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第176話 閑話 水面下で動く者たち




【ルバルワルス・レーヴタイン視点】


 レーヴタイン侯爵領、領都サーベンジール。レーヴタイン家の屋敷。

 ルバルワルスは執務室のソファに腰かけ、数枚の手紙に目を通す。

 向かいに座った王宮からの使いの者は、ルバルワルスの邪魔をしないよう、黙ってその様子を見つめていた。


 使いの者とは言っても、普通なら使いっ走りをさせられるような立場ではない。

 王宮という()()の、意思を左右できる立場にある男だ。

 なので、手紙を届けることだけが目的で、わざわざやって来た訳ではないだろう。


 届けられた手紙は三通ある。

 二通は軍務卿と外務卿から、それぞれ一通ずつ。

 内容としては手紙というよりは、報告書(レポート)といった方が良いものだ。

 そして、残りの一通は国王陛下から。

 先の二通の情報を前提に、ルバルワルスがどうするべきかの指示が書かれていた。


 手紙を読み終わり、ルバルワルスは大きく息を吐き出す。


「委細承知。 陛下には、そのように。」

「畏まりました。」


 王宮からの使いは、ルバルワルスの返答に恭しく頭を下げる。


「数年前からグローノワの不穏な動きは伝えられていたが、今のところは本格的な動きには至っていない。 それでも小鼠は動く、と。 そう陛下は読んでいるのだな。」


 小鼠とは、グローノワ帝国の現皇帝を揶揄する呼び名だ。

 噂では小柄な男らしいが、気の小さい男ですぐにぷるぷる震えるらしい。

 その姿を鼠になぞらえて付けられたあだ名だという。

 何もエックトレーム王国で、悪意を持ってそう呼んでいる訳ではない。

 グローノワの国内で、国民からもそう呼ばれ蔑まれているらしい。


「現皇帝は戦争を積極的に行おうとはしていません。 周囲が戦争(それ)を望んでいるのです。」

「そのうち、小鼠では抑えきれなくなる、か。」

「陛下はそのようにお考えです。 むしろ、ここまでよく抑え込んでいると、褒めていらっしゃったくらいです。」

「ふっ……、陛下が? 小鼠を? …………その話、他ではしないようにな。」


 いろいろとまずい。

 明確な敵国の皇帝を、国王陛下が褒めたなど、不埒な連中の喜びそうな(ネタ)だ。

 そうでなくても、受け取りようによっては兵たちの士気に関わる。


「現教皇……グローノワの教皇の方ですが、かなりの主戦派のようです。 昨年あたりから、気炎が天にも昇るほどで。 積極的に貴族たちを説得して回っている、と。」

「確か、数年前に教皇位に就いた者だったな。 以前聞いた時は、そこまでではなかったという話だったが。」

「ええ。 ただ、グローノワでは国民のほとんどが戦争に賛成していますから。 基本的に、教皇に選出されるような輩は主戦派で間違いありません。」

「確かにな。」


 ルバルワルスはテーブルに置いたグラスに手を伸ばすと、蒸留酒を一息に呷る。

 はぁーーっと熱い息を吐く。


「何を好き好んで戦争などしたがるのか。」

「閣下、それ以上は……。」


 ルバルワルスの呟きに、使いの者が声をかけて止める。

 エックトレーム王国も、かつて周辺国に戦争を吹っ掛けまくって支配してきたのだ。

 ここ三百年ほどは新たな領土を求めて戦争を行う、といったことをしないでいるが、戦争そのものを否定する言葉は歴代王の否定、批判にも繋がる。


「かつては我が国もやってきたことです。 相手がそれをやったからといって、責めるのは筋が通りません。」

「そうだな。」


 ルバルワルスは手紙を封筒に仕舞いながら、使いの者に声をかける。


「しかし、仮に戦争になって勝利したとして、いるか? 陛下は特に領土的野心はないのだろう?」

「いるか、いらないか、で言えばいりませんね。 我が国は現在、陛下の賢明なる統治によってとても上手く回っています。 勿論、問題がない訳ではありませんが、そちらの対処に注力したいのが本音です。」


