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【コミックス第1巻発売中!】 神様なんか信じてないけど、【神の奇跡】はぶん回す ~自分勝手に魔法を増やして、異世界で無双する(予定)~ 【第五回アース・スターノベル大賞入選】  作者: リウト銃士
第5章 魔法学院高等部の”神々の遣わし者”

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第237話 パラレイラの憎悪




 水の2の月、5の週の風の日。午前。

 ミカは昨日に続き、王都内でパラレイラを探していた。

 さすがにノーヒントで探すのは諦め、情報屋ギルドに人を派遣させて尾行してもらった。

 今は東の大通りにいるらしい。


「本当にもう、毎日毎日…………何やってんだ?」


 ぶつくさ言いながら、ミカは東の大通りを小走りで進む。

 すると、情報屋ギルドの構成員らしき人が軽く手を挙げた。


「ご苦労様。 どこ?」

「今は、あの辺りの店を一軒一軒虱潰しにしてますね。」


 男は五十メートルほど先の店を指さした。

 現在、パラレイラの尾行チームは五人体制だ。

 この男はミカとの繋ぎ。

 他に四人ほどがパラレイラを尾行している。


 ミカが指さす先を見ていると、丁度パラレイラが店から出てきた。

 そうして、すぐに隣の店に入っていった。


「ありがとう。 もういいよ。」


 そう言ってミカは男に大金貨を一枚握らせる。

 これはあくまでチップだ。

 情報屋ギルドには別でちゃんと料金を払っているので、尾行チームには一人二十万ラーツが懐に入る。


「これで、皆で美味い物でも食べて。」

「こりゃあ……参ったな。 いいんですか、こんなに。」

「朝早くから世話かけたからね。」

「すみません、では遠慮なく。」


 男は軽く手を挙げて仲間に合図を送ると、ミカに頭を下げて撤収していく。

 ミカはパラレイラが入って行った店に向かった。


 パラレイラの入っていった店の外から、ガラス越しに店内を覗く。

 パラレイラは軽く店内を確認するだけで、外に出てきた。


「ちゃお。」

「……………………。」


 ミカは片手をひらひらさせ、笑顔で挨拶した。

 外で待ち構えていたミカを見て、パラレイラが半目になる。

 が、無視してすぐに隣の店に向かう。


「だと思ったよ! ちょい待ちぃ。」

「ちっ……!」


 ミカが腕を掴むと、パラレイラは露骨に顔をしかめ舌打ちする。

 舌打ちしたいのはこっちじゃ。


「何やってんです? 毎日毎日。 おばちゃんたちが心配してますよ?」

「………………お前には関係ねえ。」


 パラレイラはそっぽを向いたまま、イライラした表情で呟く。


「関係なかぁないでしょう。 研究はどうしたんですか。」


 パラレイラには科学者になって、是非魔力の解明をしてもらわないと。

 つまり、ミカはミカで自分の都合を押し付けているだけである。

 いいんだよ、自覚はあるから。


「んなもんは、後だ……。」


 パラレイラの返答を聞き、ミカはおや?と思う。

 この研究馬鹿が、研究を後回し?


「…………ほんと、何やってんですか? あのパラレイラさんが、研究を『後だ』なんて。」


 ミカの声のトーンが僅かに下がる。

 それに気づいたのか、パラレイラが増々顔をしかめた。


 ミカはやや鋭さを増した目でパラレイラをじっと見上げる。

 だが、パラレイラは横を向いたまま、ミカを見ようとしなかった。


 その時、パラレイラの表情が凍りつく。

 歯を喰いしばり、その目に明らかな憎悪の炎が宿った。


「創造の火種たる火の大神。 その偉大なる眷属神、漲り迸る力の神よ。 ――――。」


 そして、いきなり【身体強化】を発現した。

 パラレイラの身体が強い陽炎に包まれる。


「ちょ!? 何やってんの!?」


 パラレイラの突然の行動に、ミカは目を丸くした。

 ミカは気軽に【身体強化】を発現しているが、そんなのはミカだけだ。

 こんな街中で堂々と発現させるような人は、普通はいない。


 パラレイラはミカの声には答えず、そのまま猛然と走り出した。

 ミカも【身体強化】を五倍にして、パラレイラを追う。

 はい、街中で発現はさせませんが、発現させっぱなしにはしてました。


 パラレイラは、路地から東の大通りに出てきた黒髪の人物を追っているようだ。

 背中の中ほどまでの髪を、首の後ろで束ねた女性?

