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59: 魔帝復活(4)

ハルトを送り出したソフィア達黒の傭兵団は改めて厄災と対峙した


『ぐふふ、魔帝の元へ送った所で倒せんよ』

「それはどうでしょうか?」

「ハルト団長は強いぞ」

「舐めないでよね」


『魔帝を倒せる人間が居るはずなど無い』

「イクシオンは倒せると言ってましたよ〜」

「負けない…」


『イクシオンだと?奴が魔帝を裏切るはずは無い!』

「魔帝を救ってくれと言ってました」

『イクシオンが…』

「あなたは魔帝をどう思っているのですか?」

『ふむ、少し話してやろう。我バンダーとイクシオンは魔帝に生み出された中でも古参だ。別の世界から飛ばされた魔帝と共にこちらの世界に来たが、魔帝は自ら封印される事を望んだのだ』


「聞いています」

『うむ、魔帝は自らのスキルで無限に魔物を生み出してしまう。もはや抑える事が出来ないと悟った事で封印を望んだが誤算が生じた。異次元空間で眠りに着いたが強すぎる力はこちらの世界に漏れ出す事でダンジョンを生み出してしまった』


「ダンジョン自体はあってもいいが氾濫は困るぞ」


『仕方ないのだ。魔帝の力は制御出来ないのでダンジョンになっただけでも運がいい。この世界全てを魔物で埋め尽くしていたかもしれないのだからな』


「考えたくもないわね」


『我らは魔帝の生み出す魔物を間引いては居たが封印が緩んだためこの場を離れられず、人間達が大氾濫と呼ぶ魔物の強制進化を許してしまった』


「厄災は魔帝の力で引き起こされたのですか〜」


『うむ、この世界の魔物は元々は魔帝の力で生まれた者。魔帝の力が漏れ出した事で影響を受けるのは当然だ』


「お茶とお菓子をどうぞ〜」


『すまんな』


バンダーが話し込んでいるので皆座り込んでお茶を飲み始めた


『魔帝は可哀想な男なのだよ。生まれて5年で親から魔物を生み出すなど気味が悪いと森に捨てられた。魔帝の居た世界には魔物は居なかったからな』


「他の世界には居たのでしょうか?」


『それは我にもわからぬ。女神ならば知っているかもしれないが…どの道関係は無いからな』


「バンダーは魔帝を護っていると言ったが、向こうの世界では護れなかったのか?」


『…奴らに…聖王12騎士団に嵌められたのだ!奴らは神を崇める国に所属していたが。奴らは神の御業であれば魔帝の力を弱める事が出来ると言った。実際に魔帝の力は一時的に弱まったがそれは魔帝の力を集めて自分達で扱うためだった』


「それは危険そう…」


『ああ、危険極まりない行為だ。魔帝の力を集める事には成功したが暴走してしまった』


「女神様ですら抑えきれないというのに馬鹿な事を…」


『暴走した結果、魔帝の力とぶつかり合い大陸の7割を消し飛ばした』


「魔帝の力なのにですか?」


『集めた力を使うために弄り回した結果変質していたので反発したのだ。吹き飛ばされた場所には魔帝が唯一愛したスターシャがいた…』


「お子さんは?…」


『子供はイクシオンが何とか助け出したがスターシャは子供を護る結界を張るために力を使い果たし3日後に亡くなった。結界が無ければイクシオンですら助けられ無かっただろう。それほどの力があの暴走にはあった』


「あのイクシオンが…ハルト団長ですら苦戦していたというのに…」


『その後は魔帝が怒りによって世界の半数の人類を滅ぼした。だが強すぎる力を世界は受け止めきれなかったのだろう…我らと共に弾き出された』


「だからこの世界に…」


『うむ、弾き出された衝撃で正気を取り戻した魔帝はスターシャと失ったこと、そして子供と二度と会えない事に絶望していたが女神が現れた事で事情が変わった』


「女神の登場か」


『女神は封印する変わりに子供をこの世界へと呼び寄せ魔帝と共に異次元に送る事を提案した』


「なっ!子供が一緒にいるのですか!」


『ああ、魔帝の力は受け継いではいないがあちらの世界では最強クラスの力を持っていた。でなければ女神の力でも転移に耐えられなかっただろう』


「まさか子連れで封印されて居るとは…」


『魔帝は女神に感謝した異次元とはいえ子供と一緒に居られるのだからな』


「だが眠りについているのでは?」


『起きている……』


「起きているのか?」


『ああ、異次元は時間の流れが違うので3万年が経った今でも異次元では3年くらいだろうな。子供は当時15歳だったから今は18歳か…』


「この世界に帰って来ても大丈夫なのか?全盛期に近い強さを保っているのだろう?」


『その心配は無い』

『なっ!イクシオン!』


「なんでイクシオンが?!」

「まさかハルト団長が敗れたというのか!」

「あなた…」

「旦那様が死ぬなんて嘘よ!」


『死んではいないが…』

『何があったイクシオン』

『来れば分かる』

「行こう!」

「ええ!」


『お前達がソフィアとカナエか?』

「そうです」

「はい」


『ハルトから伝言だ。怒らないでくれよ、だそうだ』


「なんですか?」

「怒る?」


『イクシオン…』

『ああ、バンダーが考えている事で合っているだろう』


「何なんですか?」

「教えて下さい」


『我の口からは言えない』

『行けば分かるだろう』





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