第9話 初めての魔法
よく晴れた青空の下、俺は家の横の草叢に座り込み、魔法を放出する練習をしていた。
初めて魔力の放出に成功した日から、今日で10日目。
俺の中の魔力量はソフトボール20個分を超えていた。
「とりあえずは、こんなもんでいいか。」
朝から始めて、すでに両手に10個ずつ。
20個分の魔力の放出を行っている。
魔力を集める練習をしていた時、手応えが変化して扱いやすくなったが、魔力の放出はその比ではなかった。
それまでは身体中から魔力を集めてくるイメージだったが、今は手に集めようとするだけで簡単に集まってくる。
魔力を放出するのも、意識を集中する必要がほとんどない。
ブラインドタッチでキーボードを叩くように、自在に扱えるようになってきたのだ。
魔力量も日に日に増えていく。
魔力の放出に初めて成功した日、ぶっ倒れた後はさすがに魔力の放出は控えた。
翌日に慎重に試したが、ソフトボール2個分の魔力球を作っても倒れることはなかった。
3個目を作ろうとして魔力の集まりが悪くなってきたのでそこでやめたが、その翌日には5個作っても少し気分が悪くなっただけだった。
魔力球を作った分の魔力量がそのまま増えるのか?と思ったが、さすがにそこまでではなさそうだ。
増え方が日によってまちまちで、いまいち規則性が分からない。
だが、なかなかのペースで増えているのではないか、と自分でも感心している。
(あとは、合格ラインが分かればいいんだけどな。)
日々、魔力の扱いに習熟していき、魔力量も増えている。
だが、それで合格ラインに達するのかどうかが分からなかった。
(こんな魔力球じゃ1万個作っても合格ラインに達しません、なんてレベルだったら泣くぞ、まじで。)
魔力の成長を感じられるようになってモチベーションは高いが、それもいつまでもつか。
(まあ、まだしばらくはこの練習でいい。 1つ1つの魔力球のサイズを大きくするとか改良はしていくとしても、方向性はこのままで問題ない。 今はまだ……。)
魔力の放出で魔力量が増えていくことが分かったので、これは今後も継続していくべきだ。
しかし、これだけでいいのか?という思いも少しずつ湧き上がっていた。
ごろんと草叢に寝転がり、青空をぼー……と見上げる。
ラディに話を聞きに行こうか、と考えるがすぐにやめる。
今聞いたら魔力の練習について強く止められそうな気がする。
”笑う聖母”とはいえ、本気でミカのことを心配してのことだ。
そんなラディに本気で止められたら、それを無下にはできない。
少しの休憩後、再び魔力球を作る。
寝転んだまま、今度は1つずつ慎重に作っていく。
魔力の放出が容易になったことに気づいた時、調子に乗って魔力球をポンポン作っていたらいきなり吐き気がして吐いた。
作るペースが早すぎて、気分が悪くなったことに気づく前に更に魔力球を作ってしまったらしい。
最初の時の教訓から、いつ吐きそうになってもいいように外で練習していたので室内を汚すことはなかったが、それからはある程度の数をこなしたらペースを落とすようにしている。
両手で交互に魔力球を作っていき、10個作ったところで一旦休む。
まだ気分が悪くなったりはしていなかった。
たった10日で俺の魔力量は、魔力球2個から30個以上にまで成長したようだ。
(……魔法……魔法……魔法。 あー……早く使ってみたい。)
ゲームならレベルアップで勝手に覚えていったりするが、この世界では神に祈りが届かないとだめらしい。
(詠唱して、魔力を消費して魔法発動、でいいじゃないか。)
何で”祈る”とか、面倒な手順をいれるのか。
はぁー……、と思わず大きな溜息が漏れる。
目を閉じ、気持ちを落ち着かせる。
草の匂いとそよ風に、波立っていた心が少しだけ落ち着きを取り戻す。
(ない物ねだりをしてもしょうがない。 今やれることをやってくしかないだろ。)
大きく息を吸い、大きく吐き出す。
心に溜まった鬱屈を吐き出すように。
両手を空に伸ばす。
脳裏に浮かぶのは水の塊。
子供の頃に見た映画の1シーン。