 国力、特に経済力でいえば、エックトレーム王国はグローノワよりも高い水準にある。

 景気は緩やかな上昇を続けている。

 今更ダブランドル平原一帯や、その先の領土を獲得したからといって、大きな負担を抱え込むだけである。

 一から発展させ、その恩恵を受けられるようになるまで、果たして何十年かかることか。


 何より、防護壁の向こう側に領土を持つと言うことは、そこを維持するための軍を常駐させる必要がある。

 今でもサーベンジール周辺に王国軍を常駐させているが、新たな領土に軍を置くなら、負担は現在の比ではないだろう。


「攻められれば戦うしかありません。 戦う以上、勝てばそれなりに得る必要がある。 戦費賠償は当然ですが、割譲も当然テーブルに乗せるでしょう。」


 そう話す使いの者に、ルバルワルスが顔をしかめる。


「講和条約締結の時点で、また戦争をすることは分かりきっていた訳だからな。 むしろ五十年以上もよくもったと言うべきか……。」


 祖父と父の作った防護壁がなければ、五十年ももたなかっただろう。

 もっと早くに、この平和は崩されていた。

 王国の安寧は、正にこの二人によってもたらされていると言っても過言ではない。

 それを思うと、自分は何と偉大な人たちの血を引くのかと、ルバルワルスはとても誇り高い気持ちになるのだった。


 祖父と父が五十年も続いた戦争の後、更に十六年もの歳月、血を流し続けたのは今のような事態を予想していたからだ。

 分かっていた。

 再び、グローノワと大量の血を流し、命をすり潰す戦いが来ることを。







 五十年戦争での最後の戦い。

 ダブランドル平原の決戦で、両国は継戦能力を著しく失った。

 休戦協定を結び、その二年後に講和条約を締結するに至ったが、決してスムーズに結ばれた訳ではない。


 その一番の争点が不可侵条約だ。

 講和条約の中に、相互不可侵に関わる条項を入れることについて。

 講和条約の内容を決める際、当初はエックトレーム王国もグローノワも不可侵条項については前向きだった。

 その前提で協議を続けていたが、大筋での合意がなされる直前、グローノワ側が不可侵に関わる条項の削除を言い出した。


 原因は教会だ。

 グローノワの教会が、神託に背く条項の削除を強硬に主張したのだ。


「エックトレームを亡ぼすことこそが神々のご意思! 神々のご意思に背く条約を結ぼうなど、皇帝陛下は神々に背を向けるおつもりか!」


 教会からすれば講和条約などもっての外。

 休戦協定にすら反対していた教会を抑え込み、グローノワの皇帝は戦争の終結を目指していたのだ。

 だが、不可侵条項を入れるならば、皇帝は神々のご意思を蔑ろにする、神託に背く者として破門すると教会が言い出した。


 長く続く戦争に、国民にも厭戦気分が広がってはいた。

 それでも、明確に教会から破門とされれば、その影響は計り知れない。

 その後、皇帝はエックトレーム王国と教会との板挟みの中で、双方と協議を重ねた。


 休戦協定の期限は締結より二年。

 休戦協定の期限切れを目論む教会を何とか抑え込んで、不可侵条項を削除した上でエックトレーム王国と講和条約を締結することとなった。

 エックトレーム王国としても休戦協定の期限切れだけは何としても避けたかった。

 そのため、期限切れぎりぎりまで協議を重ね、不本意ながらも不可侵条項のない状態での講和条約の締結となったのだ。


 講和条約内の不可侵条項はあくまで取っ掛かり。

 その後に本格的な不可侵条約を締結するための足掛かりにするつもりだったが、それが頓挫してしまった。

 数年くらいは一から不可侵条約策定を探る動きがあったが、講和条約締結により教会の抵抗が更に激化してしまうことになる。

 結果、そのまま立ち消えになってしまった。







 ルバルワルスは立ち上がると、手紙を執務机の引き出しに仕舞う。

 そうして再びソファに戻った。

 使いの者は、グラスの蒸留酒をちびりと舐めると、やや渋い顔をする。

 割らずに飲むのは苦手なようだった。


「強硬に不可侵条約に反対していた連中ですからね。 攻めたくってうずうずしているのでしょう。」

