41:覇王アイゼン※
「よう、死神ハルト」
「あんたは?」
「俺は覇王アイゼンだ。よろしくな、死神ハルト」
「死神なんて、名乗った事はないんだがな……」
「はっはっは!有名になれば、2つ名が着くもんだ、嫌なら自分で名乗るしかないぞ英雄」
「それも恥ずかしいな。覇王は自分で?」
「ああ、慈愛のアイゼンが通り名になりそうで覇王を名乗ったんだよ」
「ぶふっ!」
「嫌だろ?」
「嫌だな…」
「ハルトは、死神か英雄で定着するだろうな」
「諦めるしかないのか…」
「慈愛なら譲るぞ?」
「勘弁してくれ」
覇王アイゼン
民を護るという傭兵の信念を体現した人物で、傭兵と言えば覇王アイゼンと言われるほどの知名度がある
以前に、オーガの小規模な氾濫があったが、たまたま居合わせたアイゼンが、住民を護るため村の門に立ちはだかり、実に34時間もの間戦い続けたと言われている
それ以外にも報酬より、困っている人のために戦い続け、傭兵家業30年になる生きる伝説
自身が率いる撃滅の傭兵団は、アイゼンに憧れた傭兵で構成されており、意志を受け継ぐ優秀な傭兵が多数在籍している
「覇王に名前を覚えられるとは光栄だ」
「オークロードを単独で討伐するやつを知らない、傭兵なんて居ないだろ」
「静かに暮らしたいんだがな」
「無理だな諦めろ」
「ぐふっ」
「ははっ」
「それで用があったのか?」
「ああ、ボーガンを売って欲しい」
「ボーガンを?」
「今回の戦いでは、厄災と戦うのは俺達と死神ハルトだろう?」
「そうだろうな」
「だから、少しでも生存確率を上げたいんだ」
「分かった、幾つ必要だ?」
「70だな」
「用意しよう」
アイゼンと会ったあと、割り当てられている宿舎に戻りボーガンを作っていると、クレイにアイゼンの事を聞かれる
「ハルト団長は、覇王アイゼンとあったのですかな?」
「あったが?」
「そうですか、羨ましいですな」
「やはり有名なんだな」
「傭兵と言えば、覇王アイゼンですからな」
「自分も知っています。ダンタリオン陛下にも覇王のように、民を思いやれる騎士になれと言われていました」
「知名度では、ハルト団長も負けていませんがな」
「確かに、団長は覇王と英雄で双璧と呼ばれています」
「いつの間に……」
「単純な功績では、ハルト団長が優っていますな」
「いや、覇王に会ったが、あれは別格の風格があったぞ」
「団長は風格より覇気が凄いですからね」
「覇気?」
「気付いてないのですか?」
「うむ、普段から覇気が出ているが、戦いの時には相手が威圧されてますぞ」
それスキルじゃない?
覇気スキルなんてないはずだが…
「団長!カルア伯爵がお呼びです」
「わかった」
軍議室に入ると、各勢力の中心人物が揃っていた
「では軍議を始める。今回集まってもらったのは、複数のゴブリンの軍団が確認されためです」
「複数ですか?」
「ええ、この城塞から東に10キロの地点に5万、ビーンズ方面に2万の軍団がいます」
「軍をわけますか?」
「我々帝国軍は、ビーンズに行きましょう」
「では、王国軍は東の軍団にあたりましょう」
「傭兵はどうしますか?」
「覇王アイゼン殿」
「我らはビーンズが良いと思うが、死神ハルトはどう思う?」
「いや、東の軍団が良いと思う」
「何故ですか?」
「ビーンズ方面のは、前回の後詰めだろう、2万ならビーンズの守備隊と帝国軍で充分に対応出来るはずだ」
「確かに、その可能性が高いですな」
「東の軍団は、帝都からの難民を追ってきたはず。それなら5万は先遣隊で、本体が控えている可能性がある。従って少人数での探索や戦闘が得意な傭兵が、帝都方面に偵察を行ない、本体が居ないならば後ろから挟撃を仕掛けるべきだ」
「うむ、ハルト殿の言う通りですな」
「傭兵の機動力なら、挟撃は容易いしゲリラ戦にも対応出来る」
「兵糧を奪えば、本能で生きてるゴブリンは落ち着きが無くなるでしょう」
「覇王アイゼン殿はどうだ?」
「確かに、死神ハルトの言う通りになる可能性が高いな」
「覇王アイゼンに、ビーンズに行ってもらうのはどうだろう?」
「ハルト殿?」
「覇王アイゼンと言えば、生きる伝説だ。ビーンズに救援に来たとなれば士気は上がるだろう」
「確かにこちらには英雄ハルト殿、ビーンズには覇王アイゼン殿ならば、釣り合いは取れますな」
「帝国軍だけでは、士気は正直微妙ですからな……」
「そんな事は無いですぞ。ダンタリオン陛下が皇帝になってからは人気はうなぎ登りですからな」
ハウゼン君は、嫌われてたからな
「それではこの案でいきましょう」
「「異議なし」」
軍議が終わったので、アイゼンに話しかける
「勝手に推薦して、悪かったな」
「構わんよ。俺が気になっただけだ」
「歴戦の英雄の感てやつか?」
「ああ、何か嫌な予感がする」
「ならば、傭兵の半分を連れていくといい」
「いいのか?」
「ゴブリンの全体数は不明だし、小出しにしてくるのも不気味だ」
「何かがおかしいと?」
「もしかすると、ゴブリンの厄災じゃないのかもしれない」
「だが、確かにゴブリンは増えているぞ」
「それが分からないんだよ」
「うん?意味が分からないな」
「上手く言葉に出来ない違和感があるんだよな。とにかく気を付けてくれ」
「分かった死神ハルトも死ぬなよ」