あれは魔法ではなく、異星人の超能力か科学の力で作られた水の球だった気がする。
その水の塊は空中に浮いていて、人が何十人も入れるくらいに巨大だった。
もう何十年も前の映画だ。
今見ればチープなCG映像だろう。
だが、当時まだ子供だった俺はその映像の綺麗さに見惚れてしまった。
今でもその映像はありありと思い出せる。
むしろ、実際の映像よりも今の進化したCGに見慣れている分、想像の方が綺麗かもしれない。
思い出は美化される、というやつだ。
魔法が使えるようになれば、あんなファンタジックな物を映像としてではなく、本物で作れるようになるかもしれない。
(それも夢があっていいな。)
懐かしい映画のことを思い出し、すっかり気持ちを落ち着かせることができた。
その時、不意に身体の中の魔力が動きだす。
驚いて目を開けると、両手の向こうから水の塊が降って来た。
「は?」
その大玉スイカよりも更に大きい水の塊は、そのまま俺の顔面に落ちる。
ばしゃっ。
「うぶっ!?」
そして半開きになっていた口から、大量の水が入り込んできた。
「ぅぐっ!? ……げほっ! ごほっ!」
気管に入り込んだ水に、盛大にむせてしまう。
「……なんっ…………これっ!? げほっ!」
一頻りむせてから起き上がる。
まだ呼吸に違和感がある。
「なんだ、これ? なんで!?」
全身がびしょ濡れになってしまい、少し気持ち悪い。
濡れて気持ち悪いだけでなく、本当に気分が悪くなってきた。
いつもの魔力放出し過ぎの合図だ。
「うぁー……、やばい。」
吐きそうなほどではないが、くらくらと眩暈がする。
とりあえずじっとして、落ち着くのを待つ。
服を着替えたいが、今動くのはちょっとつらい。
大人しく落ち着くのを待つことにした。
若干混乱気味の頭で考える。
先程の水の塊は何なんだ?
濡れた服や身体を見るが、ただの水のように見える。
特に匂いもしない。
バケツをひっくり返したような雨、と言うがあんな水の塊が降ってくることはありえない。
空から降ってきたのなら、落下時の空気抵抗でバラバラにされるはずだ。
あんな塊のままで降ってくるなど考えられない。
そこまで考えて、自分の思考が無意識に”逃げている”ことに気づく。
見たくない物から目を逸らすように。
「……もしかして、俺がやったのか?」
何が、どうして、そうなったのか。
過程は分からない。
だが、原因は魔力、結果は水の塊。
そう考えることはできないだろうか。
もしもそうならば、記念すべき初めての魔法ということになるが、喜びも嬉しさもない。
むしろ――――。
「…………最悪だ。 ていうか、神様関係ないじゃねーか。」
祈りもへったくれもない。
ただ想像したら、それが叶ってしまった。
そんな夢のような話だが、夢は夢でもこれは悪夢の類だろう。
それなりに集中して、具体的にイメージしなければ発現しないのだとしても、考えたことがそのまま叶うというのはもはやホラーだ。
何かが燃えたり、壊れたりすることを想像したら、それが起きてしまう。
そんなのはもう人ではない。
歩く災害のようなものだ。
(もしかして、これって物凄くまずい状況じゃないか……。)
まだ本当に自分がやったのか確認できない。
だが、もしもこれが予想の通りならば相当にまずい。
試しに同じことを再現できるか試したいが、今は魔力が足りていない。
今無理をすれば確実に倒れるだろう。
「どうすんだよ、これ……。」
その場に蹲り、俺は頭を抱えるのだった。
■■■■■■
結論から言おう。
クロだった。真っ黒だった。
はい、犯人は俺でした。
次の日に試してみたら、それなりに集中力と具体的なイメージが必要とはいえ、簡単に再現できてしまった。
祈りも詠唱も必要ない。
あの時は控えめに言っても絶望したね。
このままではまずい、と本気で悩んだ。
だが、俺は一つの解決策を思いついていた。
初めて魔法を使ってしまった日。
残りの魔力が少ないので、魔力を放出する訓練を続けることができなかった。
まあ、訓練する気にもなれなかったが。
なので、その時に考えたのだ。
