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インフィニティ

 目を覚ますと、ベッドの上で、監禁され、尿道には管が刺さり、上半身と四肢を固定され、白い光に包まれていた。緑色の床と木製の壁は、奇妙な世界観を構築していた。

「なんだ、これ」

 声がかすれていた。僕は、自分の声を確かめるために、「あ」と言った。「あ」「あ」「あ」

 自分がどうしてこうなっているのか、わからない。何か悪いことでもしたのだろうか。思い当たる節がない。そもそも前日から数日間以上の記憶がない。自分がこうなっている以前に何をしていたのか、まったく記憶にない。酒でも飲んだか? いいや、飲んでいない。よほどの付き合いでもない限り、僕は酒を飲まない。自分の名前は言える。

本田悟ほんださとる

 自分の名前を言うと少し落ち着いた気持になる。でも、ごまかしだ。焦燥感で頭はヒリヒリしているし、何故か大学の授業を受けられない心配をしている。いつもはサボってばかりの授業なんて、本当はどうだっていい。日常だ。僕が今求めているのは、こんなよくわからない状況ではなくて、整然とした説明だ。

 天気と時間を確認したくて、窓を探すが、窓がない。おまけに、時計もない。完全に隔離されている。一体、どういうことだ?

 軽く身動きをすると、尿道に刺さった管のせいで痛い。上半身と両腕の身動きが取れず、肩が凝っている。気にしだすと、だんだん全身がむずむずしてきて、叫びたくなる。気が付くと叫んでいた。乱れた半狂乱の声で、自分の声ではないみたいだった。どのくらい叫んでいたのだろう。誰からも何からも応答はなく、咽喉が枯れ、みじめさが募るばかりだ。僕は目をつむって、眠ってしまおうと思った。しかし、白い光がこれでもか、と僕の視界を白くして、睡眠を妨害する。ああ。

 僕はどうすればいいんだ。

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