第172話 誰もが通る道
風の1の月、1の週の火の日。
暦の上では秋になったが、暑さが和らぐ気配はない。
最近になって、ようやくミカに対する冒険者ギルドの「詫び金」の金額が決まった。
千五百万ラーツ。
この中にはギルドが被害者に支払って方をつけようとした分も、横からぶん捕って加算されている。
情報屋ギルドの担当者が、物凄く頑張ったらしい。
これにより、情報屋ギルドに支払う報酬を抜くと、ミカの手元には千二百万ラーツ。
払った税金の分を引くと、上がりは四百万ラーツ弱だ。
損はしなかったとはいえ、かかった面倒を思えば「こんなもんか」という感想である。
逆に情報屋ギルドは大儲けだ。
ミカから支払われた報酬は、合計で一千万ラーツを超えている。
偽”解呪師”事件に関連して、動員した人数は多いが、期間は短い。
相当に儲かったのではないだろうか。
有名税って高いんだね。
ちょっと気前よくやり過ぎたか。
それと……。
ヨークアデスの死についてだが、特にミカの周辺で動きはなかった。
裏路地でくたばった街のダニのことなど、誰も気にしないのか?
死体を見た誰かが通報したかどうかも分からない。
新聞やテレビで報道されるような世界ではないので、そんな情報が広がるのも限定的だ。
情報屋ギルドや暗殺者ギルドなら、何か勘づいてる者もいるかもしれないが、結局状況証拠でしかない。
検死すらロクにされない上、外傷は皆無。
むしろ、目の前で見ていた者がいたとしても、ミカが背中を向けている時に急に血を吐いて倒れただけなのだ。
これで殺しの疑いで捕まえようというのは、さすがに無理筋だろう。
そうして、諸々が片付き日常を取り戻したミカは、放課後にパラレイラの部屋に来ていた。
渡された資料も読み終わり、現在は魔法具の「回路」の勉強中である。
電子基板のような感じの物で、様々な神々の力を足したり引いたりして、現象を操作する。
まあ、実際は神々など関係なく、火だの水だのという特殊な力を蓄えた物質がこの世界には存在し、その力を動力としている感じだ。
この世界の人からすると、その「特殊な力を蓄える」ということが、神々の力によるものという解釈のようだが。
この回路を作るのに【付与】という、錬金術から派生した技術が必要で、そうしたことも含めて練習中である。
ミカは、今まさに自分の描いた回路の設計図をじっと見る。
いくつもの力の流れを現した線を指でなぞり、呟く。
「先史文明に、回路に、【付与】? 材料は高いし…………錬金術やってる人って、実は馬鹿ばっかりでしょう?」
必要となる専門的な知識が多すぎるし、お金がかかりすぎる。
頭はいいのだろうが、頭の螺子が飛んでるような奴しか手を出さないだろう、こんなの。
「お前もその馬鹿の一人だろう?」
「ええ、そうですよ!? それが何か!?」
ミカは途中まで描いていた回路の設計図をぐしゃぐしゃと丸めると、床に叩きつけ、頭を掻きむしる。
「やってられるかぁぁああああああああああああっ!!!」
「ははははははっ。」
癇癪を起すミカを見て、パラレイラが声を上げて笑う。
「一人前の錬金術の研究者らしくなったじゃないか。」
パラレイラが腕を組み、にやにやしながらミカを見る。
「そこがスタート地点だ。 ようこそ、錬金術の世界へ。」