 いや、後ろ姿からでも、何となく体格が男性のような感じがする。


 パラレイラが凄まじい勢いで黒髪の男に掴みかかろうとするのを、ミカは素早く回り込んで止めた。


「パラレイラさん! それはまずいって!」

「放せっ! このっ!」


 ミカは【身体強化】を更に十倍まで引き上げて、パラレイラを止める。

 さすがにこんな街中で、それも【身体強化】を使って人に危害を加えれば、シャレにならない罰が下される。

 ()るなら、もっと目立たない場所で()らないと。


(そういう問題か? …………そういう問題か、うん。)


 事情は分からんが、パラレイラの様子から相当な恨みが伺える。

 ミカの納得する理由なら、見て見ぬ振りをするのも構わない。

 だが、さすがにここはまずい。

 場合によっては手伝いますし、何なら暗殺者ギルドだって紹介しますから、ここは退いて!

 お願い!


 ミカとパラレイラの騒ぎに気づいたのか、黒髪の男が振り返る。

 そうして、驚いた表情でミカたちを見た。

 えらい病的な顔だ。

 頬はこけ、落ち窪んだ目がぎょろぎょろしていた。


「ヒブジーザッッッ!!!」


 パラレイラは必死にミカを押し退けようとし、声を振り絞り、叫ぶ。

 ヒブジーザと呼ばれた男は、怪訝そうな顔をしてから、どこかに行こうとする。


「待てっ、ヒブジーザ! 殺してやるっ!!!」

「嘘! 嘘です! 冗談ですよ! あは、あはははっ……!」


 ミカを引き剥がし、男を追おうとするパラレイラ。

 騒ぎに周囲からの注目が集まる中、パラレイラを必死に引き留め、「殺す」という不穏なワードを笑って誤魔化すミカ。

 男は我関せずと、さっさとどこかの路地に入って行こうとしていた。


「創造の火種たる火の大神! すべてを包みし――――!」

「なあっ!?」


 パラレイラの早口の詠唱が耳に入り、ミカは青くなる。


(こんな街中で【爆炎】を撃つ奴があるかっっっ!!!)


 見境がないにもほどがある。

 もはや、パラレイラは正気を失っているとしか思えない。


「”突風(ブラスト)”!」


 一瞬だけ、パラレイラの顔面に突風をぶつける。

 身体が仰け反るような勢いの風に、パラレイラの詠唱が中断された。

 男は一度だけ振り返り、奇妙な笑みのような表情を浮かべて、そのまま路地に入って行く。


「こんな所で何やってんですかっ!」


 ミカは声を潜めながら、パラレイラを怒鳴る。

 だが、パラレイラは悔しそうに、男の入っていった路地を睨み続けるのだった。







 2区にあるミカの自宅。

 ミカの自室で、抜け殻のように俯くパラレイラの前に、紅茶を置いた。


 パラレイラが騒ぎを起こした場所は、ミカの家から割と近かった。

 まあ、近いといっても五百メートルくらいは離れていたが。

 少々込み入った話になりそうだったため、自宅まで引っ張って来たのだ。


 ミカがパラレイラを家に連れて行くと、ネリスフィーネが顔を青くして何か言いたそうにしていた。

 ネリスフィーネのことも気になるが、そっちは一旦キスティルに任せることにした。

 とにかく、まずはパラレイラから話を聞き出したい。


「…………説明、してもらえませんか?」


 ミカがそう言っても、パラレイラは俯いたまま。

 その様子に、ミカは溜息をつく。


(ヒブジーザって言ったか?)


 病的な顔色で、随分と不気味な男だった。

 パラレイラとあのヒブジーザという男の間に、何があったのだろうか。


(痴情のもつれなら、俺の出る幕はないんだけど。)


 それでも、さすがにあんな街中での凶行は見過ごせない。

 ()るにしても、もう少し上手く()りましょうよ。


 だが、その時頭の隅に浮かんだことがある。


(…………そう言えば、パラレイラが殺したいほど恨んでいる奴がいたよな?)


