第137話 お休みしまーす
ミカはギルドで「聖女の救出」の依頼を受けてから、学院に向かった。
件の採掘場の場所など、様々な情報の詳細を確認していたらすっかり遅くなってしまった。
すでに日は落ちかけ、少し暗くなってきた。
場所がラタジース伯爵領とやらのルーンサームということで、少々離れている。
一日二日で方がつけばいいが、さすがに楽観はできない。
なので、少し長めに学院を休ませてもらわなければならない。
(担任や体育会系じゃだめだろうな。 もっと上と話をつけた方がいいか。)
学院に向かいながら、話を通すべき相手を考える。
とはいえ、そんな上の方の立場の人に知り合いはいない。
(……一人を除いては。)
ミカは学院長室の前に着き、ゆっくりと息を整えた。
「認める訳なかろう。 馬鹿者が。」
ですよねー。
ミカは学院長室に行くと、まずノックで学院長のモーリスがいるかを確認した。
すでに帰ってしまっていてもおかしくない時間だ。
だが、中から返事があった。
ミカは入室して、真っ直ぐに学院長のいる机の前まで進むと、一方的にびしっと要求だけを突きつける。
「明日から二週間ほど学院を休みます。」
その返答が、先程の不許可だ。
「いきなり入って来て何かと思えば、ふざけたことを……。 病気や怪我など、やむを得ない事情があれば別じゃが、ピンピンしとるな。」
モーリスは相変わらず眠っているような顔をしながら、片眉だけを上げる。
「やむを得ない事情ならありますよ。」
「ならば、それをまずは話せ。」
「あー…………。」
だが、ミカはそこで返答に詰まってしまう。
(依頼内容を漏らすことは、あんまりいいことじゃないんだっけ。)
絶対ではない。
例えば、新人冒険者がベテランに相談したりする。
そういう時に、なるべく依頼者個人を特定できる内容などは、ぼかすようにと言われている。
依頼内容の詳細もだ。
今回の依頼の場合、依頼者は特定できないだろうが、依頼内容が特殊過ぎる。
また、ミカの解呪についても、学院に知られることになる。
おそらく、ミカが”解呪師”と呼ばれる冒険者であることは、まだ学院にバレてはいないと思うのだがどうだろう?
「言えません。」
ミカがそう言うと、モーリスが力なく首を振る。
「話にならんな。 学院としては認めん。 それだけだ。」
「認めてもらう必要はありません。」
「…………何だと?」
モーリスの片目が僅かに開く。
「無断で休むのもご心配をおかけするかと思い報告に来ました。 許可をもらいに来た訳でも、認めてもらうためでもありません。」
「…………小僧。」
モーリスが剣呑な空気を纏い始める。
だが、ミカは何でもないことのように、その場を動かずにいた。
このまま物別れに終わっても構わないといえば構わないが、あまり学院に睨まれては今後がやりづらいか?