もし本当に想像するだけで魔法が発現してしまうのなら、どうすればいいのか。
答えは簡単。
自分自身に制約をつけてやればいい。
所謂”条件付け”だ。
答えは簡単だったが、実際にそれを行えるようになるのには苦労している。
特定の”魔法名”を言わないと魔法が発現しないようにし、逆を言えば”魔法名”さえ言えば無意識にでも魔法を発現するようにする。
いや、無意識に魔法が発現するのはまずいが、要は一定の条件の時にだけ発現するようにしてやればいい。
それを叶えるためにはどうすればいいのか。
これも単純明快。
ただひたすらに繰り返す。
反復練習だ。
「”水飛沫”!」
右手を前に突き出し魔法名を声に出すと、その瞬間に手のひらからバシャーッと水飛沫が勢いよく吹き出す。
身体中の魔力の動きに高揚感が高まり、キィーー……ンという澄んだ音も耳に心地よい。
声に出す魔法名は意識して大きく、はっきりと。
初めて魔法を発現させてから2週間、こんなことをひたすら繰り返していた。
「ふぅーー……。 とりあえず、こんなもんか。」
朝からリッシュ村の近くの森に籠り、魔法の練習をしていた。
すでに太陽は高く、そろそろ昼になる頃だろう。
切り倒された丸太に腰かけ、置いていた包みを取る。
この丸太は随分長く放置されていたようで、所どころ虫食いの穴が空いている。
長さは5メートルほどあり、直径は50センチメートル以上。
今のミカにはかなり大きく見える。
地面に近い部分には苔が生えているが、全体は然程傷んではおらずしっかりしている。
包みを膝の上で広げると、中に入っているのは硬いパンと果物。
家から持って来た昼飯だ。
冷蔵庫のないこの世界では、昼食に作り置きのスープなどは用意されていない。
これはミカ少年と入れ替わる前からだ。
特に本格的に夏になった今の季節、衛生という概念の薄いこの世界でそんな物を口にすればどうなるか。
確実に食中毒を起こすし、あっと言う間に蔓延して村全滅という流れが目に浮かぶ。
まあ、実際に全滅まではいかなくても、相当に恐ろしい未来予想図しか思い浮かばない。
「”水球”。」と呟くと、自分の前に現れたバスケットボール大の水の塊の中で手を洗う。
”水球”を適当に吹き飛ばし、軽く手を振って水気を払うと、パンを手に取りかぶりつく。
以前に頬張りすぎてまともに咀嚼できないことがあったが、さすがに毎日食べていれば加減を覚える。
適当な量を口に入れて飲み込むと、再び「”水球”。」と呟く。
今度は目の前に小さな水の塊が現れ、それをかぶりつくように口に入れる。
昔、ある宇宙飛行士が浮いている水の玉をこうして飲むパフォーマンスをしていたのを見たことがあった。
それを真似して、水袋などなくても水分補給できるようにしたのだ。
もっとも、魔法で作り出した水を口に入れる時は、かなりの勇気がいった。
最初に盛大に全身で浴びてしまったが、飲んでも大丈夫な物なのかは慎重に試すことにした。
口に含んだだけですぐに吐き出したり、ごく少量だけを飲み込んでみたり。
そうして数日かけて無害であることを確認して、今は何の躊躇いもなく飲めるようになっていた。
むしろこの水に味が付けられないか、炭酸飲料にならないかなどの要求が増えている。
まあ、成功はしていないが。
昼食を食べ終わり、一息つく。
木漏れ日がきらきらと零れる森の中は静かで涼しい。
森の中といっても、入って20~30メートルくらいのところだ。
そもそも人口密度の極端に低いリッシュ村なので、家の近くで魔法の練習をしても早々に見られることはない。
それでも毎日やっていれば誰かの目に留まるだろうし、それなりに大きな声を出しているなら猶更だ。
なので森で練習をするようになったのだが――――。
「全っ然、言うことを聞かないよな、俺。」
思わず苦笑する。
森に入るなと言われているのに平気で破っている。
森に入るには村を囲む柵を越えなければならないが、ところどころに柵の壊れた箇所がある。
それほど大きく壊れているわけではないが、子供のこの身体なら労せずにくぐり抜けることができる。