 宮廷魔法院の魔法士。

 パラレイラを宮廷魔法院から追い出し、研究を横取りした男。

 モデッセの森にある、先史文明の遺跡へ調査に行き、行方不明となっている。

 他にも、宮廷魔法院の連中には、パラレイラは少なからず思うところがありそうだったが……。


(前に、寮に顔を出した男女は、どういう立場の人なんだ?)


 ミカの予想では、追い出しには上司なんかも関わっていそうだ。

 あの男女は、パラレイラの追い出しに関わっていたのだろうか?


(でも、今日見た男は、寮に来た男とは別人だよな。)


 それでも、パラレイラのあの憎悪は尋常じゃなかった。

 十中八九、宮廷魔法院絡みで間違いないだろう。


(…………悪いことしちゃったかなあ。)


 科学の研究に没頭してくれれば、恨みもそのうち薄まるかと期待していたのだが。

 表面に出て来なかっただけで、相当に憎悪が膨らんでいそうだ。


「……宮廷魔法院のヒブジーザ。」


 ミカがそう呟くと、パラレイラがピクリと揺れた。

 そうして、ゆっくりと俯いていた顔を上げる。

 憎悪の宿った目を、そのままミカに向けた。


 ゾクリ。


 ミカの身体が微かに震える。

 ミカは黙って、その視線を受け止めた。


(…………大したものだな。)


 何と言うべきか。

 これほど()()()()()を初めて見た。

 懸命に理性で押さえつけていないと、身構えたくなる。

 やられる前にやれ、とミカの本能が警鐘をかき鳴らしていた。

 まるで、魔獣たちの剥き出しの食欲を、自分に向けられている時のような気分になってくる。


「知ってたのか……。」


 ミカが努めて自分を抑えていると、パラレイラがぽつりと呟いた。

 ミカは自分の中の緊張を吐き出すように、大きく息を吐く。


「知りませんよ。 でも、やっぱり宮廷魔法院(そっち)絡みでしたか。」


 ミカがそう答えても、パラレイラの視線に一切の揺らぎがない。

 信じてねーな、これは。


()りたきゃ()ればいいじゃないですか。 でも、もう少し考えて()ってください。 あんな街中で、堂々と。 しかも【爆炎】!? 馬鹿じゃないですか?」


 ミカがそう言うと、パラレイラの歯ぎしりが聞こえてきた。

 どんだけ喰いしばってんだよ。

 ミカは呆れたように首を振ると、溜息をつく。

 そうして、降参とばかりに手を挙げる。


「分かった。 分かりました。 協力しますよ。 あの男の(ヤサ)。 情婦(イロ)。 よく行く飲み屋に賭場。 丸裸にしてやりますよ。 何なら身柄(ガラ)押さえましょうか? それとも首だけ持って来させる方がお好み?」


 ミカが一気に捲し立てると、パラレイラの目から憎悪の色が薄まる。

 ようやく、これで少しは話ができるか?


「たく…………、何なんですか、一体。 あの男は。」


 だが、ミカが聞いても、パラレイラはまただんまりに戻るだけ。


「協力するって言ってるんだから、情報共有くらいしてくださいよ。」


 パラレイラはじっとミカを見ていたが、やがて大きく溜息をつく。

 そうして、ようやくぽつりと呟く。


「あいつだ。」

「あいつ……?」


 こいつ?そいつ?どいつ?

 ミカが聞き返すと、パラレイラがガシガシと頭を掻きむしる。

 なんか、ちょっとだけいつものパラレイラらしくなってきた?


「…………私を宮廷魔法院から追い出した奴だ。」

「追い出した奴……。」


 ん?

 それって……?


「三年半くらい前でしたっけ? 行方不明になった、とか。」


 ミカがそう聞くと、パラレイラがこくんと頷いた。

 それってさあ……。


「ええっ!? 本人っ!?」


 ミカは驚き過ぎて、思わず身体を前のめりにして、大声になってしまう。


「嘘でしょ!? だって、もう三ねn――――!」

「この私が見間違える訳ねーだろ! 風貌は確かに変わっちゃいるが、間違いない! 絶対にだっ!」


 パラレイラの目に、再び憎悪が揺らめく。

 ミカはぽかーんとした顔で、目をしばたたかせた。


(えぇー……? そんなことあるぅー?)