そう考えて、少しだけ話し合うことにする。
「学院から見ればサボっているようにしか見えないでしょうけど、別に遊ぶために休む訳ではありません。」
「……ならば、理由を説明できるだろう?」
「言えません。」
「なぜだ?」
モーリスが僅かに開いていた目を閉じる。
そうすると、本当に眠っているようにしか見えなかった。
そんな、どうでもいいことを思いつつミカは話を続ける。
「学院長だって、学院に関わることのすべてを誰にでも話せる訳ではないでしょう?」
「当たり前だ。 負っている責任が違う。」
「違いませんね。」
モーリスの片眉が、ぴくりと動く。
「普通なら、子供はそんな大きな責任は負わないでしょう。 ですが、魔法学院の学院生は違いますよね。 年齢に不釣り合いな、非常に大きな責任を負わされている。 違いますか?」
ミカがそう聞くと、モーリスがやや考えるような顔になる。
「……確かに。 学院生の負う責任は重い。 それは認めよう。」
情報を漏らせば「一生収容所だ」と脅され、「これを覚えろ」とひたすら【神の奇跡】の発現を目指し、小剣などの訓練をして、と日夜努力している。
どれほどの重圧かは、モーリスも理解しているだろう。
「どちらが上か下かは人により判断が分かれるでしょうけど、魔法士の負う責任と同等の責任を果たすために、しばらく王都を離れる必要があります。」
ミカは冒険者としての活動に、それだけの覚悟で挑んでいるつもりだ。
まあ、時折お遊びが大きくなってしまうこともあるが。
ミカの説明を聞き、モーリスから剣呑な空気が少し薄れた。
「魔法士の負う責任は重い。 それと、同等だとぬかすか。」
「それくらいはあると、僕は思っているということです。」
「ふむ……。」
モーリスが少し考え込む。
ミカは大人しく、モーリスの考えがまとまるのを待った。
「……確か、お主はすでに、二年での【神の奇跡】はすべて習得が済んでいるのだったな。」
「え? はい、習得しました。」
言われた通りにね。
指示という名の、実質的な命令にもきちんと応えてますよ。
優等生でしょ?
「ふーむ……。 それほどまでに、一体何をしたいというのだ? こうして儂に直接話をしに来るくらいだ。 お主が相当に覚悟を決めてきたのは分かった。 だが、それほどのことなのか?」
どうやら学院は、まだミカの冒険者活動についてはあまり情報を掴んでいないようだ。
ちょっと一安心。
だが、そこでモーリスがぽつりと呟く。
「…………第五騎士団。」
「へ?」
少しだけドキッとした。
なぜ第五騎士団の名前がここで出てくるんだ?
「今年の始め頃、宮廷魔法院から学院生についての問い合わせがあってな。 何やら第五騎士団が学院生について嗅ぎ回っているという。」
モーリスは顎髭を撫でながら、ミカに話す。
「高等部に『こんな特徴の学院生はいるか?』という話だったが、該当する者はいなかった。 …………高等部には、な。」
じっとりと、冷や汗が出るのを感じる。
オズエンドルワは第五騎士団から魔法学院に問い合わせができなかったようなことを言っていたが、宮廷魔法院の方に問い合わせ自体は行っていたようだ。
「その時の学院生の特徴と、お主は一致しておるように見えるな。」
「そそそ、それとこれとは関係ありません!」
モーリスが薄っすらと片目を開け、じっとミカを見る。
「つまり、第五騎士団の問い合わせとの関係は否定せんのだな?」
「うっ……。」
語るに落ちた。
頭を抱えたいのを必死になって堪える。
ふぅ、とモーリスが息を吐く。
「一体、お主は何をしておるのだ? すでに習得が済んでいるとはいえ、訓練は大事なんだぞ? 外で遊ぶなとは言わんが……。」
「別に遊んでいる訳では……。」
まあ、時々お遊びが過ぎますが。
「遊びではない……? ならば、何をしておるか言えるだろう?」
「僕だけのことなら言えるかもしれませんが、誰かにとっての大事なことをぺらぺら話せませんよ。」
このまま問い詰められると、うっかりと余計なことを話してしまいそうなので、予防線を張る。
役に立つかはミカ次第ではあるが。
「誰かにとって? 今回の休みは、自分の都合ではなく、誰かのためだと?」
「………………。」
やばい。
これ以上は本当に余計なことを口走りそうだ。