「そんなに戦争がしたければ、自分たちだけでやれば良いものを。」


 帝国軍が出てくるから、規模がでかくなる。

 教会騎士団(テンプルナイツ)と癒し手の混成部隊くらい、ルバルワルスの手持ちの軍だけでいくらでも踏み潰してやるものを。


「その教会騎士団(テンプルナイツ)ですが、少々練度が高いようです。」

「ああ、そうみたいだな。 軍務卿からの手紙にも書かれていた。 剣を振り過ぎて、教典が埃を被っている、と。」

「この動きも、おそらくは戦争に備えてのものでしょう。」

「だろうな。」


 ルバルワルスは瓶から指一本分の蒸留酒をグラスに注ぎ、グラスを持つと軽く回して香りを楽しむ。

 豊かな香りが鼻の奥をくすぐった。


「我々としては、来るというなら踏み潰すか跳ね返す。 それだけだ。」

「はい。 王宮(こちら)としても、グローノワの動きが本格化する前に、街道の早馬を拡充する計画を早めることを先日決定しました。 現在、軍務省と調整中です。」

「ようやくか。 財務卿も、さすがに諦めたか。」


 有事に備え、街道に早馬の中継地点を増やし、予備の馬も増やす。

 当然、そこに常駐する騎士や兵士を置き、常駐するための施設も作る必要がある、

 設備投資に加え、設備の維持費が現在の数倍に跳ね上がるため、財務卿がずっと反対をしていた。


「この時の会議は傑作でした。 『金庫を抱えながら、家が崩れ落ちるのを眺めるつもりか。』と陛下がおっしゃられ、財務卿が抵抗するのを諦めたのです。」

「はっはっはっ、それは見たかったな。」


 ルバルワルスは声を上げて笑う。

 陛下も費用がかさむのを嫌い、これまでは必要性を認めながらも、静観していた。

 だが、これ以上は待ってはいられないと判断されたのだろう。


 ルバルワルスは笑いを収めると、グラスに入った蒸留酒を、半分ほど喉に流し込む。

 熱い物が喉を通り、胃に落ちる。


「ふぅ……。 陛下がそう言われるということは、やはり……。」

「はい。 グローノワは来ます。 必ず。」


 その時のために、備える必要がある。

 そう判断されたのだ。

 しかも、今から準備を始めなければならない。

 それくらいには、戦争は近づいている。


「今度、ヘイルホード地方の中継地点などについて、ご相談が行くと思います。」

「分かった。 こちらはすでに検討は済んでいる。 担当の官吏も決まっているので伝えておこう。」

「よろしくお願いします。 特に王都からサーベンジールまでの街道は最重要区間となりますので、かなり事業規模が大きくなりそうです。」


 使いの者の話に、ルバルワルスが少し驚いた顔になり、次いで難しい顔になる。


「陛下は、そこまで力を入れるのか……? やるからには不足がないように、ということなのだろうが……。」


 そうして、グラスに残った蒸留酒を飲み干す。


「思った以上に大掛かりになりそうだな。 できれば、早めにどの程度の規模を考えているのか知らせてもらえば、こちらでも準備を進めておこう。」

「分かりました。 そのように。」


 そうして、使いの者は恭しく頭を下げる。

 その後もいくつかの情報交換を行い、帰って行く。







 執務室に一人残ったルバルワルスは、椅子の背もたれに寄りかかり、考えに耽る。


「…………いよいよか。」


 自分が当主のうちに、来るだろうという予感はあった。

 大した根拠などないが、それでも自分が戦場に立つという確信を持って、これまで努めてきたつもりだ。

 だが…………。


「五十年…………、直接戦場に立ったことのある者など、すでに一人もいない、か。」


 盗賊や山賊を狩りに行くことはある。

 だが、そんなものは戦場に立つことと比べれば、児戯のようなものだろう。


 すでに、市井にも戦争を経験した者などほとんどいない。

 だからこそ、簡単に戦争に賛成するのだろう。

 そして簡単に、迎え撃て、勝て、と。


 両国の国民が、どちらも戦争の悲惨さを忘れている。

 だからこそ、自分の代で「来る」とルバルワルスは思っていた。


「あと、どれだけの時間があるのか。」