 俄かには信じ難い。

 三年半も行方不明だった男が、急に現れたとパラレイラは言う。


 ミカは背もたれに大きく寄りかかり、天井を見上げた。

 そして髪をかき上げ、頭の中で整理する。


(えーと……、どんな話だったっけ?)


 以前、オズエンドルワに教えてもらった話などを改めて思い出す。


 モデッセの森の遺跡に調査に行き、行方が分からなくなった魔法士。

 確か、数名がいなくなったという話だったと思う。

 一切の痕跡がなく、そのため第五騎士団のシェスバーノ隊が捜索に駆り出された。

 その捜索の際、森を封鎖することになり、キスティルが薬草を採りに行けなくなったのだ。


(懐かしいなあ。)


 と、つい思い出に浸ってしまうが、そうじゃない。


(あの遺跡には、合成魔獣(キメラ)がいた……。 いや、()()()()()()()()。)


 ミカが赤茶けた髪の青年を初めて見たのは、あの遺跡だ。

 すでに青年はオズエンドルワに斬られているが、相当に厄介な存在だ。

 そして、アーちゃんとかホーちゃんとか、お仲間を匂わせていた。


(…………行方不明の魔法士が、赤茶けた髪の青年の仲間だった……?)


 その可能性もある。

 だが、手持ちの情報だけでは、どんな仮説を立ててもそれなりにストーリーは作れるし、こじつけられる。


(これは、情報収集が先だな。 オズエンドルワにも伝えておく必要がある。)


 捜索は打ち切られはしたが、担当していたのは第五騎士団だ。


 ミカはとりあえずの方針を決め、パラレイラを見る。


「分かりました。 風貌は僕も憶えていますから、情報屋ギルドを使って情報を集めさせます。 第五騎士団にも話を通したいんですが、いいですか?」

「……騎士団だと?」


 パラレイラが、第五騎士団への情報提供に難色を示す。

 まあ、自分の手で()ることが目的なら、騎士団は邪魔でしかないだろう。

 しかし、ミカとしてはこの情報をオズエンドルワに隠したままにするのは、ちょっと気が引けた。

 だが……。


「分かりました。 騎士団への連絡は一旦保留しておきます。 とにかく、まずは情報を集めましょう。」


 ミカが折れると、パラレイラも素直に頷いた。


「もしかして、パラレイラさんはずっと、あのヒブジーザって男を探していたんですか?」

「ああ……。」


 何でも、ミカと散歩に行った日。

 たまたまヒブジーザを見かけたらしい。

 それまでは、行方不明になってしまったため、憎しみを心の奥底に何とか押し込めていた。

 だが、一度見かけたことで一気に復讐心が膨らんでしまったようだ。


 ここを逃せば、もう二度とチャンスはないかもしれない。


 そうして、憎悪に駆り立てられるように、王都を探し続けていたのだ。

 二カ月半もの間、ずっと。







 ミカは話し合いが終わると、パラレイラを寮に送ることにした。

 無いとは思うが、帰り道にまたヒブジーザを見かけたら、今度こそ街中で【爆炎】を使ってしまうかもしれない。


「ミカ様…………あの。」


 ミカがパラレイラと玄関に向かうと、ネリスフィーネが青い顔をして声をかけてくる。


「ごめん、ネリスフィーネ。 ちょっと送ってくるよ。」

「…………はい……。」

「キスティルも、ごめんね。」


 ミカは視線で、キスティルにネリスフィーネを頼む。

 キスティルは暗い表情で頷いた。

 ミカがパラレイラと話している間、キスティルもネリスフィーネの話を聞いているはずだ。

 何があったのか分からないが、ちょっと今はパラレイラをこのままにする訳にいかない。

 王都で大惨事を引き起こさないためにも。


(ごめん、キスティル。 ネリスフィーネ。)


 ミカは心の中で二人に謝罪しながら、家を出た。







■■■■■■







「あははー。 ちょーラッキーだったねー。」


 なんて運がいいのだろう。

 これは、きっと神様も後押ししてくれてるってことかな?


