸収翼”でかき集める魔力を集中し、空気抵抗にも負けないように”突風”を留まらせる。
「ぎ……ぎづい……っ!」
頻繁に瞬きをしながら、辛うじて薄目を開けて目標を捕え続ける。
手足を伸ばして空気抵抗を増やし、位置を調整する。
そうして、再び身体を伸ばして、一直線に帝国軍目掛けて落ちて行った。
この大陸の戦では、大将が前に出て名乗りを挙げて、などという儀式は行わない。
大昔はやっていたらしいが、泥沼の五十年戦争の時代に廃れていったそうだ。
戦いの準備が整ったら、角笛で全軍に開戦を知らせる。
もしも相手の方が先に準備が整い、角笛を鳴らしたら、こちらも合わせて角笛を鳴らして前進を命じる。
そんな風に戦いが始まるらしい。
今回の場合は、王国軍の準備が整った、若しくは帝国の角笛が聞こえたらミカに合図を送ることになっている。
そして、ミカからの合図があるまで、王国軍は待機だ。
ただ突き進んでも、【神の怒り】の射程に入れば一方的にやられるだけだから。
そのため、今は王国軍は動かず、帝国軍のみが前進しているという状況のはずだ。
ミカは必死になって”突風”を留め、何とか無事に落下を続けていた。
”望遠鏡”を使わずとも、大分地上の様子が分かるようになってきた。
そろそろ減速を始めた方がいいのか?
ていうか、地上から六百メートルってどうやって測るの?
…………………………………………。
……………………。
「知るかあああああああああああああああああああああああっっっ!!!」
ミカは雄叫びとともに”突風”を全開にし、減速を試みる。
ガクンという強い衝撃を受けはするが、減速している感じはあまり感じない。
ミカは四肢を伸ばし、空気抵抗を増やす。
それでも、猛烈な勢いで落下していった。
地上が迫る。
「おいおいおいおいおいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ!?」
ブレーキッブレーキッ!?
勿論、そんな物はない。
ミカは必死になって”突風”に魔力を注ぎ、逆噴射で減速する。
そうして、何とか十分に減速することができた。
ミカはホッとしつつ足を下にして、最後の位置調整を行う。
落下予測地点は、教会の癒し手集団のど真ん中。
逆噴射をしていた”突風”も切り、【身体強化】に魔力を振り分ける。
何百倍だか何千倍の強化だか知るもんか!
ズドオーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!
ミカは地響きと砂埃を上げて、まるで隕石のように落下する。
狙い違わず、まさに【神の怒り】の発現準備中だった癒し手たちの中心に着地した。
「「「ぐはあっ!?」」」
「「「うわっ!?」」」
「「「なっ、何事だっ!?」」」
突然の轟音と衝撃に、癒し手たちが吹き飛ばされ、驚きの声を上げる。
「いぎぎぎぎっ……!」
ミカは足から全身に伝わる、凄まじい衝撃を必死に耐えていた。
痛みを堪えながら、ミカは両手を広げる。
「”光砲”っ!!!」
そうして、くるくるっとその場で三回ほど回転する。
両手からレーザーを放ちながら。
「「「ぎゃああーーーーーーーっ!?」」」
「「「げふぅ!?」」」
ミカの両手から放たれるレーザーに、癒し手たちの身体が切断された
手足や首が飛び、胴体さえも分断された癒し手たちが断末魔の悲鳴を上げる。
上から見た感じ三百~四百人ほど居そうだった癒し手たちが、一瞬で全滅。
ついでに、周囲を固めていた教会騎士団の護衛も巻き添えにして。
そうして、ミカは一目散に離脱する。
全力で真上にジャンプして、そのまま”突風”全開で上昇した。
ボッボボンッ!ボーーーンッ!