 そこまで考えて、思わずルバルワルスは苦笑してしまう。


「なるほど。 確かに褒めたくなるな。」


 ルバルワルスがいつまで平穏でいられるかは、グローノワの小鼠にかかっているのだ。

 頑張って、しっかりと時間を稼いでもらい、その間にこちらは準備を整えさせてもらおう。

 とは言っても、思いつく限りの準備はすでに整っている。


「マグヌスにも、改めて不足がないか確認させるか。」


 ルバルワルスはそう呟き、執務室を出るのだった。







■■■■■■







【アム・タスト通商連合 首都シャクサーラ 郊外】


 すでに夜中といえるような時間。

 寂れた港に一台の馬車が入ってきた。


 首都シャクサーラにはいくつか港があり、ここは昔からあるもっとも古く、小さな港。

 新しくできた大型の船が入れる港に船は集中し、こちらの港を使う船は少ない。

 その古い港の中でも端に位置する倉庫の前で、数人の男たちが慌ただしく出港の準備をしていた。


 馬車が倉庫の近くに来ると、作業をしていた男たちに指示していた、やや線の細い男が馬車の方に歩いて来る。

 馬車は倉庫の傍まで来ると停車し、すぐに扉が開いた。


 馬車から現れた男は水色の髪をしていて、まるで目を瞑っているようだった。

 それでも危なげなく馬車を降りるところを見ると、薄っすらと目は開いているのだろう。


「アークゥ様。」


 馬車の方に歩いてきた男が呼びかけると、アークゥと呼ばれた男が微笑む。


「ご苦労。 荷はいくつだ?」

「二十一になります。」


 男の返答に、アークゥがやや眉を寄せる。


「思ったよりも少ないな。 そこまで値上がりしてたのか?」

「ええ、これ以上はまだ止めた方が良さそうだったので。 まだ、あまり目立つ訳にはいかないのですよね?」


 男の問いかけに、アークゥは頷く。


「少なくとも、あと半年か一年くらいはバレずに行きたいものだな。 まあ、さすがにもう気づいている者もいるだろうが。」


 アークゥがそう言うと、線の細い男が苦笑する、

 男はアークゥを先導するように歩き、小型の商船に乗り込む。

 そうして、積み込んだ荷まで案内した。


 案内された先に、木箱が二十一個積んであった。

 木箱の一つひとつが、大柄の男が余裕で寝転がれるような大きさ。

 木箱には光神教の荷であることを表す封が貼られていた。


 男は構わず封を破り、木箱の蓋を開ける。

 すると、木箱の中には粗鋼がぎっしりと入っていた。

 エックトレーム王国、ラタジース伯爵領産の粗鋼だ。


 アークゥの肩書は、輸送業を営む実業家。

 だが、やっていることは密輸である。


 アム・タスト通商連合と国境を接する、エックトレーム王国のラタジース伯爵領から、粗鋼を密輸している。

 ラタジース伯爵領はいくつかの鉱山を持っており、そこから産出され精錬された粗鋼を、アム・タスト通商連合経由でグローノワ帝国に運ぶ。

 本来、これだけの量の粗鋼の輸出を、エックトレーム王国は認めていない。

 そこで交易路ではなく、ラタジース伯爵領からアム・タスト通商連合に繋がる少々マイナーな街道を使い運び出す。

 荷には光神教の教会の荷であることを示す封がされ、一応行っている国境の検問には、少しばかりの金貨を握らせてやればいとも簡単に運び出すことができた。


 こんなバカでかい物を持ってうろうろするより、魔法具の袋に入れてしまえば簡単に運び出すことができる。

 そんなのは誰でも考えること。

 だから、当然対策が打たれている。

 残念ながら()()()()()()()()()()粗鋼は入れられない。

 魔法具の袋に仕込まれた制限で、ほとんどの粗鋼が入れられないのだ。

 詳しい条件は分からないが、小さい物などが入ることはあるが、それ以外は入れることができなかった。

 なので、面倒だが実物をそのまま運ぶしかない。


 アークゥが密輸をしている目的は、お金ではない。

 そんな物はいくらでも用意できる。

 実際、この粗鋼はグローノワ帝国の教会にただ引き渡すだけだ。

 そして、買い付ける資金は教会から必要なだけ持ってくる。