「ばったりテーちゃんに会えるしー、しかも”(ウォカーブルム)”も使えるなんてー。」


 いろいろ手間が省けちゃった。

 うん、やっぱりツイてる。


 ”(イーグニス)”はテーちゃんが見えなくなるまで見送ると、テーちゃんの家に向かう。

 そこには、前に見た二人の女の子が、”(イーグニス)”と同じようにテーちゃんを見送っていた。

 その姿が見えなくなっても、ずっと。


「健気だねー。 いい子いい子ー。」


 これは、きっと良い餌になるね。

 この二人を確保すれば、テーちゃんは間違いなく乗ってくる。


 ”(イーグニス)”が家の前まで来ると、銀色の髪の女の子が振り返り顔を強張らせる。

 ただでさえ青白かったその顔色が、一瞬で真っ青になった。


「ネリスフィーネ? 大丈夫?」


 銀髪の女の子の様子に気づいた、もう一人の金色の髪の女の子が心配そうに声をかける。

 だが、銀髪の女の子は、その声も聞こえないほどに目を見開き、驚いていた。


「あれー? もしかして、何か見えてるー?」


 ”(イーグニス)”がそう尋ねても、銀髪の女の子は答えない。

 ただ、震える身体で、ゆっくりともう一人の女の子を庇う。


「……キスティル。 逃げて。」


 そう小声で言うのが聞こえた。


「だめだよー。 逃げてもいいけどー、無駄だと思うよー?」


 ”(イーグニス)”の言葉を聞き、銀髪の女の子が絶望したような顔になる。


「…………わ、私だけで許して。 どうか……、この子は。」


 銀髪の女の子は、震える声で懇願した。

 うん、本当にいい子。


 庇われていた金髪の女の子も何かを察したのか、銀髪の女の子を後ろに引っ張る。


「ネリスフィーネ。 お家に入って。」

「だめ、キスティル。 動かないで。」


 二人の女の子は、お互いに庇い合おうとしているようだった。

 だが、銀髪の女の子は状況を理解しているようだが、もう一人の女の子は分かっていないらしい。


「お願いです。 どうか、この子は…………。」

「だめよ! 何言ってるのよ、ネリスフィーネ!」


 中々麗しい庇い合いだけど、ちょっと鬱陶しくなってきたな。

 周囲の鬱陶しい騎士どもは()()()()()()()()()が、こんな所で騒がれるのも困りものだ。

 さっさと用事を片付けよう。


 ”(イーグニス)”は魔法具の袋を手にすると、袋の口を開く。

 そうして、素早く銀髪の女の子の首を後ろから掴むと、そのまま袋に突っ込んだ。

 金髪の女の子が驚き、悲鳴を上げようとするところを、同じように首を掴んで袋に突っ込んだ。


「キッ、キャ――――!」

「一丁あっがりー。」


 今日はツイてるね、うん。

 とってもスムーズに準備が済んだ。


「あ、そうだー。」


 ちゃんと案内状を書いて行かないと。

 ”(イーグニス)”は家に入って行くと、一番手前のドアを開ける。

 どうやら、ダイニングのようだ。


「ここに置いておけばー、テーちゃんも見てくれるよねー?」


 ”(イーグニス)”は他の部屋を回り、紙とインクを持って来る。

 ちゃちゃちゃっと簡単に地図を描くが、ちゃんと伝わるように周辺の領地も分かるように明示する。


「うんー、上手いねー。 これならテーちゃんも迷わないよねー。」


 そして、メッセージも書き加えた。

 紙の上にインク瓶を置き、”(イーグニス)”は上機嫌で家を出る。


「餌、確保ー。 よーし、張り切って行こー!」


 そう明るく言うと、”(イーグニス)”は走り出す。







 家の奥では、ステルスモードのフィーが小さくなって、ただただ震えていた。





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― 新着の感想 ―
[気になる点] パラレイラがいきなりおかしくなってる点とか、 真っ青な顔をした二人を見ても何も聞かないミカとか やっぱり他の人も気になってるようですが、 それに加え、イーグニスがミカを見て何もしゃべら…
[一言] イーグニス、お望みの人物に会えて良かったね。 そして、お別れだ。 そいつは彼の逆鱗ってやつなのさ( ´艸`)
[気になる点] パルスのファルシのルシがパージでコクーンとは、はいつまで続けるのでしょうか? [一言] 物語に深みを与えようと謎用語を使うことはありますが、乱発しそれを続けるのはあまりよい見せ方ではあ…
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