39:真の皇帝はどちらだ?※
帝国軍は無事、北部の城塞へと辿り着いた
「何処の軍隊か!」
「此方は帝国軍である!」
「俺は傭兵ハルトだ!まずは俺が入るから、城門横の入り口を開けて欲しい!」
「ハルト殿!ただいま開けますので、お待ちを!」
こういう時の為に、城門横に少人数が通れる扉を作ってある
「おかえりなさい、ハルト殿」
「ああ、カルア伯爵に面会したい」
「既に伝令を送っていますので、このままどうぞ」
「ありがとう」
既に伝えられていたので、天幕へと通される
「おお、ハルト殿!無事の帰還してくれたか」
「カルア伯爵に内密の話があります」
「……分かった」
人払いをしてから、話し出す
「こちらに、皇帝ハウゼンは来ていますか?」
「来ている。無理難題を並べているよ」
「そうですか。実はハウゼンは既に皇帝ではありません」
「なに?どういう事だ?」
ダンタリオンが新たな皇帝になった事、帝国の重鎮達からハウゼンの引渡しを要求したい事を説明した
「はっはっはっ!見限られた訳か!」
「そうです」
「いや、愉快愉快!国王陛下から、帝国の者に判断は一任すると仰せつかっているので構わんよ」
「では、帝国軍を入れてもよろしいか?」
「ああ、すぐに門を開けさせよう。誰か!」
「はっ!」
「すぐに門を開けて帝国軍を城壁内に入れろ。それから代表者をこちらにお連れしろ。くれぐれも丁重にな」
「手配します」
それから国王の伝言を聞いていたが、どうやら公国は今回参加をしないらしい
傭兵は、グランドギルドマスターが傭兵を集めているので、現在は2300人が集まっていて、最終的には4000人近くになるらしい。
傭兵のトップである、覇王の異名を持つアイゼンが率いる撃滅の傭兵団が来ているとの事で、俺に興味があるようだ
そんな話をしていると、ダンタリオンと帝国の重鎮が現れた
「これはダンタリオン陛下。この度はおめでとうございます」
「カルア伯爵。久しいな、このような状況では喜んでいられないが、皇帝になったからには帝国の為に尽くすつもりだ。王国にも力を貸して頂きたく思っている」
「大氾濫は、人類にとっての脅威です。協力は当然の事です、ここを拠点に帝国の解放に向けて力を合わせていきましょう」
「うむ、済まないが、私は状況を把握していないので教えて欲しい」
「わかりました今の状況ですが………」
帝都陥落後は難民が多数逃げて来た事、ダンタリオン達とは別に市民を守っている兵と市民は、3日くらいで到着する予定である事などをを聞いていた
「では公国は来ないと?」
「支援は約束してますが、兵は送れないので傭兵を送り出すそうです」
公国は、過去に獣人国から攻められた事で、国外に兵を出すのに恐怖心があるらしい
「小国は自国防衛のため同じく、傭兵の派遣を約束しています」
「そうか……」
『お待ちを!』
『邪魔するな!』
『現在会談中ですから入れません』
『余は皇帝であるぞ!何故臣下が真っ先に挨拶に来んのだ!』
クソガキさんが、おいでのようだ
「カルア伯爵。入れてもよいか?」
「構いませんよ。おい!」
カルア伯爵の許可が出たので、ハウゼンが入ってくる
「貴様ら、何故余の元に来ない?!」
「これはハウゼン殿、お元気そうで何より」
「うむ、誠に元気そうだ」
「何故、ここに居るのですかな?」
「皇帝である余の命は何より重いのだ。王国に頼るのは癪だが、来てやったのだ」
「民はどうされたのですかな?」
「知らぬ!」
「そうですか…」
「それより、何故挨拶に来ない?!」
「必要無いからですよ」
「なんだと?!」
「貴方は、もはや皇帝ではないので、挨拶など必要無いと言ったのです」
「ハインバッハ卿!それはどういう意味だ!」
「ですから、王国に亡命された貴方は、皇帝では無くなったのですよ」
「余は、亡命などしていない!」
「いえ、民を見捨てて王国領に来た時点で、亡命されたと見なされるのです」
「そんな馬鹿な?!」
「カルア伯爵の見解を聞きたい」
「私ですか?」
「はい」
「そうですね……。ハウゼン殿は、数名の供回りを付けてこの場所に現れて皇帝を名乗り、とにかく入れろ、自分を受け入れろと仰いました。この事から亡命を望んだと判断出来ます」
「な、なにを言っている?!」
「おかしな事でも?」
「亡命などとは、言っていない」
「では聞きますが、誰かがいきなりやって来て、城にとにかく入れろと騒いだらどうしますか?」
「入れる訳がないだろ」
「では他国の王なら?」
「入れるだろな」
「では貧しく、自分もろくに食事が出来ないのに、理由も話さずに王だから、酒と女を用意しろ、居てやるんだから感謝しろ、と言われたらどうしますか?」
あ、帝国の人間は頭を抱えだした
「そ、それは出来る限り答えるだろう?!」
「そうなのですね。帝国の皆さんはどう思いますか?」
「み、身元を調べて国元に返すか、身分を剥奪されたと見て、国外追放にします……」
「だそうですが?」
「………」
顔を真っ赤にして震えてますな
「余は皇帝だ!」
「ですから、亡命された時点で、身分は剥奪されております」
「だから亡命などしていない」
「状況的に見たら、そうなのですよ。さらに帝国では新しい皇帝が即位しておりますので、王国としてはハウゼン殿は皇帝として扱う事は致しません」
「新しい皇帝だと?!」
「私が、新しく皇帝になりました」
「ダンタリオン貴様!帝国を乗っ取る気か!」
「いえ、貴方が責務を放棄したため、代わりが必要になったのですよ」
「放棄などしていない!」
「では、王国と話し合いをされていたと?」
「そ、それは……」
「どうしたのです?さあ、早く帝国を解放して下さい」
「うむ、先に来ていたのですから、余程の策を練っていたと見える」
「いやはや、我らは勘違いをしていたようだ」
「我らの兵力すら必要としないとは、見事ですな」
「ぐっ………」
「では、我らは安心して待っていれば、よいですな」
「カルア伯爵、我らを好きに使って下され」
「兵は7000ですが、士気は高いですからな」
可哀想で見ていられない……
いいぞもっとやれ!




