アポカリプス
二〇二三年七月三〇日十二時三十五分。秒数まではわからないし興味がない。いつもの目覚まし時計はその時刻を告げていた。こんなに西暦でさえ二千年以上もの時を重ねても時間の流れというやつは凡庸で代わり映えしない。
帆側公世は厭世的な気持ちになって、おなかの鳴る音で気持ちを切り替えることにした。
昨日は食事を終えて少し酔っぱらってすぐに寝てしまったはずだ。どうしてこんな時間まで、眠ってしまったのだろう。寝室から歩いて廊下に出て、何気なく玄関のカギを確認すると、郵便配達の不在連絡票が入っていた。携帯電話で連絡を取ると、午後二時以降になるとのことだった。
待っている間に、何をしようかと考えながら、キッチンに行き、冷蔵庫から買い置きしている無糖ブラックの缶コーヒーを出して、その適切な冷気を感じ、プルタブを開けて、一気に飲み干した。身体にカフェインが入り、どこか楽観的になる気がした。
冷蔵庫からレタスと玉ねぎと人参、キュウリと卵を出した。たいした量ではなくて、ほんの少しずつ残り物を使うようなつもりだ。
レタスをちぎって洗い、玉ねぎをカットして栄養が逃げない程度に少しだけ水に浸す。人参とキュウリを刻み、卵をゆでてスライスする。小皿にそれらを適当に盛り付けて、マヨネーズをたっぷりとかける。
フォークをいつものところから取り出して、フォークで和えるようにして食べていく。いつも食べているが、これといって斬新だと思ってもないし、気に入っているわけでもない。なんとなく作りやすいと思っているのかもしれないし、なんとなくかけているぬるい手間が好きなのかもしれない。
シャクシャクと咀嚼しながら思う。
ああ。
世界なんて終わってしまえばいいのに。