Hello Worldかよ。
世界一有名なプログラムが頭に浮かんだ。
何でも、錬金術の世界に足を踏み込んだ者は、誰もが必ず、一度は「やってられるかっ!」と叫ぶらしい。
それくらい訳が分からない。
「普通の魔法具は理に適ってるのに、何で錬金術になると途端に破綻するんですか!?」
「そりゃあ、理屈に反することをやってるんだから、理屈が破綻するのは当たり前だろう?」
はい、そうですね。
卑金属を貴金属に変える、錬金。
魔力を含みながら、一切検出できず、吸い出すこともできない、希少金属。
寿命を持つ者に、永遠の命を与える、不老不死。
すべて、理から離れている。
理詰めで考えれば、できなくて当たり前なのだ。
すでにミカは、普通の魔法具の回路を作成することは、ある程度マスターした。
意外ではあったが、現在普及している魔法具の大半は、それほど複雑な物ではない。
学生の頃に、学校の授業でやらされた電子工作キットを作れる程度の経験や知識があれば、それほど苦はない。
乱暴な言い方になるが、電流の流れが、様々な力の流れに置き換わっただけである。
各素材の宿している力の種類、力の組み合わせ方のルールさえ憶えれば、きちんと理解できることをやっていた。
資料を片手に、だけど。
ただ、さすがに学院で使っている”変換光の腕輪”や、魔力操作で使っていた魔法具などはかなり複雑で難解な物らしい。
あれらは機密に関わるらしく、回路の図面は手に入らない。
「むしろ、こんな短期間にそこまで理解している方が驚きだ。 どんな頭してるんだ?」
「どんなと言われても……。」
ミカは頭を掻きむしっていた手を下ろし、はぁー……と息をつく。
パラレイラに貸してもらい、一週間ほど流通している魔法具の回路図が載っている本を眺めた。
そうして大体理解できたところで、試しに自分でも回路図を描いてみた。
ずっと弱ーい冷気が垂れ流される、小さな箱の。
「そんな物、何に使うんだ?」
とパラレイラは不思議そうな顔をしたが、一応は一通り理解したと看做された。
で、試しにやってみろと言われたお題。
『物質に存在する魔力を隠蔽する。』
これは、現在の「希少金属の状態」の解釈を端的に表している。
以前は魔力を一切持たないとも考えられていたが、パラレイラの成分分析機によって、魔力の存在が確認された。
では、なぜこれまで魔力を検出することができなかったのか?
パラレイラはそれを、「何らかの力で隠蔽されている」と考えているようだ。
「そもそもですけど、成分分析機ではどうやって魔力を検出しているんです?」
「あれでやってるのは、魔力を直接検出しているわけじゃない。」
人や物の中にある魔力は、それぞれ固有の波長のようなものを持っている。
これで個人を特定したりできるわけだが、魔力が存在すると、その周囲には僅かな「揺らぎ」みたいなものも現れるらしい。
波長によってその揺らぎも違うらしいのだが、パラレイラはその揺らぎを検出することで「そこに魔力があるね」と間接的に証明したのだという。
「その『揺らぎ』って、何の揺らぎなんですか?」
そう聞いてみたのだが、物凄く嫌そうな顔をされた。
どうやら、まだミカでは理解し難い現象らしい。
質量による、時空の歪みとは違う?