ミカは口を結んで、じっとモーリスを見る。
そんなミカの様子に、モーリスは「やれやれ……」と肩を竦め、溜息をつく。
「……今回限りだ。 一週間だけ認めてやる。」
「いいんですか!」
「いいも何も、だめでも行くのだろう? まったく……、堂々と学院をサボると儂に直談判してきた学院生など初めてだ。」
「あ、あははは……。 すいません。」
一週間では、形としては相当な強行軍ということにはなるが、何とか学院の許可は取りつけた。
まあ、手間取って一週間以上かかる可能性もあるし、後は実際にやってみてどうするかを考えよう。
「よっ!」
「ミカッ!?」
突然、窓から姿を現したミカに、メサーライトが仰天する。
夏場なので、すべての部屋で窓が全開になっている。
あまり大声を出しては周りから見られかねない。
「しぃーーーー……。」
ミカは口に人差し指をあて、声を出さないようにゼスチャーする。
「よっ、と。」
ミカは軽い掛け声とともに、窓枠に腰掛ける。
ここは男子寮の三階。
メサーライトの居室だ。
どうやらルームメイトはどこかに行っているらしい。
ラッキー。
「明日から一週間くらい学院休むからさ。 悪いけど、皆に言っておいて。」
「はあああ!? 一週間!?」
何も言わず、いきなり一週間も休んでは皆が心配するだろうと、簡単にメサーライトに伝えておく。
「そんなの、学院が許さないんじゃ――――。」
「学院の許可はもう取ったから。」
「取った!? 誰から!?」
「学院長。」
ミカの言葉に、メサーライトがいよいよ目を丸くし、口をぱくぱくする。
そうして、額に手をあて「はぁー……」と溜息をつく。
「相変わらず、無茶苦茶だ……。」
「何が無茶苦茶なのさ。」
筋を通しただけだろうが。
「まあいいや。 てことで、皆に言っておいてね。」
とりゃ、という掛け声とともに、ミカが窓枠から外に飛び下りる。
慌ててメサーライトが窓枠に飛びつき、下を確認すると、すでにミカは走り出していた。
「…………やっぱり、無茶苦茶じゃないか。」
メサーライトは、ぽつりと呟くのだった。
■■■■■■
火の3の月、3の週の風の日。
朝早くに家を出たミカは、昼過ぎにルーンサームの上空に着いた。
依頼のあった採掘場はルーンサームの街の南東、ブライコスロア子爵領との境にある山らしい。
ミカはルーンサームには寄らず、直接採掘場を目指した。
昨夜は学院からの帰りにヤロイバロフの宿に寄って、忙しいヤロイバロフをひっ捕まえて簡単に事情を説明。
一日一回、キスティルの様子を見に行ってほしいとお願いしてきた。
本当はもう少し時間を置いて、様子を見ながらキスティルとヤロイバロフの関係修復をしたかったが、事情が変わってしまった。
何日くらいで帰れるかも分からないので、ヤロイバロフに頼るしかなかったのだ。
キスティルはヤロイバロフの宿屋を突然辞めてしまったことを、本当に申し訳ないと思っているようだった。
そんなヤロイバロフと、顔を合わせることを怖がっている感じがあった。
まあ、実際に怖い顔だし。
ただ、ずっとキスティルを一人きりにするのは少々不安があったので、ヤロイバロフに「様子を見に来てほしい」とお願いしてきたことをキスティルにも伝えた。
ミカの話を聞き、少し苦しそうな表情をするキスティルに心が痛むが、だからといって放っておく訳にもいかない。
ミカが「ごめん。」と頭を下げると、キスティルも何とか了承してくれた。
採掘場の入り口は山の中腹辺りにあった。
そこだけ木がまったくないので、遠目にもすぐに分かった。
だが、採掘場の周辺は人が巡回しているようだ。
入口に常駐している訳ではないようだが、これでは着陸を見られてしまうかもしれない。
飛んでいるところを見られたくないので、一旦少し離れた森に下りることにする。
高い木の枝に下り、そこから地面に飛び降りた。
「誰だっ!」
ちょ!?
いきなり見つかってしまった。
俺、もしかして潜入下手ですか?
「何だ? 子供……?」
ミカは恐るおそる、声のした方に振り向く。
そこにいたのは、四十代後半くらいの鎧を着た騎士っぽいおっさん。
ただ、街で見かける騎士とは鎧の感じが違う。
何より、胸の真ん中に大きく”六つ輪”が描かれている。
(……もしかして、教会騎士団か? 鎧ださっ!)