自分なりに理由があってのことではあるが、それでも隠れて破っているのだから、バレたらまた叱られそうだ。
これで「家族にはなるべく心配させたくない」とか言っているのだから、他人が聞けばどの口が言うかという感じだ。
自分でも分かっているのだが、そこは「必要にかられて」と自分に言い訳をしている。
自分の中の魔力に気づいてからは、魔力の操作に夢中になり、魔法が使えるようになってからは、魔法に夢中になっている。
切り替えが下手なことは自覚しているが、今はもう寝ても覚めても魔法のことばかりだ。
このとんでもない力を使いこなすことに、完全に虜になってしまった。
「よし。 次いくか。」
腹も満たされ、さっそく次の練習に移る。
丸太から飛び降りると、少しだけ森の奥に入る。
そこから5メートルほど離れた場所にある岩に向かって”水飛沫”を盛大にぶちまける。
そして、岩の周りの木に向かって同様に”水飛沫”をぶちまけていく。
下準備が終わったところで気合を入れ、右手を岩に向ける。
「”火球”!」
そう口にすると同時に、右手からテニスボールほどの真っ赤な火の玉が飛び出す。
その火の玉は岩に当たると瞬時に破裂して消える。
周りに火の玉の欠片が飛び散るが、先程撒いた水のおかげで燃え広がることはない。
できればこんな森の中でやりたくはないのだが、誰かに見られたくないので仕方ない。
せめて森林火災になることがないよう、下準備と後始末の消火は念入りに行っている。
更に数回”火球”を撃ち込み、次の魔法の練習に移る。
「”火炎息”!」
今度は岩に向かって炎を放射する。
ドラゴンの吐くブレスをイメージしたのでこの魔法名にした。
炎は岩の表面を舐めるだけで、岩を溶かすような火力はない。
しばらくそうして炎を出し続けるが、火力が上がる様子はない。
いちおう、火力が上がるようにイメージしているのだが、目に見える効果はなかった。
”火炎息”を一旦止めて、後始末に入る。
再び”水飛沫”を周囲に盛大にまき散らして消火を行う。
まあ、初めから目に見えるような延焼はどこにもないのだが念のためだ。
「なーんで火力が上がらないんだろうなぁ。 イメージはしてるつもりなんだけど。」
もっと具体的なイメージが必要なんだろうか。
しかし、火力の具体的なイメージって何だ。
先程の丸太まで戻り、少し考えを整理してみる。
まず、この2週間”条件付け”を第一に考えて練習してきた。
そこで考えたのが、この”魔法名”という仕組みだ。
”魔法名”と”効果”がイメージ的に一致しやすい組み合わせをいくつか考えた。
そして、魔法を発現する時は必ずはっきりと魔法名を口にし、それを繰り返す。
まずは”水球”。
最初に偶然発現してしまったやつだ。
こいつの練習をずっとしていたが、最近ふと思いついたのだ。
もしかしたら、すでに他の魔法も使えるのではないか、と。
大事なのはイメージ。
イメージさえしっかりできれば、きっと”水球”以外もできるはず。
そこで次に試そうとしたのが”火球”だ。
ただ、そこで問題になったのが練習している場所だ。
森の中、其処彼処に可燃物がある。
生木は燃えにくいと言うが、燃えないわけじゃない。
実際、アマゾンなどの森林火災は世界的な問題になっていた。
森の中で火遊びをするなど愚か者のすることだ。
だが、森以外に人に見られず練習する場所もない。
そこで考えたのが、水撒きという下準備と後始末。
万が一にも森林火災になることがないよう、万全を期すために。
その下準備と後始末のために考えたのが、”水飛沫”だ。
最初”水球”で周囲に水を撒いていたのだが、狭い範囲ならともかく広範囲となると大変だった。
盛大に周りに水を撒けないかと考え、即興でやってみたら思いの外うまくいった。
こうして準備が整い、”火球”を試し、次いで”火炎息”へと発展していった。
だが、この”火球”と”火炎息”。
見た目は満点なのだが、火力についてはいまいちだった。
対人でなら十分だろうが、イメージ的にはもっとこう”岩をも溶かす”みたいな感じだったのだが。
ドラゴンのブレスって、そんなイメージするよな?