パラレイラは「こほん」と軽く咳払いし、成分分析機の説明を続ける。
「高純度の希少金属と言っても多少は何かが混ざっちまう。 そうした混ざり物の中に含まれる魔力が邪魔して、希少金属そのものの揺らぎは分からなかったんだけどよ。」
成分分析機とは、その揺らぎを検出し、分析する魔法具らしい。
混ざり物の揺らぎの分を取り除いてやれば、最後に残った揺らぎが希少金属そのものが持つ揺らぎ、という訳だ。
揺らぎによって物質は特定されているので、何がどのくらい含まれているか、というのが分かるのだとか。
ちなみに、魔力が存在すると「揺らぐ」という現象を発見したのもパラレイラだという。
そして、これらも面倒なんで報告などは行っておらず、秀才君に横取りされた研究である。
下手すると、宮廷魔法院はパラレイラという天才の存在に気づいていないのではないだろうか。
秀才君に謀られ、これらの功績をすべて奪われてしまったために。
「前に純”金系希少金属”製の防具とかが遺跡で発見されたって言ってましたけど、それで調べれば簡単だったんじゃないですか?」
「それ、どこにあると思ってるんだ?」
ミカの何気ない疑問に、パラレイラが呆れた顔をして問いかける。
どこって……。
「博物館?」
「何だそれは? 王宮の宝物庫に決まってんだろ。」
「実験したいんで、ちょっと貸して、って。」
「…………貸すと思ってんのか?」
ですよねー。
ミカは苦笑した。
発見当時は、凄まじい魔力を含んでいるに違いないと、喜々として調査したらしい。
だが、結果は魔力ゼロ。
他にもいろいろ調べたが、すべて結果は芳しくない。
ただ、いろいろな効果が【付与】されているのは【鑑定】で分かったので、貴重なのは確かだ。
そのため、現在は宝物庫の奥の奥に仕舞われているのだとか。
実際に奥なのかは知らないけど。
「お金にも希少金属が含まれてますよね? 大銅貨とか、大銀貨とか。 銅と”銅系希少金属”を分けられないんですか?」
「銅と混ざっちまうと”銅系希少金属”を分けるのは、今のところはどうにもならないな。 銀と”銀系希少金属”。 金と”金系希少金属”もな。」
ミカの思いつくことくらい、当然他の人も思いついてやっていた。
パラレイラに借りた錬金術の本を読んでいた時、そのことも書かれていてちょっとがっくりきたのだ。
自分で精錬技術を考えるべきなのだが、元々そっちに大した知識がない。
先人と同じ失敗を繰り返すだけになりそうだ。
ミカは新しく紙を机に置き、再び回路を考える。
今考えているのは、特定の場所に置いた銅の中にある魔力を隠す方法。
銅の中に魔力は含まれているが、それを吸い出せなくして、検出もされないようにする。
もしもそれが可能になれば、その状態が、実際の希少金属の状態に近い。…………かもしれない。
(結局、パラレイラの成分分析機で『魔力がありそう』ってことは分かったけど、直接検出できている訳じゃないんだよなあ。)
まあ、科学の発展なんてのは、仮説からの実験や、状況証拠の積み重ねによる推測こそが重要だ。
予想は立ったけど、実証に百年かかったなんてこともある。
爆発的に様々な分野が進歩した、現代ですらそんな状態だったのだ。
この世界での研究が百年二百年停滞、迷走しても不思議はない。
(……でも、実際は科学が発展すれば、錬金は可能なんだよな。)
確か水銀を金に変えることができたはずだ。
水銀の同位体で、金への変成をしやすい物があるとか何とか。
陽子や中性子を足すとか引くとかして、そんなことができるようなことを、何かで見たような気がする。
でも確か、状態が不安定な放射性物質だとかいう話だったか?
安定した金も作れるようになったんだっけ?
コストを度外視すれば、金自体は科学の力でも作れるようになった。
(まあ、俺も金は魔力で直接作れるようになったし。)
ミカの中では、すでに実現している錬金術である。
作って売ればお金になるのは分かっているが、あんまり大量に売れば不審がられるだろう。
隠れてこそこそ売るくらいならば、普通に稼いで堂々と使う方がいい。
そして、錬金に比べて難度が格段に高いのが希少金属だ。
こいつに関しては、ほぼ何も分かっていないようなもの。
(銅の魔力を隠すこと自体は、それほど難しいことじゃない。 なんだけど……。)
闇の神の力を宿すと言われる物質を使えば、それ自体は可能だ。
闇の神に属する物質は、空間に関わるような力がいくつかある。
魔法具の袋の「空間の拡張」というのも、闇の神の力を宿すという物質が使われているらしい。
魔法具の袋も機密なんで、詳しいことは分からないんだけど。
そして、眷属に【偽りの神】がいるように、隠蔽なんかに関わる力も闇の神の守備範囲だ。
この力を使えば、銅の魔力を隠蔽することはできる。
ただし……。
(隠蔽している力自体は、既存の魔法具でも検出が可能、と。)
銅の魔力は隠れているが、何か隠してます、という痕跡はバレるのである。
そもそも、外部から何らかの力が加われば、それを検出することは可能なのだ。
こんなの、どうやったってできる訳がない。
そのできる訳がないことを、他の神の力を宿す物質なども組み合わせて、あの手この手で無理矢理何とかしようとしている。
それが、現在の錬金術だ。
その後三回ほど癇癪を起し、ミカは帰ることにした。
(こんなの、絶対にアプローチの仕方が間違ってるだろっ!?)
