76: 王都奪還(1)
ハルトと国王は、偵察隊より報告を受けていた
「飛行型は確認されていなかったはずだが」
「可能性としてはありましたね」
「うむ、それにしてもハルト殿はさすがだな。厄災を倒す兵器を開発するとは…」
「予定通り効果があったようですね」
「はっ!ハルト殿が作った戦車は、厄災に対し有効でした!」
「量産も考えてみるか…」
この戦いの後は、破壊する必要があるかもしれないが、今は必要だろう
「戦いの後は破壊するつもりだな?」
「ええ、何台かは残しておきますが、過ぎた兵器は人類にとって良くないですからね」
「そうだな」
スキルを解除すればただの鉄の塊になるので、数台ならば残しておいても問題はないだろう
「それでガンダルーに向かったモンスターはどうしたのだ」
「はい、偵察隊の気球船で追いかけて、ガンダルーに着く前に討伐いたしました」
「ほう」
「新型のバリスタとボーガンはすごい威力です」
「連射式で弾切れもないからな」
「はい、多数のモンスター相手でもすごい勢いで倒していくので、兵士達は楽しんでおりました」
「楽しむのはどうかと思うがの」
「まあいいではないですか、統率が取れなくなれば問題ですが、モンスターの大群を相手にしても、余裕があればそれだけ戦いやすくなるでしょう」
「指揮官も指揮しやすくなるか」
「厄災に遭遇した時は死を覚悟しましたが、バリスタで撃ち落とした時は兵士達の士気はうなぎ登りでしたからね」
「今まで、厄災を倒してきたのは、傭兵や将軍などの優れた武力を持つものだったからな」
「はい、一般の兵士でも倒せると解ったので、厄災を恐れることがなくなるでしょう」
今までの常識が覆った事で、兵士達にも厄災を倒せるという自信が生まれた
実はこのことが、ハルトの力を高めることになる
ハルトは半神となっているので、兵士達からの信仰を集めることはハルトの力を高める要因となっている。さらに避難民たちにも伝わっているので、ハルトに対する信仰はいまだかつてないほどに高まっている
これにより、志願兵も一気に増えて王国の兵数は数倍に膨れ上がった
この後、ハルト達はボーガンの作成に時間を費やすことになるが、その分モンスターを彼らに任せることができるようになったので、結果的には邪神との戦いに集中する事ができるようになった
それをハルトが知るのはまだ先ではあるが…
「明後日には帝国の部隊も到着するようです」
「そうか、ならば王都奪還に向けて動き出すことができるな」
「避難民はどうなっているんだ?」
「現在確認されている避難民は、全て無事な都市へと避難を完了しております」
「連絡が入ったのか?」
「はい、王国へ侵入したモンスターは全て駆逐されておりますので、問題はないとのことです」
「ならば全兵力を王都奪還へと向けることができるな」
「ゲンズ側から侵入してくる部隊はないのか?」
「気球船で国境付近を偵察しておりますが、今のところ確認されておりません」
「そうか」
ハルト達が話し合いを続けていると、ゲンズからの使者を名乗る者が現れた
「失礼します。私はゲンズ国で子爵の地位を受けております、パルヒィヤと申します」
「うむ、パルヒィヤ子爵はどのような用件でここに来たのだ、現在我が国とは交戦中のはずだが?」
「はい、我が国は邪神の影響を受けた国王と宰相が国を支配しており、国民はモンスターによって移動を禁止されております」
「邪神の影響だと?」
「はい、次元の揺らぎから発生した、理解の及ばない力で国王はおかしくなってしまったのです」
「ふむ、邪神が厄災を作り出したのは、その国王を使って人間を攻めさせるつもりだということか…」
「その話が本当であれば、かなりマズイ状態になりますね」
「ああ、人間は邪神に支配されるということになるからなあ」
全ての人間が影響を受けるというならば、かなりまずいことになる
「その心配はないかと思います」
「どういうことだ」
「我が国で影響を受けたのは、元々素行の悪かったものなのです」
「では、国王は?」
「国民の税金を湯水のように使い、贅沢を謳歌しておりました」
「だから影響を受けたのか…」
「王国からの協力依頼も、金がかかるからと拒否していたようです」
「愚かな…」
「パルヒィヤ子爵はどうやって王国に?」
「親交のあった傭兵に護衛をしてもらい、なんとかたどり着いたのです」
「そうだったのか、ご苦労であったな」
「いえ、私はハルト様に救援を要請に参ったのです」
「俺に?」
「はい、国王は邪神からの影響で、恐ろしく強くなっております。抵抗を試みた者たちを皆殺しにしてしまいました…」
「それは…」
「我が父もお諫めしようと王宮に向かったのですが…」
「分かった…俺が止めよう」
「感謝いたします」
「では、子爵はしばらく滞在されよ」
「ですが…」
「戻るにしても、気球船の方が早かろう」
「分かりました。お言葉に甘えさせていただきます」
「それがよい」
まずは王都の奪還が先だが、ゲンズには行かないといけないな
「ハルト様はクズ石を使われるとか?」
「ああ」
「でしたら、ゲンズを解放して頂けたならば我が領地へ越しください」
「なぜだ?」
「我が領地にある鉱山にはクズ石が大量に埋没しております」
「それはいい」
「いくらでも差し上げますので、邪神との戦いに役立てていただければと思っております」
「その時は頼む」
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