「まあ、この短期間にこれだけできれば上出来か。」
ほんの2週間前までは「魔法が使いたい」とぶつくさ言っていたのだ。
それが今では4種類の魔法を使っている。
しかも、他にもやってみたいアイディアがいくつもある。
条件付けのこともあるので、一つひとつをしっかりと身につけてから進めるべきではあるが、いろいろ試したくてうずうずしている。
「火力アップについてはまた明日だな。」
今日の練習はここまでにしようと、先程”火球”の的にしていた岩に近づく。
周囲も含めよく確認し、もう一度”水飛沫”を浴びせる。
更に周りの木に、上にも下にも”水飛沫”をぶちまける。
消防車による放水をイメージして周囲に水を撒きまくる。
魔力不足で気持ち悪くなる前の、ギリギリまで余分な魔力を出し尽くす。
そうして自分の中の魔力量を少なくし、魔法の練習を終える。
「”制限”。」
そう呟き、気持ちを切り替える。
身体の中の魔力の動きが弱まると同時に、高揚感が鎮まり、キィー……ンという澄んだ音も聞こえなくなる。
実際はそんな簡単に切り替えられるものではないのだが、これも”条件付け”として行っている一つだ。
魔法を使わない時は”制限”。
そして、魔法の練習をする時は”制限解除”。
魔法の暴発を防ぐための条件付けとして、これも2週間前からやっている。
”制限”を口にしたら、それ以降は自分の中の魔力が動かないように気をつける。
意識的に魔力を押さえつけ、動かないようにするのだ。
まあ、それでも自信がないので練習の終わりには魔力をギリギリまで減らしておくのだが。
家族を巻き込むような魔法の暴発だけは絶対に避けなければならない。
あまり言いつけを守らない俺だが、それだけは”絶対”だと固く心に誓っている。
そのために取り入れた条件付けが、魔力を動かさない”制限”というわけだ。
ついこの間までは必死に魔力を動かす練習、魔力を放出する練習をしていたのに、今度はその真逆のことをやっている。
”制限”中は、魔力を動かさず、漏れ出ることもないように常に意識する。
魔力に気づく前は当たり前のことだったのに、今ではそれが結構疲れる。
気が休まる時がない、というのは贅沢な悩みか。
力を手に入れた者、手に入れようとする者は相応の責任を負うものだ。
”条件付け”には他にも構想があるのだが、まずは”魔法名”と”制限”。
この二つを確実なものにし、更なる発展はそれからだ。
「さて、帰るか。」
木から滴り落ちる水に、夕立にでもあったのかと言わんばかりにびしょ濡れになったが、そのまま森を後にする。
タオルを持ってくれば清拭をこれで済ませられるかな、などと考えながら帰途に着くのだった。