地上から、鈍い音が聞こえてきた。
数回、立て続けにズンッと衝撃波がやって来る。
【神の怒り】の研究施設の責任者、ネスティレーオが言っていた通り、発現を中断された【神の怒り】は魔力の暴発を起こした。
ミカは上昇をやめて地上を確認する。
癒し手集団は跡形も無く吹き飛び、周辺にいた兵士などの陣形も一部が吹き飛ばされたりしていた。
突然自軍内に爆発が起こり、帝国軍は浮足立つ。
ミカは今年授業で習った【信号弾】の【神の奇跡】を使い、王国軍に前進の合図を送る。
その【信号弾】を確認し、王国軍が動き出した。
もしも他に【神の怒り】を使いそうな部隊があれば、そちらも潰し、それから【信号弾】を送ることになっていたのだ。
「ふぅ……、お仕事おっ終い。」
ミカは【癒し】を使い、身体をリフレッシュする。
そうして、上空から王国軍の陣に向かった。
「ま、当然こうなるか。」
王国軍側から戦の行方を見ていたが、王国軍が終始優勢に進めていた。
帝国軍は開始早々に【神の怒り】をお見舞いするはずが、目論見が外れてしまった。
【神の怒り】に暴発の危険があることを知らされていなかったのか、帝国軍は浮足立ったまま立て直すことができなかった。
すぐに総崩れという訳ではなかったが、粘りに力強さは無く、士気の高い王国軍に押し切られた。
今は壊走を始めた帝国軍に、王国軍が追撃を開始したところだ。
「快勝、か…………良いのか悪いのか。」
国王が「【神の怒り】など無くても戦えるではないか」などと言い出さなきゃいいけど。
まあ、それを何とかするのは宰相らの仕事だろう。
しっかりと働いてもらいたいところだ。
ミカは戦場を見回し、負傷者の治療に行くことにした。
この国の軍隊に、所謂衛生兵のようなものは存在しない。
各自が回復薬を持参して使うことはあるが、野戦病院のようなものもない。
教会から癒し手が派遣され、負傷した者を治療してくれるが、魔力が尽きたらそこでお終い。
ある程度は魔力の回復薬を使いつつ【癒し】を施してくれるが、あくまで教会が任意で行っているだけである。
後方まで自力で辿り着き、【癒し】をかけてもらおうとしても、すでに終了ということも多いそうだ。
魔法士なら【癒し】を使える者も多いが、魔法士隊も基本的にはあまり【癒し】を使いたがらない。
【癒し】に魔力を使い切った後、再び敵が攻めて来たら?
そうしたことを考え、魔法士隊の魔力は温存される傾向にあるという。
(……アホやな。)
兵士は、言うまでもなく国民だ。
育て上げるのに、長い時間と手間がかかる。
しっかりと治療を施して戦線に復帰させることが如何に重要か、あまり考えていないようだ。
戦場での主力は魔法士でも騎士でもなく、一般の兵士だというのに。
平民などいくらでもいる、という考えが、こういう部分からも透けて見えるようだ。
ミカは、泥に塗れて地面を藻掻いていた兵士の横に下り立った。
「フゥーッ……、フゥーッ……、クゥ……!」
兵士は足の腱が切れてしまったのか、立ち上がれないようだ。
歯を喰いしばり、涙を流しながら、這うようにして自陣に戻ろうとしていた。
生き延びるために。
ミカはその兵士に【癒し】かけると、そのまま次の負傷者を探しに飛び立つ。
兵士は、茫然とした表情のまま、御使いの飛び去った方向をじっと見ていた。
戦場を飛び回り、【癒し】をかけて回る。
昼前には勝負の着いた戦いだが、戦場に置き去りになった兵士は数千人に及ぶ。
「王国軍の人は声を上げてくださーい! 【癒し】をかけに行きますよー!」
ミカは呼びかけながら”地獄耳”も使い、微かな声も漏らさないように負傷者を探す。
フィーにも協力させて、深夜になってもサーチライトのように真っ暗な戦場を探し続けた。
いつもは、戦場での決着がつくと敵の追撃を行う。
それも終わると引き上げるだけだった兵士や騎士も、一部が戦場に残って負傷者探しを手伝ってくれた。
王国軍の兵士を見つけると声を上げて、ミカを呼んでくれる。
そうして、一人でも多くの人を救うために、真っ暗な平原をいつまでも飛び続け、呼びかけ続けた。
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風の1の月、5の週の土の日。
朝方にリッシュ村にやって来たミカは、キスティルとネリスフィーネの住む家に、寝床を借りに行った。
突然やって来た泥だらけのミカに驚きつつも、二人はミカを快く受け入れてくれる。
そうして湯場も借り、前に移動させたままになっていたミカのベッドに入って、昼まで休ませてもらう。
(……今度、部屋に戻さなきゃ…………いや……買って、きた方が……。)
そんなことを思いつつ、眠りにつく。
そうして、目が覚めたらミカの両側にキスティルとネリスフィーネが寝ていた。
(なぜ……?)
