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38:新たな皇帝※

ハルトの、ダンタリオンを皇帝にという案は、帝国の重鎮達ですら度肝を抜かれた


「まさかそのような考えがあるとは…」

「しかし、正当性はあるぞ」

「何せ、国と民を見捨てて逃げた皇帝ですから、帝位は無いと思うのは当然です」

「しかし、皇族はどうするのですかな?」


「今は未曾有の危機だ、先頭に立って導ける者が相応しいだろう。ダンタリオン殿なら民からの人気、実力ともに相応しいと考える。もし皇族が帝位を欲するなら、同じく軍を率いて帝国奪還に動いているだろう。動いているなら、暫定的に民を纏めたダンタリオン殿が身を引けばいいし、動いていないならそもそも帝位を主張しても民が納得しないから無視すればいい」


「ふむ、現実的な案だと思うが?」

「ダンタリオン殿は、どう思われる?」

「私は……。民の為ならばどのような役割であろうと受けいれるだけです」

「ならば決を取ろうではないか」

「賛成の者は挙手を」


参加した全員が手を挙げる


「満場一致ですな」


『『ガタッ!』』


「新たな皇帝陛下に忠誠を!」

「「忠誠を!」」


「……至らない部分はあると思うが、よろしく頼む」

「「はっ!」」


ここに、新たな皇帝ダンタリオンが誕生した


「では陛下ご指示を」

「我ら帝国軍は、王国へ支援を要請するため、旧帝国北部にある城壁へと向かう」

「畏まりました」


すぐに全軍へとダンタリオンが皇帝となった事、北部地域へ移動する事が伝えられた


帝国軍は、ダンタリオン陛下即位を諸手を挙げて歓んだ


「ダンタリオン陛下。酒を幾らか持ってきているので、即位のお祝いに兵達に配りたいのですが宜しいか?」

「ハルト殿、気を使って貰ってすまない」

「いえ、頑張った兵達にご褒美は必要ですからね」

「ははっ、ではお願いする」

「畏まりました」


ダンタリオン陛下即位の祝いに、1人1杯だが酒を振る舞うと皆喜んでいた


『ダンタリオン陛下万歳!』

『帝国万歳!』


「ハルト団長、素晴らしい案をありがとうございました」

「クレイ、ダンタリオン陛下なら皆にとって1番いい結果になると思っただけだよ」

「ハルト団長が言わなければ、未だにあのクソガキが皇帝のままでした」

「ははっ、余程嫌いなようだ」

「当たり前ですな。あのクソガキは昔から素行が悪くて有名でしたからな。なんとか皇帝にしないように動いておりましたが、前皇帝、いや、2代前の皇帝が急死したため、やむ負えず皇帝になったのですよ」

「そうなのか」

「ですぞ」


「団長〜、こっちで飲みましょうよ!」

「団長が来ないと、ソフィアさん達が飲まないんですよ」

「貴様ら!」

「ひっ?!」

「まあまあ」

「まったく、黒の傭兵団に入ったからには団長は絶対だ。規律を持って行動せよ!」

「「はっ!申し訳ありませんでした!」」

「分かればよい」

「ははっ、さっそくクレイの経験が生きたな」



それから、団員達と今後について話しあった


「人数も増えたので隊を作りたい」

「隊ですか?」

「そうだ。まずはクレイ隊長に10名を預ける」

「はっ!賜りました」


「次はソフィアに10名を預ける」

「はっ、光栄です」


「カレンは、元赤衣衆を率いて草を結成して貰う。サーニャは副隊長だ」

「草ですか?」

「草とは諜報を専門にした部隊だ。まあ、隠語だな」

「なるほど外部に分からないようにですね」

「そうだ」

「わかりました」

「わかった……」


「サイカは残り10名を与える。ここにはミルクを副隊長に入れる」

「私が隊長……」

「わかりました〜」


「クレイ隊は、経験を生かして様々な任務と、集団戦闘では遊撃を担当してもらう」

「はっ!」


「ソフィア隊は俺と前衛を担当してもらう。重要な役割だぞ」

「賜りました」


「サイカ隊は後方支援部隊だ。連射式ボーガンの扱いはもちろん、薬品や食料の管理も担当してもらう」

「頑張ります」


「人員の配置はクレイ隊長に任せる」

「お任せあれ」


「では解散しよう」


3日後の移動開始までに、クレイ隊長が人員を割り振ってくれたので、各隊で訓練をさせていた




「それでは出発する」


ダンタリオン陛下による号令で、北部地域へと向かう事になったが、帝国軍は徒歩なので到着までは10日以上掛かる


「カレン。部隊を率いて先行して、カルア伯爵に手紙を渡してくれ」

「わかりました」

「前皇帝に気付かれ無いようにな」


カレン達を先行させて5日、別の軍団と遭遇した


「そちらは、将軍と騎士団長が率いる軍団とお見受けするが、如何か?」

「如何にも!皇帝ダンタリオン陛下率いる軍である。そちらの所属を明かされたし!」

「我らは、ハインバッハ公爵の軍である!」

「そうか、ハインバッハ卿は同行されているか?」

「いらっしゃいます」

「では合流したいのでハインバッハ卿に伝えて貰いたい」

「賜わった!」


帝国公爵とは、大物が現れたな


臨時で天幕を立て、公爵を迎えた


「ハインバッハ公爵でございます。陛下におかれましては、ご即位誠におめでとうございます」

「公爵閣下。ダンタリオン陛下をお認めになるのですな?」

「勿論で御座います。あのくそが……ごほん!前皇帝には愛想が尽きておりましたので、民思いのダンタリオン陛下が即位なされることに否はありません」


今クソガキって言いそうになったよね?


「ハインバッハ卿。貴方は皇族の血を引いているが、私が皇帝でも問題ないか?」

「私に帝位を望む気持ちはありません。この国難において、騎士団長として長年帝国を護ってきた、ダンタリオン陛下であればと思っております」

「そうか、ならば私を支えて欲しい」

「もちろん喜んで仕えさて頂きます。あのくそが……クソガキなど皇帝の器ではありませんでしたから」


言っちゃったよ…


「当然ですな。あのクソガキは気に入らなかった」

「しかり、クソガキに国を任せるなど耐えられません」

「皆、あのクソガキに役職を解かれた身ですからな」

「これからは、ダンタリオン陛下を支えて、帝国を復興しなければなりません。あのクソガキには絶対に無理です」


もはや隠さなくなったな


「今から向かう場所に、クソガキが居ますから、引導を渡してやりましょう」

「そうですな。もはや皇帝でもないクソガキなど、恐くありません」

「権力のなくなったクソガキが、どんな顔をするか楽しみですな陛下」

「うむ、あのクソガキがソフィア嬢を欲しがったせいで、ハルト殿と戦争になるところだった」


「「……………」」


皆が青い顔して見てくるんだが?



「もはや過去の事。ダンタリオン陛下とは、良き関係で居たいものです」

「そ、そうですな。ハルト殿から受けた恩を忘れるなど有り得ませんからな」

「「はっはっはっはっ」」


乾いた笑いだよ?


「で、ではハインバッハ卿の軍も併せて向かいましょうか」

「ですな」


皆が目を合わせてくれない………不思議だね!

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