35:帝国軍の救出作戦※
帝国北部へと赴いたハルトは、カルア伯爵と面談して現在の情勢を聞いた
「現在、南部及び帝都からの難民を受け入れてはいるが、北部の都市では受け入れるだけのキャパシティが足りない状況だ」
「では、城壁と住居を作ればいいと?」
「住居に関しては、王都から天幕を送って貰ったので充分とは言えないが、なんとかなっている」
「わかりました早急に城壁を作ります」
「よろしく頼む」
依頼を受けたハルトは、城壁を築いていくと周りから歓声が上がる
『すげー!』
『あれが、王国にいる死神ハルトか』
『バカ!英雄ハルトだよ!』
『俺は死神って聞いたぞ』
『私も死神だって聞いたわ』
死神が定着してるよ
『なあ、仲間の子達皆綺麗だな』
『黒い鎧が怖いかと思ったけどいいな…』
『わかる!』
『あれはソフィアさんだ!』
『まじかよ!俺ファンクラブに入ってたぜ!』
『あっちはミルクちゃんとサーニャちゃんか』
『俺はサイカちゃんが可愛いと思う』
『癒しが凄いよな。ブタの獣人とかどうかと思ったけど、実際みたら可愛すぎる』
最後のやつは見る目があるな
「団長、自分達はどうしますか?」
「持ってきた食料で、炊き出しをしてくれ」
「わかりました」
『ソフィアさんの炊き出しだと!』
『ミルクちゃんの手料理!』
『サーニャちゃんの冷たい目がハァハァ』
『サイカちゃんのちょこちょこ走り可愛い』
おい。変態が混じってたな!
「ハルト殿、木材の移動終わりました」
「そうか、炊き出しの警護をしてくれ。変態には容赦しなくてもいいぞ」
「変態ですか?」
「1人居たから注意してくれ」
「わかりました…」
カレン達に警護を任せたが、変態には本当に容赦してない
『ハァハァ』
「連行しなさい!」
『え?待ってくれ俺は何も……』
「変態は許しません!」
『お助けを〜』
南無
到着から4日後には城壁が完成して、1万人規模の城塞都市の原型が出来上がった
「ハルト殿ありがとう」
「いえ、住居は完成してませんから」
「まだ、本格的に城壁都市にするかは決まってないから、これで充分だとも」
「では、バリスタの設置をしてボーガンを量産しますね」
「よろしく頼む。これでここも安全に……」
「伝令!」
「どうした?」
「帝都が陥落しました!」
「なんだと?!」
「皇帝は帝都を捨て、こちらに向かっているようです」
「住民はどうした?」
「元将軍以下、指揮官だった者が、兵と義勇兵を指揮して北部最大の都市であるビーンズに向かっているとの事です」
「何故こちらに来ない?」
「それが……」
「なんだ?」
「皇帝が、住民を守っている兵にゴブリン達を、擦り付けたらしいのです」
「なんだと!そんな馬鹿な事があるか!」
「ひっ?!」
「カルア伯爵、落ち着いて下さい。彼は悪くありません」
「あ、ああ。済まなかった報告を続けてくれ」
「はっ、元将軍達は、住民を守るため兵を2つに分けて、ゴブリンを誘いビーンズに向かって移動しているようです」
「住民達はどうなっている」
「今のところ情報はありませんが、ゴブリンの進行方向からは外れているようです」
「分かった。下がって良い」
「失礼します」
まさか、皇帝が民を囮にして逃げるとは…
「ハルト殿、どうすればよい?」
「………俺たちがビーンズに向かいましょう」
「いいのか?」
「ええ、最も身軽で、かつゴブリンの軍勢に対応出来るのは、俺たちでしょう」
「すまない」
「構いません。後詰めで兵を送って下さい」
「分かった準備させる」
「では失礼します」
ソフィアとカレンを呼び、馬の準備と食料や木材を馬車に用意させる
「すぐに出発するぞ」
「すでに準備は出来ています」
「では全員騎乗!」
ハルト達が発って4日後、ゴブリンの大軍勢に追われる帝国の部隊を発見した
「団長!不味いです。あと半日もせずに追いつかれそうです!」
「帝国軍は徒歩だな、疲れも溜まっているだろう」
「合流しますか?」
「いや、先回りして防壁を作る!」
「わかりました!ここから2時間ほどの位置に荒野がありますから、そこにしましょう」
「そこでいいのか?」
「はい、岩が多いので団長なら強固な防壁が作れます」
「分かった急ぐぞ!」
帝国軍に先回りして、荒野に石造りの高さ7mの防壁を作りあげる
急造なので防壁に反りを付けて、簡単には登れないようにした
「ボーガンと矢はあまり作れないな」
「仕方ありません。防壁の上から石を投げられるようにしましょう」
「俺もスキルは便利だよな」
「全くです」
カレンと話ながら、防壁の上に石を運んでいると帝国軍が見えてきた
「ソフィア!迎えに行ってこい!」
「はっ!」
顔が知れてるソフィアを迎えに出して、帝国軍を防壁内に誘導する
「ミルク!炊き出しは出来ているか?」
「200人分くらいならあります〜」
「分かった続けてくれ!」
「カレン、皆を纏めて帝国を防壁の中央へ誘導してくれ」
「わかりました」
「サーニャ!帝国軍の位置はどうだ?」
「残り2キロ」
「分かった。サイカ!薬の準備はいいか?」
「何時でも治療出来ます」
「よし!各自迅速に行動してくれ」
「「了解!」」
それから1時間と少しで、帝国軍の先頭が防壁へと入ってくる
「押さないで中央部まで移動して下さい!」
「怪我人は治療しますから隣の人は手を貸して上げて下さい!」
「怪我の少ない人から料理をどうぞ〜」
皆が役割をこなしている
「団長!」
「ソフィアご苦労だった」
「こちらが、黒の傭兵団の団長ハルト様です」
「貴方がハルト殿か…。帝国騎士団、元団長のダンタリオンです」
「貴方がダンタリオン殿か、ハルトだ、よろしく頼む」
「こちらこそ救援感謝する」
「今は時間が無いので挨拶はこれくらいで、他の将軍達は?」
「先に食事を取って貰ってる」
「そうか」
「ゴブリンが来たら指揮は任せて貰おう」
「帝国軍の指揮は任せよう」
「いや、ハルト殿に総指揮は任せて我々は指示に従う」
「それは……」
「我らは負け続けている。今は貴方の武勇で士気を高めて貰いたい」
「……分かった。引き受けよう」
「感謝する」