ミカは首を傾げた。
三人で寝るのも、以前のことがあるので、まあ慣れたものである。
しかし、こんな時間に二人が寝てるのは珍しい。
というか、ミカが来た朝方には二人とも起きていたのだが……。
昼寝か?
(ていうか……、引っ付き過ぎて、起こさないように起きるのは無理だな。)
お昼寝の邪魔をしたくはないが、身動きが取れん。
「えーと……、ネリスフィーネ。 起きて…………ていうか、放して。」
「むにゃむにゃ……、ミカさまぁ……。」
遠慮がちに声をかけるが、ネリスフィーネは気持ち良さそうに寝ている。
ミカは一旦ネリスフィーネを起こすのを諦め、キスティルに声をかけた。
「キスティル、ごめん。 起きたいんだけど。」
「ふふぅ……、もう……だめよぉ、ミカくん……。」
よく分からないが、なぜかダメ出しを喰らってしまった。
「……………………。」
ミカが半目になって思案していると、フィーがふよふよ~……とやってきた。
これは、あれしかないか?
「フィー、済まんが頼む。 やってくれ。」
ミカはそう言うと、思いっきり目を閉じる。
その瞬間、ミカの意を正しく汲んだフィーが、瞼を突き抜けるような強烈な光を目の前で放つ。
「「キャアッ!?」」
「ぐえぇ!?」
突然の強烈な光に、キスティルとネリスフィーネが驚き、力いっぱいにミカにしがみつく。
両側から引っ張られることになり、結果としてミカは搾り上げられた。
「な、何!? どうしたの!?」
「何ですか、この光はっ!?」
「うだりども、あなじで……っ!」
状況を理解できず、しがみついたままの二人に、ミカは何とか声を絞り出す。
フィーは強烈な光を引っ込めると、報酬とばかりにごっそり魔力を持って行った。
まあ、いいけど。
「あっ! ミカくん! ご、ごめんなさい!」
「ミカ様!? す、すみませんでした!」
「うぅ……けほ……!」
キスティルとネリスフィーネから解放され、ミカは深呼吸する。
「ごめんね、二人とも。 そろそろ起きたいんだけど。」
「あ、そうよね。」
「そうですね、そろそろ起きましょう。」
ミカが起きると言うと、二人も起きると言う。
「二人はまだ休んでていいよ?」
「ううん、もう起きようと思ってたところだから。」
「ええ、そうです。」
その割には、二人ともぐっすり寝ていた気もするが……。
てきぱきとベッドメイクをする二人を、ミカはじとっとした目で見る。
(まあ、いっか。)
ミカは若干疲れの残る身体を解しながら、ダイニングに向かった。
「王国軍が勝ったのですか?」
二人が作ってくれた昼食を食べながら、昨日の戦の結果を教えてあげる。
「王国軍が勝ったのは良かったけど、一番はミカくんが無事だったことね。 ご苦労様、ミカくん。 無事で良かったわ。」
「そうですね。 それが何よりです。」
帝国による第二次侵攻はリッシュ村にも当然話が伝わっていた。
二人は、またミカが戦場に出るのではないかと不安を抱いていたそうだ。
「僕も戦場なんか出たくないけど、国王が戦争に関してはアホでさ。 さっさと譲位してくれたら、マシになりそうなんだけど。」
王太子の方が、まだ真剣に戦争のことを考えてるよな。
「…………じょうい?」
「それって……。」
ミカの愚痴に、キスティルとネリスフィーネが顔を見合わせる。
国王の批判は、この国では罪になる。
まあ、即しょっ引かれるような厳格な取り締まりではないが、時と場合によっては怒られるでは済まない。
「まあ、それはいいや。 村長に伝えれば、皆にも伝えてくれるだろうから。 とりあえず今回も帝国軍は食い止めたから、安心してって言っておいて。」
「う、うん。 伝えておくね。」
「シスター・ラディにもお伝えしておきましょう。 とても心配されていましたから。」
そんな話をしながら、三人で昼食を摂る。
たった四カ月前までは当たり前だった、食事の光景。
久しぶりの二人の手料理を食べながら、そのことを少しだけ悲しく感じてしまうミカなのだった。