ミカの中で、教会騎士団の評価が大きく下がった。
剣に手をかけていた騎士が、ミカが子供だと分かると警戒を解き、歩いて近くに来た。
「女の子か? 子供がこんな所で何をしている? 危ないぞ。」
「えーと……。」
さて、どうしよう。
できれば余計なことはしゃべりたくない。
だけど、教会騎士団が何をしているのかは知りたい。
そんな、都合のいいことを考えていた。
「おじさんは教会の人?」
ミカはにっこりと、無邪気な子供の振りをした。
「ああ、そうだよ。 お嬢さんは近くの村の子かい?」
「おじさんはこんな所で何してるの?」
可愛らしく、首を傾げてみる。
ミカは騎士の質問には答えず、適当に質問をぶつけていく。
「おじさんたちは、危ない所に誰も近づかないように見張りをしているんだ。 お嬢さんは――――。」
「危ない所って、採掘場のこと?」
「あ、ああ。 よく知っているね。」
どうやら教会騎士団は、採掘場に人が近づかないように見張っているようだ。
「採掘場って、聖女様がいる所でしょ?」
ミカが明るい声で聞くと、騎士が一瞬ハッとした顔になる。
だが、すぐに横を向き、悔しそうな表情になった。
そうして、しばらく何かを堪える様に目を瞑り、それからミカにぎこちない笑顔を向ける。
「そうだね。 今も聖女様は神々にお祈りをしてくださっているんだよ。」
「聖女様に会いたいな。」
「それはできないんだよ。 ごめんな。」
その騎士の顔は何とか笑顔を保とうとするが、微かに唇が震え、必死に何かを堪えているようだった。
(この人も、聖女を悼んでいる人の一人か。)
まあ、教会関係者なら当然だろう。
その時、がさがさがさ……と大きな音を立てて、別の騎士がやって来た。
三十歳前後だろうか。
同じ教会騎士団の鎧を身につけているが、こちらは背中の中ほどまでの短いマントのような物を着けていた。
「おい! 何やってんだ!」
「あ、いえ、すいません……。」
若い騎士がおっさん騎士を怒鳴ると、おっさん騎士が謝る。
どうやら、階級は若い騎士の方が上のようだ。
「ん? 何だ、そのガキは?」
「あ、その……、どうやら迷子のようで……。」
「迷子だあ? そんなもんほっとけ!」
「しかし、そういう訳には……。」
「けっ。」
随分、態度の悪い騎士だな。
シェスバーノでも、もう少しマシだぞ。
…………いや、似たようなもんか?
しかし、これで教会の人間とは中々驚きだ。
どこにでも腐った奴っているんだね。
「おい、ガキ!」
若い騎士が、ミカの方を見て怒鳴る。
「お前らが嘆願なんて余計なことをするから聖女が死んだんだ! 分かってんのか!? 分かったらさっさとどっか行け!」
「そ、それはいくら何でも言い過ぎです!」
「本当のことだろうが! おかげで俺たちまでこんな所に派遣されてよぉ! いつまでこんな所にいなきゃなんねえんだ!?」
若い騎士は足元の石をミカの方に蹴っ飛ばす。
が、石はあらぬ方向に飛んでいった。
「けっ。 さっさと戻って来いよ! お前が戻らねえと、交代にならねえんだからよ!」
そう言って、若い騎士は来た方向とは別の方向に去っていった。
おっさん騎士を見ると、まるで憎悪が籠ったような目で、若い騎士の後ろ姿を睨んでいた。
「聖女を見捨てた逆徒がっ……!」
そう、吐き捨てるように呟く。
(これは……。)
何やら気になるワードも出てきた。
これは、是非とも突っ込んだ話を聞きたい。
「あの人は聖女様を見捨てたの?」
ミカが首を傾げて聞くと、おっさん騎士がハッとした顔になった。
「あ、いや、それは、言葉の綾というか……!」
おっさん騎士が慌てだす。