自分たちの分かってる理屈で説明しようとするから、無理が生じるのだ。
物理学から量子力学が誕生したように、新たな視点が必要だろう。
「ああ、これ持ってけ。」
ミカが雑嚢を肩にかけると、パラレイラが紙の束を差し出す。
「何ですか、これ?」
「何って、資料だ。」
そう、事も無げに言う。
「前に遺跡の資料を渡そうとした時、見つからなかったやつだ。 こないだ見つけてな。」
そう言ってパラレイラが、部屋の隅の積まれた資料に視線をやる。
そこには大量の本などが積まれているが、一部が崩れていた。
「…………片付けましょうよ。」
「余計なお世話だ。」
パラレイラが、しっしっと手で払うようにする。
ミカも、もう今日は反論する気力もない。
寮を出ると、歩きながら凝り固まった身体を解す。
そうして、家に向かって走り出すのだった。
■■■■■■
【?????????】
グローノワ帝国、皇帝の居城。謁見の間。
玉座にはやや小柄な男が座り、自らの体重の半分はあろうかというほどの装飾品を身につけている。
さすがに半分は言い過ぎだが、「重くないのか?」と聞きたくなるくらいの量ではある。
それら宝飾品の一つひとつが、十人の平民が一生分の稼ぎを費やしても買えないような価値の物ばかり。
その小柄な男は、段の下に立つ司教服を纏った男を煩わしそうにちらりと見ると、傍らに控える初老の男に小声で囁く。
初老の男は小柄な男の囁きに耳を傾けると、一つ頷く。
そうして、姿勢を真っ直ぐに正すと、深みのある声で段の下に立つ男に伝えた。
「陛下が、ご神託を尊重する立場であることに変わりはない。 ただ、そのためには準備が必要だ。 時が来れば陛下より、教会に出兵を命じるでしょう。 それまで、しばし待たれよ、と仰せです。」
その言葉を聞き、段の下に立っていた男は失望したように軽く首を振る。
「宰相、その言葉はすでに何度も聞いている。 いつになったら、その時が来るのですかな? すでに教会は準備ができております。 いつ陛下がお命じになるか、一日千秋の思いでいるのです。」
まさか反論が来るとは思わなかったのか、宰相は驚いた顔になる。
いつもなら、ここで大人しく引き下がるのだ。
だが、宰相はすぐに厳しい表情になった。
「いくら教皇聖下でも、その物言いは些か無礼ではないですかな。」
そう宰相に言われても、教皇は真っ直ぐに皇帝を見据え、不動のまま立つ。
そんな教皇を宰相は睨むが、肝心の皇帝は教皇の迫力に押され、やや顔を引き攣らせた。
いくら教皇と云えど、皇帝に対して相当に無礼な態度だろう。
だが、皇帝は教皇を罰せられない。
そんなことをすれば帝国の民たちが黙っていないからだ。
無論、明らかな侮辱をしてくれば、帝国全土が荒れようが教皇を罰さねばならない。
そんなことを許していては、帝国そのものが崩れてしまうからだ。
しかし、今は少々分が悪い。
教皇が迫っているのは、エックトレーム王国への侵攻はまだか、ということだからだ。
何を好き好んで戦争などしたがるのかと思うが、皇帝のこの考えはグローノワ帝国では少数派だった。
国民の三割以上は積極的にエックトレーム王国への侵攻を支持し、五割近くが消極的ながらも戦争に賛成している。
実に八割もの国民が戦争に賛成なのだ。
理由は、勿論ご神託。
百年以上も前の、何とも馬鹿馬鹿しい神託とやらのために、なぜ皇帝である自分が思い煩わせられないといけないのか。
皇帝は宰相に小声で話しかける。
宰相はその言葉に耳を傾け、また頷く。