 損とか得とかは度外視し、ただお金を運び、ただ粗鋼を運ぶ。

 それだけの役目。


 アークゥが中身を確認して頷くと、男は蓋を閉める。

 それから()()()()()()()()()、アークゥに話しかけた。


「ラタジースの奴らは、鉱山の一つがだめになってるのを、そのままにしているらしいです。」

「そのままに? 確か、魔物が溢れて、封鎖したと聞いているが……。 退治してないのか?」

「どうやら、そうらしいです。 なので、採れる鉱石の量も減ったままみたいで。」


 さっさと退治すればいいものを、なぜか退治していないらしい。

 アークゥは肩を竦めた。


「まあ、それならそれで仕方ない。 我々のために頑張って採掘してもらいたいところだが、まさか『やれ』とは言えんからな。」


 アークゥがそう言うと、男が苦笑した。

 が、すぐに真面目な顔になる。


「アークゥ様。 我々のしていることは、本当に()()()()()()()()()()()()()。」


 そう、俯き気味に呟く。

 そんな男に、アークゥが優しく微笑む。


「分からないか? すでにこれが、エックトレームとの戦争の一端なのだと。 剣で斬ったり、【神の奇跡】で吹き飛ばすだけが戦争ではないぞ。」


 そう説明するが、男の表情は晴れない。

 敵の戦略物資を奪い、自分たちが利用する重要性を、ただ教会で育っただけの者に理解するのは難しいのかもしれない。


「それより、何か面白い話は拾えたか?」


 アークゥの問いに、男は首を振る。

 送り込んでいる工作員からも、大した情報はないらしい。


(さすがに、()()以降は引き締めが厳しいか。)


 折角、脱出路を教え、簡単に引き込める内通者まで教えてやったのに、誘拐に失敗するとは。

 その結果、サーベンジールの穴も塞がれてしまった。

 これなら、工作員を大量に送り込んで、サーベンジールを火の海にでもした方がまだ有効だった。


(…………いや、これはこれで面白い結果ではあるか。)


 何でも思い通りになってしまっては面白くない。

 そもそも、()()()()()()()()()()のだから。


 アークゥは出港の準備をしている者たちに声をかけ、馬車に戻った。

 そうして、御者に行き先を告げ、しばし考えに耽る。


(”(イーグニス)”は相変わらず飄々とほっつき歩いている。 ”(ウェントゥス)”と”(フムス)”は七公国連邦に戻ったが、結局は好きに遊んでるだけか……?)


 好き勝手な行動の多すぎる”神の子(フィリウス・デイ)”たちに、少々辟易する。

 だが、それでいい。

 ただ言いなりになるだけの連中を統率しても、面白味がないことは経験済みだ。


 今のところはまだ、”(ウォルンタース)”の集まりにも劇的な変化はない。

 まあ、それも当たり前ではある。

 まだ何も、劇的な変化は起きていないのだから。


(予定を早めるという話だったが、皇帝の重い腰もまだ上がりそうにない。)


 状況が大きく動くとしたら、あの臆病者次第という訳だ。

 そう思うと、笑いが込み上げる。

 アークゥは、くっくっくっ……と喉を鳴らした。


(あんな男が、重要なキーマンになるとは。)


 凡その、今後の展開は読める。

 だが、きっとそれだけでは済まないだろう。

 それでも…………。


(私は、()()()()()()()()()()()()。)


 ”(アクウァ)”は馬車に揺られながら、更に思考を深く深く巡らせるのだった。





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― 新着の感想 ―
[一言] ミカが帝国の上まで飛んでいって、教会をドでかい岩石を何個も降らせて破壊すれば神を騙った天罰とか言って解体させられんかなぁ
[一言] 兵役、帝国と王国、気持ち悪い人格破綻者、そして主人公 地水火風の当て字に意味はあるのか 表と裏、どちらでやり合うかによってミカくんの取れる行動は変わりそうですが、はてさてどうなる事やら
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