「いえいえ、ここは一つ本音で話をしましょうか。」
ミカが不敵な笑みを浮かべてそう言うと、おっさん騎士が一瞬で警戒した表情になり、ミカから距離を取る。
「き、君は……、何者だっ!?」
「申し遅れました。 僕はこういう者です。」
そう言ってミカはギルドカードを見せる。
おっさん騎士は怪訝そうな顔でミカのカードを見るが、その表情が驚愕に染まる。
「っ!? ”解呪師”!? こんな子供が!」
「しぃーーーーーーーっ!」
ミカは人差し指を口にあて、大声を出さないように示す。
おっさん騎士は驚きの表情のまま、それでも声は出さないように口元を手で押さえた。
「街の人が『”解呪師”に聖女様の救出を依頼する』と話しているのは耳にしていたが……。 まさか、本当に来てくれるとは。」
そう、小声で言う。
ミカは真剣な顔でおっさん騎士を見上げる。
「依頼遂行のために、いくつか確認したいことがあるんです。 協力してもらえませんか?」
ミカがそう言うと、おっさん騎士は逡巡するが、真剣な顔で頷いてくれた。
「さっき言ってた、『聖女を見捨てた』というのは? どういう意味ですか?」
「どういう意味も何も、そのままの意味さ。」
おっさん騎士が、苦々し気に吐き捨てる。
どうやら、さっきの若い騎士は聖女に同行した教会騎士団の一人らしい。
聖女に庇われ、聖女を置いて逃げて来たあの騎士を、おっさん騎士は心底軽蔑し憎悪しているようだ。
(……確かに、その話を聞いた時はちょっと違和感あったよな。)
聖女を守るべく同行した騎士が、あっさり聖女を置いて帰るか?
まあ、実際はそんな単純な話ではないのかもしれないが、チレンスタの説明を聞いた時はちょっと引っかかったのだ。
(すぐに、この話が三カ月も前だって聞いて、ついそっちに意識が行っちゃったけど。)
考えてみれば、少しおかしい感じを受ける。
「『嘆願なんかしなければ』ってさっきの騎士が言ってましたけど、誰かが何かを嘆願したんですか?」
「何かというか、街の人に採掘場の浄化を聖女様が頼まれて、それで行くことになったんだ。 自ら教会騎士団を率いてね。」
あれ?
そんな話だったか?
(チレンスタから説明された時は『聖女が自ら鉱山の浄化を申し出た』、『司教が教会騎士団をつけた』って言ってたよな。 教会騎士団は護衛であって、自ら率いるとかそんな話じゃなかったはずだ。)
採掘場に向かったのが聖女と教会騎士団であることは変わらないが、その経緯については随分違う話になっている。
(情報操作……? 噂で話がねじ曲がっただけとも考えられるけど。)
何だか、少しきな臭さがしてきた。
ミカはスンと鼻をこする。
「採掘場を見張っているのはなぜですか? やっぱり、危ないから?」
「そうだな。 採掘場内は”不浄なる者”で溢れているらしい。 だから俺たちは、誰も近づかないように見張っているんだ。」
なるほど。
確かにそれなら、見張っていてもおかしくはない。
おかしくはないが……。
(まあ、行ってみれば分かることか。)
ミカはにっこりと微笑み、おっさん騎士にお礼を伝える。
「ありがとうございました。 聖女に関しては、できる限りのことをしたいと思います。 絶対、と断言できないのが心苦しいのですが。」
「いや、いいんだ。 街の人が”解呪師”に頼むと聞いても、俺は『どうせ受けない』『できやしない』って思っていたんだ。 ……君には悪いけど。」
そう言って、おっさん騎士はちょっとバツの悪そうな顔になった。
だが、すぐに真剣な表情になって、祈りの仕草をする。
「できるだけでいい。 力を尽くしてくれ。 頼む。」
そうして、深々と頭を下げるのだった。




