63: 各国の様子
ハルト達が修行に向かって3ヶ月
王国では緊急の会議が開かれていた
「このように主神ゼウス様から邪神の脅威が迫っている事が伝えられました」
「魔帝の次は邪神か…」
「ダンジョンの様子はどうだ?」
「ダンジョン都市では混乱しているとの報告が来ています」
「やはりか」
「影響は受けるのか?」
「いえ、冒険者ギルドが独占しておりますので影響は少ないです」
「冒険者達が野盗にでもなれば厄介だぞ」
「モンスターの残党狩りの仕事がある為にしばらくは大丈夫でしょう」
冒険者は素行が悪いので心配されるが、問題を起こしたら即座に拘束して冒険者ギルドに監査に入る体制は整えてある
「それにしてもハルト殿が女神の使徒で半神になる可能性まであるとは…」
「比較的友好は築いていますが馬鹿な貴族との対立はありましたから気を付けねばなりませんな」
「敵対すれば王国は滅びますからな…」
「カルビン侯爵には早々に退場して頂きましょう」
「そうですな」
「ですが…第2王女様が…」
「致し方あるまい…」
「陛下、お待ちください」
「なんだ宰相?」
「第2王女様については既にハルト殿が責任を問わないと仰られましたので問題ないかと」
「だが国民は許さぬぞ」
「改めてハルト殿に懇願するしかありませんな」
「うむ…」
「もはやハルト殿は傭兵ではありません。死神ハルトは主神ゼウス様が認めた御方ですからな」
「女神クローディア様も娶られるとか…」
「神として扱うべきではないですか?」
ハルトの扱いは非常にデリケートになっている
神として扱わなければいけないのかが話し合われた
「やはりハルト殿は神と言うことで…」
「いや、ハルト殿は目立つのを嫌っていましたぞ?」
「確かに…」
「ですが国民に説明しなければなりません」
「うむ…」
「半神ですから不敬にあたらなければ呼び名は自由としては?」
「うむ、英雄ハルトか死神ハルトのどちらかならば良しとしましょう」
「後はハルト殿が帰ってきてからですな」
こうして大陸中に英雄ハルトと死神ハルトの呼び名が定着した
王国では英雄ハルトが多数で他の国では死神ハルトが圧倒的に多い
やはり主神ゼウスが認めたのは大きかったようだ
一方皇帝ダンタリオンは帝都攻略会議を開いていた
「ハルト殿の封印が解かれたためモンスターが一部漏れ出しています」
「ふむ、邪神の眷属が現れる前に取り返したい所ではあるが…」
『我らが手伝おうか?』
「有難いのだが自らで取り返さなくては意味が無いのだ」
イクシオンとバンダーが居れば楽にはなるだろうが、人類がモンスターに打ち勝ったという意味が必要であった
『人間は面倒だな』
『うむ、倒せればいいだろうに』
「仕方ないのですよ」
「復興する為には意識が重要なのですよ」
『ならばお前達が着くまでは我らが溢れた分は倒してやろう』
『それならば問題あるまい?』
「ああ、頼む」
イクシオンとバンダーはデーモンの厄災で本来は本能に忠実で残忍な性格なのだが、魔帝の近くに長く居たため自我が目覚めた事で理性的な性格をしている
魔帝ギンガの妻であるスターシャを守れなかった事を非常に悔いており、護ると決めたら非常に過保護なのだ
魔帝が自分達を置いていったのは人類を任せたと思っており、より世話を焼きたがっている
実際はゼウスが忘れていただけなのだが…
『我らは行くとしよう』
『任せるがいい』
先に向かったイクシオンとバンダーは帝国軍が向かいやすいように付近のモンスターを絶滅させるほどに倒していった
「先に行かせて良かったのですか?」
「仕方あるまい。彼らを抑えられる者がいるのか?」
「居ませんな…」
「とは言え人類に友好的ですから助かりますがな」
「厄災とは言え理性的なので色々と情報も貰っております」
手に入れた情報ではダンジョンの発生の理由や運用方法が記されていた
魔帝が居ればダンジョンを自由に使えるため人類にとっては食料事情から物資の調達まで多岐に渡る利点がある
冒険者が独占していたダンジョンを国が管理出来るならこれほど有難い事は無い
魔帝は寿命が無いので友好関係を築いている間は生活が飛躍的に安定するのだ
敵対すれば最強の厄災2体と大量のモンスターに襲われる可能性があるので上手く付き合う必要はあるので注意が必要であるが…
必ず愚かな為政者は現れるので将来に不安を残すのか目の前の利益を取るかの選択を迫られているダンタリオンは可哀想である
「まずは帝都奪還が優先だな」
「邪神にも備えなければなりませんし大変ですな」
「考えるのが我らの仕事ですからな」
ハルト達が帰って来るまであと9ヶ月
王国と帝国には人類を纏める責任があるため大陸中の国へと使者を送っていた
とある小国
「邪神だと?」
「はい」
「馬鹿馬鹿しい」
「ですが主神ゼウスが降臨され邪神の来訪を告げていますぞ」
「主神などいる訳がなかろう」
「王国と帝国の連名ですから無視するのは不味いかと…」
「ふん、厄災で帝国の領土は奪われているし、王国も兵を出して疲弊しているのだ。怖くあるまい」
主神の降臨については実在するかの是非が分かれている
邪神についても同じだ
今まで存在が確認されていなかった神を信じろと言われても難しいのは当然である
だがこの判断が国の命運を分ける事になると知るのはまだ先である