「陛下が、ご神託を尊重する立場であることに変わりはない。 時が来れば陛下より、教会に出兵を命じるでしょう。 それまで、しばし待たれよ、と仰せです。」
ほぼ、先程と同じ内容の言葉を宰相は口にする。
その言葉を聞き、教皇は目を瞑り、しばし立ち尽くす。
やがて、恭しく礼をして謁見の間を後にした。
「教皇聖下。」
教皇が騎士の案内で城の中を歩いていると、向かいから一人の騎士がやって来た。
明らかに高位にある者が身につける鎧とマント。
帝国軍で騎士団長を務めるショルストフだった。
「ショルストフ殿。 今日は城に居られたのですか?」
「ええ、会議がありまして。 教皇聖下は、……またですか?」
ショルストフの尋ねられた教皇は、苦笑いする。
「そのご様子では、あまり芳しい結果ではなかったようですな。」
ショルストフは案内についていた騎士に、行っても良いと手で合図を送る。
本来、皇帝の居城の警備は近衛の管轄だ。
いくら騎士団長でも、勝手に指示を出して良いものではない。
だが、教皇が皇帝に陳情に来るのは、これが初めてではない。
神託のために、熱心にエックトレーム王国への侵攻を説いているが、覇気のない皇帝にいつものらりくらりとされてしまう。
一言で言えば、みんな教皇に同情的。
なぜこんなにも陛下は覇気がないんだ?と思っているくらいだった。
そして、そんな教皇にもっとも同情的なのがショルストフだ。
熱心な光神教徒で、忙しい合間を縫って聖地ウープ・サクトゥに、月に一度は通うほど。
帝都から聖地まで、百キロメートルは離れているというのに。
毎回、かなりの強行軍で礼拝に行っている。
教皇とショルストフは親しくなり、大聖堂でも城でも、こうして顔を合わせるとよく談笑するようになった。
近衛の騎士たちもさすがに帰りはしないが、距離を空け、離れた所から確認するに留めた。
「私では、中々政治的なことは直接陛下に申し上げられないのです。 心苦しいばかりですが。」
「良いのですよ。 ショルストフ殿。 貴方のその気持ちだけで、また来ようという気持ちが湧きました。」
「ははは、さすがは教皇聖下です。 私も来週、聖地に礼拝に行きますので。」
ショルストフの言葉に、教皇はにっこりと頷く。
二人は、並んで歩き出した。
「お見えになりましたら、是非お声がけください。 良い赤酒を用意して待っておりますよ。」
「有難いですな。 直接聖下から教えを説明していただけるなんて。」
そう言ってから、ショルストフはやや表情を引き締める。
「微力ながら、私も友人たちに働きかけています。 立場上、我々はあまり大きな声では言えませんが、内心は多くの者がご神託を支持しています。 聖下は正しいことをされていると、皆思っております。」
その言葉に、教皇はしっかりと頷く。
「何とも心強い限りです。 私一人では、この偉大なる戦いを…………ご神託を成すことはできません。 多くの方々の力が必要なのです。」
ショルストフが頷く。
それからしばらくは、他愛のない話をしながら並んで歩く。
「それでは、ここで。 この後は聖地にお戻りに?」
城の入り口に着くと、ショルストフが尋ねた。
「いえ、数日滞在し、何人かの公爵や侯爵に面会する予定です。」
「そうですか。」
ショルストフが軽く頭を下げると、教皇が祈りの仕草をする。
「それでは、ショルストフ殿。 また聖地でお会いしましょう。」
「ええ、教皇聖下。 また聖地で。」
教皇は入り口で待っていた教会騎士と合流し、馬車に乗り込むと、そのまま城を後にした。




